スカイの撤退に伴い、スポンサー探しで世界各地を奔走してきた英トップチームが新たなるパートナーを正式に発表。英国屈指の化学会社を迎え、5月1日から「チームイネオス」として再スタートを切る。



強力なスポンサーを迎えたチームスカイ。早速5月からチームイネオスとして活動強力なスポンサーを迎えたチームスカイ。早速5月からチームイネオスとして活動 photo:Russ Ellis / TeamSky
チームスカイは3月19日にプレスリリースを出し、英ロンドン拠点の一大化学工業メーカー「Ineos(イネオス)」をタイトルスポンサーに迎えることを発表した。デイブ・ブレイルスフォード氏が率いる運営体制は変わらず、発表早々の5月1日から「チームイネオス」として活動することとなる。

新スポンサーとなるイネオス社は、英国随一の大富豪であるジム・ラットクリフ氏が一代で築き上げ、現在も運営最高責任者を務める化学メーカー。石油化学製品を主とし、これまで企業合併と買収を繰り返すことで規模を拡大し、近年は自動車生産など他業種への参入や、サッカークラブのチェルシー買収の企画やセーリングチームへの多額の資金提供など、英スポーツ界へのスポンサードにも積極的な姿勢を見せてきた。ラットクリフ氏が20年間で築き上げた総資産は98億ドル(約1兆8000億円)にも及ぶという。

衛星放送王手のスカイ、そして21世紀フォックスは2019年末までのスポンサードを表明していたが、それを前にしてイネオスとの売却合意に達したという。これによってチームスカイは5月1日からチームイネオスに変わり、5月2日から母国で開催されるツール・ド・ヨークシャーが新体制での初舞台になると思われる。

ラットクリフ氏はプレスリリースの中で「自転車競技は世界中で人気が高まっている素晴らしいスポーツだ。同様に健康維持にも役立つ他、環境問題や都市汚染を解決する手段として急激に人気を高めてきた。我々はこのようなトップチームを運営できることを嬉しく思っている」とコメントする。

クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)とエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)とエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) (c)CorVos
新たなタイトルスポンサーを迎えたブレイルスフォード氏は、スカイ運営陣への感謝と共に「このニュースはチームにとっても自転車ファンにとっても素晴らしい発表だ。素早く新スポンサーが決まったこと、チームの不安定な状態が終わったことは自信となる。ラットクリフ氏とイネオスのビジョンや情熱、そして先進性は我々のレベルをもう一段押し上げてくれるはずだ」と期待を寄せている。

ツール・ド・フランス覇者のゲラント・トーマス(イギリス)やクリストファー・フルーム(イギリス)らは公式発表を待ってからTwitter上でコメントを発表。「チーム存続を本当に嬉しく思っている。ありがとうスカイ、よろしくイネオス(トーマス)」、「2020年、そしてそれ以降も同じ選手やスタッフたちと活動できることとなって嬉しい。チームイネオスとしてもこのまま好調の流れを維持したい(フルーム)」と、それぞれ語った。

英国メディアは新スポンサーの登場によって、チームの運営資金が60億円程まで引き上げられるものと報道。より強力な資金的バックアップを得たツール常勝チームが、来年以降どのような体制を敷くのかに注目が集まっている。

text:So.Isobe