2019/05/31(金) - 06:00
スプリンターにとって最後のチャンスとなる平坦コースが設定されたジロ・デ・イタリア第18ステージで劇的な逃げ切りが決まる。一緒に逃げたマエストリとデンツが吸収される中、スプリンター勢を僅差で振り切ったダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)がチーム史上初の勝利を飾った。
ジロ・デ・イタリアは足早にドロミテ山塊を脱出。美しい山々を横目に、30km地点の標高1,530mチーマバンケ峠(カテゴリー無し)をピークにして徐々に高度を落としていく。スプリンターが脱落するほどの登りは設定されておらず、後半はヴェネト州の平野部をひたすら南下。真っ平らな平原に位置するサンタマリア・ディ・サーラでは大会最後の集団スプリントが繰り広げられると予想された。
決して逃げ切り向きのステージではないが、スタート後すぐに始まったアタック→吸収→カウンターアタック→再び吸収という状況が1時間以上にわたって延々と続く。最初の1時間を平均スピード48.4km/hで駆け抜けたメイン集団から50km地点で3名が飛び出した。
逃げグループを形成した3名
ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)総合101位/中間スプリント4位/フーガ賞3位
ニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)総合125位
ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)中間スプリント2位/フーガ賞2位
総合に全く関係しない逃げだが、確実に集団スプリントに持ち込みたいスプリンターチームによってタイム差が6分以内に抑え込まれた状態で平野部へ。すでにエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)もフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)もカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)もいないメイン集団の指揮をとったのはボーラ・ハンスグローエとイスラエルサイクリングアカデミー、ディメンションデータの3チームだった。
残り63km地点に設定された第1スプリントに先頭トリオから2分10秒遅れで差し掛かったメイン集団では、マリアチクラミーノを守りたいアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)がパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を下して先頭通過(4番手通過)。その後メイン集団が一旦ペースを落としたため、タイム差が4分20秒まで広がった状態で残り50kmを切る。
そこから先頭3名がペースを上げ、粘った。タイム差4分20秒のままで残り40kmを切ると、縮まらないタイミ差を見てドゥクーニンク・クイックステップとロット・スーダルもローテーションに選手を送り込む。スプリンターチームがアシスト総動員でメイン集団を引いたためタイム差は10km/1分の法則に従って着実に縮まったが縮まり切らない。先頭3名は1分08秒先行したまま残り10kmを切った。
残り5kmでタイム差42秒。残り3kmでデンツがアタックしたところで協調体制が崩れたものの、3名がまとまったまま15秒リードで残り1kmアーチ。グルパマFDJのリードアウトトレインが後方から迫り来る中、先頭では残り300mを切って最初にデンツが仕掛け、マエストリとチーマが続く。後方からはパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)らが勢いよく飛んでくる。
先に仕掛けたデンツとマエストリの後ろからタイミングよくスプリントしたチーマが先行。後方から猛追したアッカーマンやシモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を振り切って、チーマがおよそバイク1台分の差で先着した。
スタートから222km走り、172kmにわたって逃げ、最終的に2mほどの差でアッカーマンを振り切ったチーマは「チームをアピールすることが自分の役目。長時間アピールすることに加えて今日はステージ優勝することができた。自分の身に起きたことが信じられない。このジロでは何キロも逃げ続けてきた。逃げ切りなんて起こらないと思いながらも、今日こうして逃げ切ったんだ。一緒に逃げた2人に感謝したい。出来るだけ落ち着いて終盤に挑み、出来るだけ待ってから全開でスプリントしたんだ。そこからフィニッシュまで振り返らなかった。本当に信じられないし、人生の夢がかなった気分だ」とキャリア最大の勝利を喜ぶ。
チーマはプロ初年度の2018年に中国のステージレースでステージ2勝&総合優勝を飾っているが、UCIワールドツアーレベルの勝利はもちろんこれが初めて。チーマはこの日の逃げによって中間スプリント賞とフーガ賞(逃げ賞)でもトップに立っている。また、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネにとっても3度目のジロ出場でステージ初優勝。連日の逃げがようやく実を結んだ。
残り50kmを平均スピード52km/hで駆け抜けながらも、逃げ吸収を果たせずにステージ優勝を逃したアッカーマンは悔しさを爆発させたが、ステージ8位に沈んだデマールからマリアチクラミーノを奪うことに成功している。そしてマリアローザはリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)がキープ。総合上位陣にとって平穏な1日を終えたカラパスは「ペースが速かったのは最初だけ。長くて落ち着いたステージだった。今日もチームメイトの走りは抜群だったし、明日は重要なステージが待っている。マリアローザを守れると確信しているよ」と、残る山岳2ステージに向けて意気込んでいる。
ジロ・デ・イタリアは足早にドロミテ山塊を脱出。美しい山々を横目に、30km地点の標高1,530mチーマバンケ峠(カテゴリー無し)をピークにして徐々に高度を落としていく。スプリンターが脱落するほどの登りは設定されておらず、後半はヴェネト州の平野部をひたすら南下。真っ平らな平原に位置するサンタマリア・ディ・サーラでは大会最後の集団スプリントが繰り広げられると予想された。
決して逃げ切り向きのステージではないが、スタート後すぐに始まったアタック→吸収→カウンターアタック→再び吸収という状況が1時間以上にわたって延々と続く。最初の1時間を平均スピード48.4km/hで駆け抜けたメイン集団から50km地点で3名が飛び出した。
逃げグループを形成した3名
ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)総合101位/中間スプリント4位/フーガ賞3位
ニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)総合125位
ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)中間スプリント2位/フーガ賞2位
総合に全く関係しない逃げだが、確実に集団スプリントに持ち込みたいスプリンターチームによってタイム差が6分以内に抑え込まれた状態で平野部へ。すでにエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)もフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)もカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)もいないメイン集団の指揮をとったのはボーラ・ハンスグローエとイスラエルサイクリングアカデミー、ディメンションデータの3チームだった。
