ツール・ド・熊野の第2ステージが三重県熊野市で開催され、レース終盤に抜け出した2人の勝負を制してトマ・ルバが優勝した。マルコス・ガルシアが山岳賞を獲得。個人総合首位はオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)が守った。


審判車が先導してパレードスタート審判車が先導してパレードスタート photo:Satoru Kato
ツール・ド・熊野3日目は、三重県熊野市での第2ステージ。もっとも厳しいステージとなる熊野山岳コースの109.3kmだ。2級山岳に指定された丸山千枚田と、1級山岳に指定された札立峠を登り、さらに丸山千枚田をもう1回登るハードなステージ。総合優勝争いの上で重要なステージだ。

リアルスタート直後からアタックが繰り返されるリアルスタート直後からアタックが繰り返される photo:Satoru Kato集団前方ではフランシスコ・マンセボとホセ・ビセンテ・トリビオ(共にマトリックスパワータグ)が動きをチェックする集団前方ではフランシスコ・マンセボとホセ・ビセンテ・トリビオ(共にマトリックスパワータグ)が動きをチェックする photo:Satoru Kato

雲が多めながらも徐々に晴れ間が広がる空の下、パレードスタート。リアルスタートするとアタックが繰り返されるが、逃げを容認する雰囲気になかなかならない。

誰も飛び出せないまま30kmを経過し、最初の丸山千枚田の登りに突入。登りの中腹あたりからマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)が単独先頭で登りはじめ、2級山岳ポイントを先頭通過する。集団はバラけたものの、丸山千枚田からの下りで再びまとまり、40名ほどの先頭集団が形成される。

田植えが終わった丸山千枚田を集団が登っていく田植えが終わった丸山千枚田を集団が登っていく photo:Satoru Kato
フランシスコ・マンセボを先頭に札立峠を登りはじめる集団フランシスコ・マンセボを先頭に札立峠を登りはじめる集団 photo:Satoru Kato札立峠終盤、ベンジャミ・プラデス(チーム右京)、オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)、マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)の3名が先行札立峠終盤、ベンジャミ・プラデス(チーム右京)、オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)、マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)の3名が先行 photo:Satoru Kato

札立峠の頂上まで数kmのところでアタックするマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)札立峠の頂上まで数kmのところでアタックするマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru Kato
1級山岳の札立峠は、リーダージャージのオールイス・アルベルト・アウラールを擁するマトリックスパワータグを先頭に登り始める。ベンジャミ・プラデス(チーム右京)と山本大喜(キナンサイクリングチーム)が一時先行するも吸収され、変わってマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)とサム・クローム(チーム右京)が飛び出す。その後クロームと入れ替わってリーダージャージのアウラールと、プラデスが追いついて3名が先行。頂上手前数kmのところからガルシアが加速して独走に持ち込む。ガルシアはそのまま頂上を先頭通過。山岳賞争いのトップに立った。

札立峠を下ってひとつにまとまった集団札立峠を下ってひとつにまとまった集団 photo:Satoru Kato残り10km、単独先行のトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)にドリュー・モレ(トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム)が追いつく残り10km、単独先行のトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)にドリュー・モレ(トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム)が追いつく photo:Satoru Kato

札立峠からの下りで、再び集団はひとつにまとまる。その中から、トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)がアタック。それを追ってドリュー・モレ(トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム)も集団を飛び出す。2回目の丸山千枚田を登って下って残り10km、モレがルバに追いつき、2人の先頭集団を形成する。後続の集団との差は2分まで開き、その後1分まで縮まるものの、勝負はルバとモレの2人に絞られた。

トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)が第2ステージ優勝トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)が第2ステージ優勝 photo:Satoru Kato
第2ステージ 表彰式第2ステージ 表彰式 photo:Satoru Kato山岳賞はマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)山岳賞はマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru Kato

残り200mの登りフィニッシュに先頭で現れたのはルバ。2017年大会の第2ステージ以来となるツール・ド・熊野ステージ優勝を決めた。山岳賞をガルシアが獲得し、ホームチームのキナンサイクリングチームの2人が表彰台に立った。

「勝てて本当に嬉しい。総合上位のチームメイト(山本大喜)のためにレース終盤にアタックした。トレンガヌの選手が1人追いついてきたけれど、できるだけ力をセーブするようにして最後の勝負に備えた。チームは山岳賞も獲得したけれど、個人総合争いはとても難しい。明日の第3ステージも今日と同じようにステージ優勝を狙っていきたい」と、ルバはコメントした。

3位争いの集団はオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)が先頭。4秒のボーナスタイムを獲得3位争いの集団はオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)が先頭。4秒のボーナスタイムを獲得 photo:Satoru Katoオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)の「ベリーベリーヤスハラサン」に応えて登壇した安原監督オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)の「ベリーベリーヤスハラサン」に応えて登壇した安原監督 photo:Satoru Kato

個人総合順位は、3位争い集団のスプリントを自ら取ったオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)が、4秒のボーナスを獲得。総合2位の岡篤志(宇都宮ブリッツェン)との差を若干広げて首位を維持した。
ツール・ド・熊野 第2ステージ・熊野山岳 結果(109.3km)
1位 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 2時間40分7秒
2位 ドリュー・モレ(オーストラリア、トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム)
3位 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) +24秒
4位 フェデリコ・ズルロ(イタリア、ジョッティ・ヴィクトリア)
5位 岡 篤志(日本、宇都宮ブリッツェン)
6位 ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム)
7位 サム・クローム(オーストラリア、チーム右京)
8位 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チーム右京)
9位 コービン・ストロング(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム)
10位 フランシスコ・マンセボ・ペレス(スペイン、マトリックスパワータグ)
個人総合成績(第2ステージ 終了時)
1位 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) 4時間53分30秒
2位 岡 篤志(日本、宇都宮ブリッツェン) +9秒
3位 ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム) +14秒
4位 コービン・ストロング(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム) +15秒
5位 サム・クローム(オーストラリア、チーム右京) +15秒
ポイント賞(第2ステージ 終了時)
1位 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) 48pt
2位 岡 篤志(日本、宇都宮ブリッツェン) 32pt
3位 ユーセフ・レグイグイ(アルジェリア、トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム) 28pt
山岳賞(第2ステージ 終了時)
1位 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) 20pt
2位 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 7pt
3位 ベンジャミ・プラデス(スペイン、チーム右京) 7pt
チーム総合(第2ステージ 終了時)
1位 キナンサイクリングチーム 8時間1分9秒
2位 トレンガヌ・INC・TSG・サイクリングチーム +5秒
3位 チーム右京 +24秒
text&photo:Satoru Kato