スペインのコンポーネントブランド、ローターのパワーメーター内蔵クランク「INPOWER」が新たにダイレクトマウントタイプへと進化。左側のみでパワー計測を行う方式で価格を抑え、かつダイレクトマウントのチェーンリングによって軽量化やより細かなOCPの調整を実現している。



ローター INPOWER DMローター INPOWER DM (c)ダイアテック
効率的なペダリングを可能とする楕円チェーンリングQ-RINGSを主力製品に、国内でも広く愛用されているローター。最近では油圧シフティング機構を搭載した13速ドライブトレインを発表するなど意欲的な開発を続けるブランドである。そんなローターのパワーメーター内蔵クランク「INPOWER」がダイレクトマウントタイプへと進化を果たし、新たに「INPOWER DM」として登場した。

INPOWER DMは、すべての電子機器やバッテリーをクランクアクスル内に搭載したINPOWERのダイレクトマウントモデル。「ALDHU 3D+」より登場したダイレクトマウント機構を採用し、スパイダーアーム一体型チェーンリングによって前作に比べて60gの軽量化を実現している。

ダイレクトマウント機構を採用することで構造の簡素化と軽量化を果たしたINPOWER DMダイレクトマウント機構を採用することで構造の簡素化と軽量化を果たしたINPOWER DM (c)ダイアテック
鍛造とCNC切削により作り出されたクランクアーム鍛造とCNC切削により作り出されたクランクアーム (c)ダイアテッククランクシャフトから左クランクアーム側にセンサー類がまとめられるクランクシャフトから左クランクアーム側にセンサー類がまとめられる (c)ダイアテック


上位モデルとなる「2INPOWER DM」との違いは右側センサーの有無。2INPOWER DMは左側計測用にクランクシャフトに4つ、右側計測用に右クランクアームに4つ、計8つのひずみゲージを配置していたのに対し、INPOWER DMは左側計測用に4つのひずみゲージをクランクシャフト内部へ搭載するのみとなる。そのため、右側のペダリングバランスの測定などは仮想値で導き出す。

より正確なパワー数値を求める人は2INPOWER DMを、ローターの楕円チェーンリングを使いつつパワー測定をより安価に行いたいと言う人はINPOWER DMを選択すると良いだろう。センサーの数も少なくシンプルな構造となることで、2INPOWER DMよりも軽く仕上がるというメリットもある。その上で、2INPOWER DMと同様のデータ項目を表示することができるため、より多くの人が気軽にパワートレーニングを始めることが出来るのだ。

スパイダーアーム一体型チェーンリング「SPIDERING」を取り付けるスパイダーアーム一体型チェーンリング「SPIDERING」を取り付ける (c)ダイアテック
スパイダーアームとチェーンリングが一体化した専用のSPIDERINGを採用スパイダーアームとチェーンリングが一体化した専用のSPIDERINGを採用 真円形状のnoQ-RINGS DMも用意される真円形状のnoQ-RINGS DMも用意される (c)ダイアテック

スパイダーリングがアクスルにダイレクトマウントにて装着されるスパイダーリングがアクスルにダイレクトマウントにて装着される スパイダーリングに目盛りが記されており、OCPを0.25刻みで調整が可能スパイダーリングに目盛りが記されており、OCPを0.25刻みで調整が可能


クランクアーム自体は6082アルミニウムから鍛造とCNC切削により作り出され、アーム内部にドリルで穴を開け軽量化する”トリニティデザイン”などは引き続き採用される。

ダイレクトマウント化に伴う各種スペックはALDHU 3D+に準拠。スパイダーアーム一体型チェーンリング「SPIDERING」は別売で、楕円チェーンリングのQ-RINGSと真円のno-Qが選択できる。Q-RINGSは旧来のモデルに比べて楕円率が12.5%と上がっているほか、仮想最大歯数位置を調整できるOCPも0.25度刻みの17箇所で調整可能となっている。

パワー計測にはひずみゲージに加えて加速度センサーも使用。2.5°に1回計測を行うことで、ペダリング1回転の間にケイデンス(ペダリングスピード)が変化しやすい楕円チェーンリングでも正確なパワー測定を可能としている。

センサーやバッテリーといった電子機器はクランクアクスル内に収められるセンサーやバッテリーといった電子機器はクランクアクスル内に収められる (c)ダイアテック
スマートフォン向けのアプリもリリースされ、「TORQUE 360°」や「OCA」などのデータも分析することが出来るスマートフォン向けのアプリもリリースされ、「TORQUE 360°」や「OCA」などのデータも分析することが出来る (c)ダイアテックこれらのセンサーを用い計測できる測定項目はパワー、ケイデンス、左右バランス(左側測定による仮想値)、マイナス方向のパワーを測定できるトルクエフェクティブネス、最大パワーと平均パワーの比率であるペダルスムースネス、ペダリングの軌跡を表示できるローター独自のペダリング分析「TORQUE 360°」と、最もトルクが大きいクランク角度を分析することで最適なOCPポジションを導き出せる「OCA」という項目だ。

今作ではANT+に加えBluetooth SMARTにも新たに対応しており、各種データは無線接続されたサイクルコンピューターで表示可能な他、専用PCソフト/スマートフォン向けアプリで解析も可能。PCソフトではインドアトレーニングモードも用意されている他、パワーメーターのファームウェア更新も可能だ。

バッテリーは入手性の良い単3電池を採用しており、ドライブ側からスピンドル内部に差し込む構造としている。充電式の電池も使用可能で、約300時間のランタイムがある。

クランク長は165mm、170mm、172.5mm、175mmをラインアップ。アクスル径は30mmでローター製BBを使用することであらゆる規格に対応する。クランクアーム+アクスルの重量は510g(172.5mm)。価格は100,000円(税抜)で、取り扱いはダイアテック。



ローター INPOWER DM(チェーンリング別売)
表示可能データ : パワー、ケイデンス、左右バランス(仮想・左側クランク測定)、トルクエフェクティブネス、ペダルスムースネス、Optimum Chainring Angle(OCA)、TORQUE 360°
通信規格:ANT+/Bluetooth SMART
内蔵ひずみゲージ:アクスルシャフト内部4つ
バッテリー:単3電池(バッテリーライフ300時間)
対応ソフトウェア:ROTOR INpower ユーザーソフトウェア(無料ダウンロード)
         専用モバイルアプリケーション(iOS、アンドロイド)
クランク長:165mm、170mm、172.5mm、175mm
PCD:ダイレクトマウント
対応BB:BSA、ITA、BB86、BB30、BB30A、PF30、BBright、BB386EVO
Qファクター:147.5mm
チェーンライン:43.5mm
重量:510g(チェーンリング別)
価格:100,000円(税抜)

ローター Q-RINGS DM
歯数:53/39、52/36、50/34
楕円率:12.5%
価格:29,600円(税抜)

ローター noQ-RINGS DM
歯数:53/39、52/36、50/34
価格:25,800円(税抜)

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