メイン集団に7分差をつける13名の大逃げが決まったジロ・デ・イタリア第6ステージ。ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)がステージ優勝の栄冠を手にし、ともに逃げ切ったヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)がマリアローザを手にした。


マリアローザを着て登場したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)マリアローザを着て登場したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:Kei Tsuji
5月16日(木)第6ステージ カッシーノ〜サンジョヴァンニ・ロトンド 238km ☆☆☆5月16日(木)第6ステージ カッシーノ〜サンジョヴァンニ・ロトンド 238km ☆☆☆ photo:RCS Sport5月16日(木)第6ステージ カッシーノ〜サンジョヴァンニ・ロトンド 238km ☆☆☆5月16日(木)第6ステージ カッシーノ〜サンジョヴァンニ・ロトンド 238km ☆☆☆ photo:RCS Sport

イタリア半島を横断するジロ・デ・イタリア第6ステージは238kmと今大会最長クラス。難易度3つ星ステージの注目は、三州を跨ぐ際に登場する標高700m級の3つの峠ではなく、残り17.9km地点でピークを迎える2級山岳コッパカザリネッレ(距離15km/平均4.4%)だ。ジロ初登場のフィニッシュ地点サンジョヴァンニ・ロトンドに向かってアップダウンを繰り返すコースはスプリンター向きとは言えず、開幕前から逃げ屋たちの熱い視線を集めた。

さらに、前日にプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)が「明日マリアローザを明け渡してもいい」とコメントしたことも影響して、ステージ優勝だけでなくマリアローザ着用を狙うアタッカーたちがスタート直後から活発に動く。クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエルサイクリングアカデミー)やファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)を始め、多くの選手たちが矢継ぎ早にアタックを仕掛けた末に、13名の大きな逃げグループが形成された。

逃げグループを形成した13名(総合成績順)
ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)1分59秒遅れ
ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)2分53秒遅れ
ナンス・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール)3分07秒遅れ
ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)3分20秒遅れ
ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)3分33秒遅れ
アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム)3分43秒遅れ
アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)4分25秒遅れ
ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)4分26秒遅れ
ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)5分21秒遅れ
ニコラ・コンチ(イタリア、トレック・セガフレード)5分26秒遅れ
サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)5分49秒遅れ
ニコラ・バジオーリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)7分29秒遅れ
ルーベン・プラサ(スペイン、イスラエルサイクリングアカデミー)10分00秒遅れ

メイン集団から断続的にアタックがかかるメイン集団から断続的にアタックがかかる photo:Kei Tsuji
ステージ前半に発生した大落車ステージ前半に発生した大落車 photo:CorVos
落車に巻き込まれた初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)落車に巻き込まれた初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) photo:CorVos
大きな逃げグループを見送ったメイン集団では、40km地点でマリアローザのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)を含む大落車が発生。ログリッチェは臀部に打撲を負いながらもレースを継続したが、2018年ジャパンカップの覇者ロバート・パワー(オーストラリア、サンウェブ)はリタイア。この日は序盤にメイン集団から脱落したローレンス・テンダム(オランダ、CCCチーム)もリタイアを選択している。

メディカルカーによるログリッチェへの応急処置が終わり、落ち着きを取り戻したメイン集団を一貫してコントロールしたのはユンボ・ヴィズマ。逃げに選手を送り込んだスプリンターチームは集団後方に待機し、集団前方に位置したミッチェルトン・スコットやバーレーン・メリダといった総合ライバルチームはペースアップを行うことなくユンボ・ヴィズマの後ろで状況を見守った。

最終的な総合争いの観点で逃げグループの中で警戒されたのは、パリ〜ニース総合11位のマデュアス(3分20秒遅れ)や、2018年のジロ・デ・イタリアでトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)をアシストしながら総合9位に入った2016年ツール・ド・ラヴニール覇者のオーメン(5分49秒遅れ)。ステージ中盤にかけて6分半まで広がったタイム差を、ユンボ・ヴィズマが概ね5〜6分差に押さえ込みながら終盤へと向かった。

サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)やヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を含む逃げグループサム・オーメン(オランダ、サンウェブ)やヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を含む逃げグループ photo:CorVos
メンバーを総動員してメイン集団を牽引するユンボ・ヴィズマメンバーを総動員してメイン集団を牽引するユンボ・ヴィズマ photo:CorVos

ユンボ・ヴィズマの集団牽引には逃げグループを捕まえようという意図はなく、残り50km地点でタイム差が5分を切ったところでむしろペースを落とす。この日最大の山場である2級山岳コッパカザリネッレの登坂が始まる時点でタイム差は5分。先頭13名の逃げ切りが濃厚となった。

フィニッシュまで残り28km、頂上まで10kmを残した地点で逃げグループの中から最初に動いたのはマスナダ。この動きにコンティがすぐさま反応した一方で、実績のあるアマドールやオーメン、プラサに警戒した他の選手たちは出遅れる。マスナダとコンティが追走グループを置き去りにしながら2級山岳コッパカザリネッレを駆け上がった。