残り63km地点に設定された第1スプリントに先頭トリオから2分10秒遅れで差し掛かったメイン集団では、マリアチクラミーノを守りたいアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)がパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を下して先頭通過(4番手通過)。その後メイン集団が一旦ペースを落としたため、タイム差が4分20秒まで広がった状態で残り50kmを切る。
そこから先頭3名がペースを上げ、粘った。タイム差4分20秒のままで残り40kmを切ると、縮まらないタイミ差を見てドゥクーニンク・クイックステップとロット・スーダルもローテーションに選手を送り込む。スプリンターチームがアシスト総動員でメイン集団を引いたためタイム差は10km/1分の法則に従って着実に縮まったが縮まり切らない。先頭3名は1分08秒先行したまま残り10kmを切った。
残り5kmでタイム差42秒。残り3kmでデンツがアタックしたところで協調体制が崩れたものの、3名がまとまったまま15秒リードで残り1kmアーチ。グルパマFDJのリードアウトトレインが後方から迫り来る中、先頭では残り300mを切って最初にデンツが仕掛け、マエストリとチーマが続く。後方からはパスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)らが勢いよく飛んでくる。
先に仕掛けたデンツとマエストリの後ろからタイミングよくスプリントしたチーマが先行。後方から猛追したアッカーマンやシモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)を振り切って、チーマがおよそバイク1台分の差で先着した。
スタートから222km走り、172kmにわたって逃げ、最終的に2mほどの差でアッカーマンを振り切ったチーマは「チームをアピールすることが自分の役目。長時間アピールすることに加えて今日はステージ優勝することができた。自分の身に起きたことが信じられない。このジロでは何キロも逃げ続けてきた。逃げ切りなんて起こらないと思いながらも、今日こうして逃げ切ったんだ。一緒に逃げた2人に感謝したい。出来るだけ落ち着いて終盤に挑み、出来るだけ待ってから全開でスプリントしたんだ。そこからフィニッシュまで振り返らなかった。本当に信じられないし、人生の夢がかなった気分だ」とキャリア最大の勝利を喜ぶ。
チーマはプロ初年度の2018年に中国のステージレースでステージ2勝&総合優勝を飾っているが、UCIワールドツアーレベルの勝利はもちろんこれが初めて。チーマはこの日の逃げによって中間スプリント賞とフーガ賞(逃げ賞)でもトップに立っている。また、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネにとっても3度目のジロ出場でステージ初優勝。連日の逃げがようやく実を結んだ。
残り50kmを平均スピード52km/hで駆け抜けながらも、逃げ吸収を果たせずにステージ優勝を逃したアッカーマンは悔しさを爆発させたが、ステージ8位に沈んだデマールからマリアチクラミーノを奪うことに成功している。そしてマリアローザはリチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)がキープ。総合上位陣にとって平穏な1日を終えたカラパスは「ペースが速かったのは最初だけ。長くて落ち着いたステージだった。今日もチームメイトの走りは抜群だったし、明日は重要なステージが待っている。マリアローザを守れると確信しているよ」と、残る山岳2ステージに向けて意気込んでいる。
ジロ・デ・イタリア2019第18ステージ結果
1位 | ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 4:56:04 |
2位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
4位 | フロリアン・セネシャル(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) | |
5位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
6位 | マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
7位 | ダヴィデ・チモライ(イタリア、イスラエルサイクリングアカデミー) | |
8位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | |
9位 | ショーン・ベネット(アメリカ、EFエデュケーションファースト) | |
10位 | ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) | |
134位 | 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 0:06:11 |
DNS | ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 79:44:22 |
2位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:01:54 |
3位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) | 0:02:16 |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) | 0:03:03 |
5位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:05:07 |
6位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:06:17 |
7位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:06:48 |
8位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:07:13 |
9位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス) | 0:08:21 |
10位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:08:59 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 226pts |
2位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 213pts |
3位 | ダミアーノ・チーマ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) | 104pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード) | 229pts |
2位 | リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター) | 66pts |
3位 | ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 57pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 79:50:39 |
2位 | パヴェル・シヴァコフ(ロシア、チームイネオス) | 0:02:04 |
3位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーションファースト) | 0:08:34 |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 239:38:17 |
2位 | バーレーン・メリダ | 0:27:01 |
3位 | アスタナ | 0:28:04 |
text&photo:Kei Tsuji in Santa Maria di Sala, Italy
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