チェコのノヴェ・メストで開催されたUCI MTBワールドカップ第2戦でマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)が自身初のワールドカップ勝利。ドリームシーカーMTBレーシングチームの山本幸平は59位、北林力(U23)は120位だった。



ロードバイクでアップを行うマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)ロードバイクでアップを行うマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) (c)UCI今季ワールドカップ初勝利が欲しいニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング)今季ワールドカップ初勝利が欲しいニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング) (c)UCI

131名出走の男子エリートレースがスタート131名出走の男子エリートレースがスタート (c)UCI
ウインターシーズンはスキーリゾートとして、MTBファンにとっては2016年の世界選手権開催地として知られるチェコ、ノヴェームニェストで開催されたUCI MTBワールドカップ第2戦。1周3900m/獲得標高163mのコースは最大勾配39%を誇る「シマノ・エキスパートクライム」やジャンプを含む超高速の下りなど激しいアップダウンの連続で、今年はパンプトラックも組み込まれるなど変化が加えられた。

全日本王者の山本幸平(ドリームシーカーMTBレーシングチーム)を含む131名が出走した男子エリートレースでは、序盤から世界王者ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング)とマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)が抜け出す形に。全体のファステストラップを刻みながらランデブーを続ける二人に続いたのは地元チェコのオンドレイ・シンク(クロスレーシングチーム)。2017年をバーレーン・メリダで過ごした28歳は単独3位で粘り続けたものの、その差は最後まで縮まることはなかった。

観客が詰め掛けた登りを走るニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング)とマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)観客が詰め掛けた登りを走るニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング)とマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) (c)UCI
大きなジャンプを決めるマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)大きなジャンプを決めるマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) (c)UCI先頭二人を追うオンドレイ・シンク(チェコ、クロスレーシングチーム)先頭二人を追うオンドレイ・シンク(チェコ、クロスレーシングチーム) (c)UCI

ワールドカップ初勝利を挙げたマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス)ワールドカップ初勝利を挙げたマチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) (c)UCI男子エリート表彰台男子エリート表彰台 (c)UCI


昨年まで絶対的な力を誇ったシューターと、今年シクロクロスの世界王者に輝き、アムステルゴールドレース優勝など一気にスターダムに登りつめたファンデルポールの一騎打ちが動いたのは最終周回だった。登り区間で一気に仕掛け10秒を稼ぐと、更にリードを広げてフィニッシュラインに到達。MTBで東京五輪の金メダルを狙う24歳が、絶対王者を下して自身初のMTBワールドカップ優勝を成し遂げた。

「世界最高のMTBライダーを相手に勝てたので特に嬉しい。残り2周回で"あの登りで仕掛ける"と決めていたんだ」と言うファンデルポール。「初参戦してから今日まで2年。自分自身の中でワールドカップ勝利は最もチャレンジングなことの一つだった。オランダ人選手が勝ったのも暫く前のことだし誇りに思える」と加えた。

スタートラップを55位で回った山本幸平は最終的に59位でフィニッシュ。「ヨーロッパにきて時差にも体調が慣れ、ようやくワールドカップの流れを掴んできた」と語る。この後もヨーロッパのUCIレースを転戦する予定だと言う。

女子エリートレース スタート女子エリートレース スタート (c)UCI
女子エリート 独走するアン・タウバー(オランダ、CST・サンド・バファンMTBレーシングチーム)女子エリート 独走するアン・タウバー(オランダ、CST・サンド・バファンMTBレーシングチーム) (c)UCIタウバーを追走するケイト・コートニー(アメリカ、スコット・スラムMTBレーシング)タウバーを追走するケイト・コートニー(アメリカ、スコット・スラムMTBレーシング) (c)UCI


男子以上に激しい戦いとなったのが女子エリートレースだった。序盤から元世界王者ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC)とアン・タウバー(オランダ、CST・サンド・バファンMTBレーシングチーム)が先頭グループを組んだが、3周目の登りでネフが失速。タウバーが独走体制を築き上げたものの、3番手グループから世界王者ケイト・コートニー(アメリカ、スコット・スラムMTBレーシング)が迫った。

昨年の世界選手権を思わせる追走を見せたコートニーと、逃げ続けるタウバー。しかし勝負所の登りでタウバーがパンクに見舞われたことで勝負あり。世界王者が先週の開幕戦から続くワールドカップ2連勝を挙げた。

女子エリート表彰台女子エリート表彰台 (c)UCI
男子エリート結果
1位 マチュー・ファンデルポール(オランダ、コレンドン・サーカス) 1h21'54"
2位 ニノ・シューター(スイス、スコット・スラムMTBレーシング) +19"
3位 マティアス・フルッキガー(スイス、トムス・RNスイスバイクチーム) +2'53"
4位 ヘンリケ・アヴァンチーニ(ブラジル、キャノンデールファクトリーレーシング) +2'01"
5位 オンドレイ・シンク(クロスレーシングチーム) +2'12"
6位 マキシム・マロット(フランス、キャノンデールファクトリーレーシング) +2'30"
7位 ゲルハルド・ケルシュバウマー(イタリア、トルパード・ウルサス) +2'41"
8位 ホセゲラルト・ウロア(メキシコ、コードGTOケイデンシア) +2'46"
9位 アンドリ・フリッシュクネヒト(スイス、スコット・スラムMTBレーシング)
10位 ヨルダン・サルー(フランス、アブソリュート・アブサロン) +2'51"
59位 山本幸平(ドリームシーカーMTBレーシングチーム) +8'05"
女子エリート結果
1位 ケイト・コートニー(アメリカ、スコット・スラムMTBレーシング) 1h27'31"
2位 レベッカ・マコンネル(オーストラリア、プリマフロア・モンドレイカー・ローター) +36"
3位 ハーレイ・スミス(カナダ、ノルコファクトリーチーム) +42"
4位 シーナ・フライ(スイス、ゴーストファクトリーレーシング) +45"
5位 マレーヌ・ダイグン(デンマーク、KMC・イコイ・オルベア) +1'33"
6位 リンダ・インダーガンド(スイス、スペリオール・XCチーム) +1'34"
7位 アン・テルプストラ(オランダ、ゴーストファクトリーレーシング) +2'01"
8位 ヨランダ・ネフ(スイス、トレックファクトリーレーシングXC) +2'13"
9位 ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、キャニオン・ファクトリーDHチーム) +2'26"
10位 アン・タウバー(オランダ、CST・サンド・バファンMTBレーシングチーム) +2'38"
text:So.Isobe
photo:UCI