ゲンティンハイランドを登り詰めるツール・ド・ランカウイのクイーンステージでベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング)が勝利。増田成幸(日本、日本ナショナルチーム)がステージ5位となり、総合順位も5位に浮上した。



超級山岳ゲンティンハイランドを目指して進む集団超級山岳ゲンティンハイランドを目指して進む集団 (c)CorVos
マレーシアで開催中のツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)はいよいよクイーンステージに直面した。クアラルンプール近郊にある街シャー・アラムからスタートする4日目は114.2kmと走行距離こそ短距離だが、終盤には登坂距離20km超、平均勾配7.4%を誇る超級山岳ゲンティンハイランドが待ち受ける。今大会唯一の山頂フィニッシュでクライマー勢が激しい登坂勝負を繰り広げた。

この日はエステバンの弟ブラヤン・チャベス(コロンビア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ)や山岳賞ジャージのアンガス・リヨンズ(オーストラリア、オリヴァーズリアルフード)など12名が逃げる展開で幕開ける。逃げメンバーの中には総合とポイント賞首位のトラヴィス・マケイブ(アメリカ、フロイズ・プロサイクリング)も入ったが、中間スプリント狙いのスプリンターであるため集団は先行を許した。

チームサプラサイクリングや日本ナショナルチームが率いるメイン集団が許したタイム差は2分台。タイム差2分45秒でゲンティンの登坂区間に突入すると、先頭もメイン集団も人数が急速に減少していく。チャベスやマケイブが最後まで粘ったものの、ネーリソットリ・セッライタリアKTMがペースを上げるメイン集団に残り5kmを切って吸収。するとメイン集団からアタックが掛かり、3名が先行する形となった。

ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング)やエルナン・アギーレ(コロンビア、インタープロサイクリングアカデミー)が勝負を繰り広げるベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング)やエルナン・アギーレ(コロンビア、インタープロサイクリングアカデミー)が勝負を繰り広げる (c)www.ltdlangkawi.my
ゲンティンを登る内間康平(チーム右京)ゲンティンを登る内間康平(チーム右京) (c)www.ltdlangkawi.my地元のトレンガヌチームに大声援が飛ぶ地元のトレンガヌチームに大声援が飛ぶ (c)www.ltdlangkawi.my

ゲンティンハイランド名物の寺院前を通過する選手たちゲンティンハイランド名物の寺院前を通過する選手たち (c)CorVos
2017年のブエルタ・ア・エスパーニャに出場し、今年からインタープロサイクリングアカデミーに所属するエルナン・アギーレ(コロンビア)と、ツール・ド・とちぎで総合3位となったベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング)、そしてヴァディム・プロンスキー(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモータース)が先行。総合トップ6以内を目指す増田成幸(日本、日本ナショナルチーム)は第2グループで追走を行った。

先頭プロンスキーのアタックは成功せず、残り2kmでアタックしたダイボールがアギーレを振り払って独走に持ち込む。アタックを成功させたオセアニアロード&TT王者がゲンティンハイランドを制した。

独走でゲンティンを制したベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング)独走でゲンティンを制したベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング) (c)www.ltdlangkawi.my
リーダージャージを着用したベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング)リーダージャージを着用したベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング) (c)CorVos
追走グループに入った増田は1分19秒差の5位でフィニッシュ。総合成績でも1分29秒差の総合5位に入っている。以下はナショナルチームを率いる浅田顕氏によるコメント。

「第4ステージは個人総合成績に最重要な山頂ゴールステージ。チームは増田の個人総合6位以内を目標にスタート。レースは終始展開がある中、山岳区間に入った後半からチームは全員で前衛をキープし集団をコントロール。チームワークにより勝負所まで力を温存できた増田は標高1645mの山頂ゴールで実力を発揮し重要なステージを5位で終えた。この結果個人総合も5位に浮上し今回の目標達成に向けて大きく前進した。明日からは増田の個人総合成績を最重要視しながらもレースを展開し残りのステージでも好成績を残してゆきたい。」(JCFより)
ツール・ド・ランカウイ2019第4ステージ結果
1位 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング) 3h22'02"
2位 エルナン・アギーレ(コロンビア、インタープロサイクリングアカデミー) +23"
3位 キーガン・スワーブル(アメリカ、フロイズ・プロサイクリング) +44"
4位 ヴァディム・プロンスキー(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモータース) +59"
5位 増田成幸(日本、日本ナショナルチーム) +1'19"
個人総合成績
1位 ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チームサプラサイクリング) 17h25'42"
2位 エルナン・アギーレ(コロンビア、インタープロサイクリングアカデミー) +27"
3位 キーガン・スワーブル(アメリカ、フロイズ・プロサイクリング) +40"
4位 ヴァディム・プロンスキー(カザフスタン、ヴィノ・アスタナモータース) +1'05"
5位 増田成幸(日本、日本ナショナルチーム) +1'29"
ポイント賞
1位 トラヴィス・マケイブ(アメリカ、フロイズ・プロサイクリング) 43pts
2位 マイケル・フレイベルグ(オーストラリア、プロレーシングサンシャインコースト) 28pts
3位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニ・CSF) 28pts
山岳賞
1位 アンガス・リヨンズ(オーストラリア、オリヴァーズリアルフード) 47pts
2位 マーカス・カーリー(オーストラリア、チームサプラサイクリング) 25pts
3位 エルナン・アギーレ(コロンビア、インタープロサイクリングアカデミー) 24pts
チーム総合成績
1位 フロイズ・プロサイクリング
2位 チームサプラサイクリング
3位 ヴィノ・アスタナモータース
text:So.Isobe
photo:CorVos