2級山岳コッパカザリネッレ頂上を先頭通過したマスナダは、マリアローザを獲得したコンティと協力体制を築いてフィニッシュへ。追走グループとのタイム差が縮まらないまま先頭2名でラスト1kmアーチを越え、少しでも総合リードを広げておきたいコンティが最後の牽引。その後ろからフィニッシュ手前の緩斜面で仕掛けたマスナダがステージ優勝し、5秒遅れのコンティがマリアローザ獲得を祝うガッツポーズでフィニッシュした。

最終的にバジオーリを除く12名が逃げ切りを果たし、マリアローザを含む約90名のメイン集団は7分19秒遅れでフィニッシュ。ピュアスプリンターや初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)を含むグルペットは23分08秒遅れでサンジョヴァンニ・ロトンドに辿り着いている。

2級山岳コッパカザリネッレでアタックしたファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)2級山岳コッパカザリネッレでアタックしたファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) photo:CorVos
残り1kmを切ったファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)とヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)残り1kmを切ったファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)とヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) photo:Kei Tsuji
ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を下してステージ優勝を飾ったファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)を下してステージ優勝を飾ったファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) photo:Kei Tsuji
直前のツアー・オブ・アルプスでステージ2勝を飾った25歳のマスナダがステージ初優勝。ジャンニ・サヴィオGM率いるアンドローニジョカトリ・シデルメクに勝利をもたらしたマスナダは「今日は逃げ切りに絶好のチャンスだったから、何が何でも逃げたかった。このジロには良い状態で挑めており、チームの目標であるステージ優勝をこうして美しい形で飾ることができてよかったよ」とコメント。フィニッシュでは両手で天を指差し、ジロ開幕前に亡くなった叔父に勝利を捧げた。マスナダは山岳賞での2位に浮上している。

12名の7分差の逃げ切りにより総合成績は大変動。コンティが総合首位に立つとともに、逃げ切り達成者が総合トップ10を占める結果に。コンティはマリアビアンカを獲得したカルボーニから1分41秒、ピーターズから2分09秒の総合リードを得ている。マリアローザを明け渡すとともに総合11位にダウンしたログリッチェは5分24秒遅れ。

「ログリッチェがマリアローザを手放すつもりだとわかっていたので、今日はステージ優勝と総合成績を同時に狙いながらの逃げだった。でもマスナダは最後まで強かったよ。イタリア人選手にとってマリアローザ着用は特別。ステージレースで総合首位に立つのも初めての経験なので興奮している。できるだけ長くこのジャージを着続けたい」。マリアローザに袖を通し、慣れない手つきでスプマンテを開けたコンティは語る。イタリア人選手のマリアローザ着用は2016年のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)以来3年ぶりとなる。

痛々しい姿でフィニッシュしたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)痛々しい姿でフィニッシュしたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ) photo:Kei Tsuji
グルペット内でフィニッシュした初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)グルペット内でフィニッシュした初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) photo:Kei Tsuji
ステージ優勝を飾ったファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)ステージ優勝を飾ったファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) photo:Kei Tsuji
マリアローザを着てスプマンテを開けるヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)マリアローザを着てスプマンテを開けるヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ) photo:Kei Tsuji
マリアビアンカを手にしたジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)マリアビアンカを手にしたジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF) photo:Kei Tsuji

ジロ・デ・イタリア2019第6ステージ結果
1位ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)5:45:01
2位ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)0:00:05
3位ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)0:00:38
4位ルーベン・プラサ(スペイン、イスラエルサイクリングアカデミー)
5位ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)0:00:43
6位ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)0:00:54
7位ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)
8位ナンス・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール)0:00:57
9位アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
10位アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム)
11位サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)0:01:03
12位ニコラ・コンチ(イタリア、トレック・セガフレード)0:02:18
17位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)0:07:19
143位初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)0:23:08
DNFローレンス・テンダム(オランダ、CCCチーム)
DNFロバート・パワー(オーストラリア、サンウェブ)
マリアローザ 個人総合成績
1位ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)25:22:00
2位ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)0:01:41
3位ナンス・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール)0:02:09
4位ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)0:02:12
5位ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)0:02:19
6位アマーロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCチーム)0:02:45
7位ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)0:03:14
8位ピーター・セリー(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)0:03:25
9位アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)0:03:27
10位サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)0:04:57
11位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ユンボ・ヴィズマ)0:05:24
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)121pts
2位フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)93pts
3位アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)86pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位ジュリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)24pts
2位ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)18pts
3位ヴァレリオ・コンティ(イタリア、UAEチームエミレーツ)8pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位ジョヴァンニ・カルボーニ(イタリア、バルディアーニCSF)25:23:41
2位ナンス・ピーターズ(フランス、アージェードゥーゼール)0:00:28
3位ヴァランタン・マデュアス(フランス、グルパマFDJ)0:00:38
チーム総合成績
1位モビスター76:14:55
2位UAEチームエミレーツ0:00:33
3位ドゥクーニンク・クイックステップ0:05:12
text&photo:Kei Tsuji in San Giovanni Rotondo, Italy
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