ジロの山岳決戦が終わった。ニバリのアタックは決まらず、カラパスが変わらずマリアローザを着ている。ログリッチェはスロベニアの応援に応えることができず、落車させられたロペスは観客を殴った。そして初山翔は終着地ヴェローナへと向かう。ジロ第20ステージを振り返ります。


何やら真剣な表情で話しながら出走サインに向かうラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)とダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)何やら真剣な表情で話しながら出走サインに向かうラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)とダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
チームメイトとともに出走サインに向かうヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)チームメイトとともに出走サインに向かうヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsuji
第20ステージの朝を迎えた初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)第20ステージの朝を迎えた初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) photo:Kei Tsuji
ログラログラ photo:Kei Tsuji
観客を盛り上げながら登場したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)観客を盛り上げながら登場したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:Kei Tsuji
すでに獲得標高差40,000m以上の登りをこなしてきた選手たちを待ち受ける、獲得標高差5,500mの難関山岳ステージ。大会公式のクイーンステージは第16ステージで、確かに天候を含めると過酷極まりないステージだったが、スタート直後の登りからアタック合戦が続いたこの第20ステージも負けず劣らず厳しいものになったことは言うまでもない。

清々しい風が吹く暖かなドロミテの山岳地帯。太陽の日差しは強烈でしかも空気が乾燥しているため、洗濯物を日向に干しておけばものの10分ほどで乾いてしまう。全くレースに関係ない話で恐縮だが、3週間グランツールに帯同する報道陣の洗濯方法は様々。具体的には「A. 1週間分溜め込んだものを休息日に洗濯する」「B. 知り合いのチームに洗濯を頼む」「C. 3週間分の服を持ってくる」「D. 数日に一回洗面台で手洗いする」etc。自分は最後のD派。天気が良い日にレンタカーの中に干せば(街中では恥ずかしいけど)簡単に乾くし、荷物が圧倒的に少なくて済むので。日本から持ってきた小分けになっている旅行用の液体洗剤NANOXがすごく役に立っています。

歓声とともに登場したマリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)歓声とともに登場したマリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) photo:Kei Tsuji
フェルトレの街をスタートしていくフェルトレの街をスタートしていく photo:Kei Tsuji
4歳4歳 photo:LaPresse
マスナダに続いてマンゲン峠を登るダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ)らマスナダに続いてマンゲン峠を登るダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ)ら photo:Kei Tsuji
アスタナがペースメイクするメイン集団がマンゲン峠を登るアスタナがペースメイクするメイン集団がマンゲン峠を登る photo:Kei Tsuji
マンゲン峠を登るマリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)マンゲン峠を登るマリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) photo:Kei Tsuji
ガヴィア峠のキャンセルに伴って『チーマコッピ(大会最高地点)』を仰せつかったマンゲン峠には、朝からサイクリストたちがせっせと汗だくになりながら挑んでいた。標高だけを見ると第13ステージの最後に登場した標高2,247mの1級山岳チェレソーレ・レアーレの方が上だが、すでに通過した山岳を今更チーマコッピに指定するとややこしくなる、不公平になるため、この第20ステージのマンゲン峠の頂上に栄誉が与えられることに。

そのファウスト・コッピの名を冠した登りを、同じファウストの名前を持つファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)が先頭通過した。ファウストという名前の選手が『チーマコッピ』を先頭通過するのはこれが初めて。今大会を代表する逃げ屋の一人であるマスナダはこの日の逃げで山岳賞2位に浮上するとともに、ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)から中間スプリント賞の首位を奪い、総合敢闘賞でもトップに立っている。いつも会場をゆらりと挨拶しながら練り歩いているアンドローニジョカトリ・シデルメクのジャンニ・サヴィオGMはご機嫌だ。

開幕から3週間経ってもVサイン開幕から3週間経ってもVサイン photo:Kei Tsuji
開幕から3週間経ってもVサイン開幕から3週間経ってもVサイン photo:Kei Tsuji
グルペット最終便よりも前の集団で走る初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)グルペット最終便よりも前の集団で走る初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) photo:Kei Tsuji
マンゲン峠で苦しい表情を見せる初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)マンゲン峠で苦しい表情を見せる初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) photo:Kei Tsuji
ジロ初登場の1級山岳モンテアヴェーナは道が細く、スペースが狭く、ジロらしい混沌としたごちゃごちゃ感があった。緑の木々に覆われた登りに「グレモ!ログラ!」という応援が響き渡った。スロベニア語で「行けー!」を意味する「グレモ!」と、プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)の愛称「ログラ」。前日にも増して多くのスロベニア人の観客がアクセスの悪い1級山岳モンテアヴェーナに詰めかけたものの、彼らの前の前でログリッチェは遅れていった。

さらに直前の2級山岳クローチェ・ダウネで観客に押されたログリッチェには10秒のペナルティが与えられている。観客に押すのをやめるジェスチャーを見せれば別だったが、平然と走り続けたためペナルティが取られた。第20ステージのコミュニケを見ると、この日ペナルティを受けたのはログリッチェだけ。つまり、1級山岳モンテアヴェーナで転倒の原因となった観客を殴ったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)はお咎めなしだった。

ログリッチェに興奮して並走した観客と接触する形で落車したロペス。観客を数回殴るシーンが国際映像でリプレイされた。フィニッシュ地点はロペスに何かしらの処分が下るのではないかとざわついた。というのも、UCIルールは「暴力行為は失格処分と200スイスフランの罰金」と取り決めている。しかし状況を考慮してUCIコミッセールはロペスに処分を与えることはしなかった。そして1分49秒のタイムロスが救済されることもなかった。

ロペスはレース後に「地面に倒された。ジロの選手に対するセキュリティーレベルがとにかく低いことを残念に思っている。選手はもっとリスペクトされるべきだ。アドレナリンが出ている状態だったので抑えることができなかった。殴ったことには本当に申し訳なく思っている」とコメントしている。セキュリティ向上を求める声は他の選手たちからも多く上がっている。

暴力は良くない。だが選手を転倒させるのも良くない。観客と選手の距離が近いことがロードレースの魅力ではあるものの、このような状況が続けば完全フェンスで観客と選手が隔離されかねない。とにかく、ロペスが総合表彰台に届かないところまでタイムを失ったという事実がそこにはある。

マリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)がミケル・ランダ(スペイン、モビスター)をエスコートマリアローザのリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)がミケル・ランダ(スペイン、モビスター)をエスコート photo:Kei Tsuji
1級山岳モンテアヴェーナを駆け上がる精鋭グループ1級山岳モンテアヴェーナを駆け上がる精鋭グループ photo:Kei Tsuji
熱い声援が飛ぶ1級山岳モンテアヴェーナ熱い声援が飛ぶ1級山岳モンテアヴェーナ photo:Kei Tsuji
マリアローザを守ったリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)マリアローザを守ったリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) photo:Kei Tsuji
少し笑顔を見せるヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)少し笑顔を見せるヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsuji
タイムを失う結果となったプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)タイムを失う結果となったプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:Kei Tsuji
最初の2級山岳チーマカンポで遅れ、最後から2つ目のグルペット内で『チーマコッピ』マンゲン峠を越え、その後マリアチクラミーノのいるグルペット最終便に入ってフィニッシュを目指した初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)。この日はニュートラル走行を含めるとレース時間が7時間近くに及んだ。フィニッシュにたどり着いた初山は、その痩けた顔にうっすらと笑みを浮かべてチームカーで下山した。

総合最下位の初山は、6月2日13時45分(日本時間20時45分)、第1走者として最終日の17km個人タイムトライアルに挑む。フィニッシュ後に通過するヴェローナの闘技場アレーナ(ローマのコロッセオのようなもの)に初山は先頭で入って喝采を受けることになる。1分後スタートのウィリアム・クラーク(オーストラリア、トレック・セガフレード)に追い抜かれてしまっている可能性もあるけど。

ステージ優勝の想定タイム23分前後のレースで、総合上位陣の間に1分を超えるようなタイム差はつかないと言われている。ジロが最終日に個人タイムトライアルを行なったのは過去に18回あり、そのうち総合逆転は3回発生している。1984年(ヴェローナ)にフィニョンからモゼールへ、2012年(ミラノ)にロドリゲスからヘシェダルへ、そして2017年(ミラノ)にキンタナからデュムランにマリアローザが移っている。

リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)とヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)の総合タイム差は1分54秒。ツール・ド・フランスを含めての過去にこれだけ大きなタイム差を最終日に逆転した例はない。レース後に記者に囲まれたニバリは少しやりきった達成感のある笑顔を浮かべる。そして、エクアドルから駆けつけた家族に囲まれて優しい笑顔を浮かべるカラパスの総合優勝が見えてきた。

マリアチクラミーノをほぼ確定させたパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が喜びながらフィニッシュマリアチクラミーノをほぼ確定させたパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)が喜びながらフィニッシュ photo:Kei Tsuji
第20ステージを走り終え、頭を埋める初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)第20ステージを走り終え、頭を埋める初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) photo:Kei Tsuji
第20ステージを終え、スタッフと話す初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)第20ステージを終え、スタッフと話す初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) photo:Kei Tsuji
お疲れ様でした。お疲れ様でした。 photo:Kei Tsuji

text&photo:Kei Tsuji in Verona, Italy
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