首都マスカットの海岸通りを舞台にした集団スプリントでツアー・オブ・オマーンは閉幕。ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、ディメンションデータ)が接戦を制し、アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が大会連覇を果たした。
白壁の街並みを抜け、首都マスカットを目指す photo:CorVos
ツアー・オブ・オマーン2019第6ステージ photo:A.S.O.
ツアー・オブ・オマーン2019第6ステージ photo:A.S.O.
6日間にわたって開催されたツアー・オブ・オマーンを締めくくる第6ステージはピュアスプリンター向きのレイアウト。中盤にかけてKOMが2つ設定されているものの、首都マスカットの海岸通りを含む終盤の周回コースはほぼ平坦だ。
135kmという短めのステージの大半を、ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、アージェードゥーゼール)やネイサン・ファンフーイドンク(ベルギー、CCCチーム)ら4名が逃げる展開。スプリンターにとってのラストチャンスをものにすべく、バーレーン・メリダやディレクトエネルジー、アルケア・サムシック、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルズがメイン集団を牽引し、最大3分30秒まで広がったタイム差を詰めていく。
4年連続マスカットの最終ステージ制覇に注目が集まったのはアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)。しかし、次点でポイント賞ジャージを着るクリストフは中盤のKOMで落車し、負傷によりリタイアを喫している。「とても痛むものの、怪我は問題ないはず」と語るクリストフは中東第2戦のUAEツアーに出場し、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)とタッグを組む予定だ。
逃げるステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、アージェードゥーゼール)ら photo:CorVos
リーダージャージを着て走るアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) photo:CorVos
落車したポッツォヴィーヴォをアシストする新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:CorVos
クリストフに続いてこの日は総合2位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)も落車に見舞われた。擦過傷を負いながらも再スタートしたポッツォヴィーヴォは、新城幸也らにアシストされて集団に復帰。問題なく集団内でフィニッシュラインを切っている。
合計3周する全長7.5kmの周回コースに入ると逃げグループとメイン集団のタイム差は1分に。最終的にCCCチームとアージェードゥーゼールが主導権を握ってリードアウトしたが、どのチームもエーススプリンターをうまく発射できない。バランスを崩して失速したナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)やアンドレ・グライペル(ドイツ、アルケア・サムシック)を尻目にニッツォーロが飛び出した。
ニッツォーロには別ラインからソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)とダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)が対抗し、イタリアンスプリンター3名による横一線スプリントに。誰も勝利を確信できない接戦の末、タイミングよくハンドルを投げたニッツォーロが先着した。
客船が停泊する海岸通りを走る photo:CorVos
並んでフィニッシュするジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、ディメンションデータ)、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)、ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:CorVos
ここ数年間精彩を欠いていたニッツォーロが久々の勝利。ニッツォーロは2016年にイタリア選手権を含めてシーズン7勝をマークしたが、2017年と2018年は膝の故障や落車による骨折で低迷していた。トレック・セガフレードからディメンションデータへの移籍に際して、2018年12月にニッツォーロは膝の手術を受けることを決意。膝の皿の裏側に抱えていた長年の違和感の原因を取り払ったという。
「手術を受けるまで膝に違和感があったので、トレーニングしてはストップして、トレーニングを再開してはストップする連続だった。とてもトップコンディションで走れるような状態ではなかったんだ。手術のおかげで膝は完調したけど、シーズンインに向けた乗り込みが遅れたのでまだまだコンディションは上がりきっていない。現実的になって、やるべきことをコツコツとやっていくしかない。この勝利で自信を取り戻すことができたし、2016年のレベルまで戻れると確信している」と語るニッツォーロはジロ・デ・イタリアで復権を目指す。
そして総合優勝のタイトルは2年連続でアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)の手に。「テネリフェ島で高地トレーニングを行ってきた結果であり、昨年よりも2kg軽い状態なので総合優勝には驚いていない。とにかく自分にとって過去最高のシーズンスタート。ベルギーでのクラシックシーズンが楽しみだ」と、大会連覇を果たしたルツェンコは語る。
元U23世界チャンピオンで、2018年のアジア大会ロードで別府史之(トレック・セガフレード)を下しているルツェンコは、オンループ・ヘットニュースブラッドやティレーノ〜アドリアティコ、ストラーデビエンケに出場し、その後アルデンヌクラシックに照準を合わす。オマーンでライバルたちを圧倒したカザフスタンチャンピオンは「ヨークシャーでのロード世界選手権も狙いたい」とも語っている。
総合2位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)、総合優勝アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)、総合3位ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) photo:CorVos



6日間にわたって開催されたツアー・オブ・オマーンを締めくくる第6ステージはピュアスプリンター向きのレイアウト。中盤にかけてKOMが2つ設定されているものの、首都マスカットの海岸通りを含む終盤の周回コースはほぼ平坦だ。
135kmという短めのステージの大半を、ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、アージェードゥーゼール)やネイサン・ファンフーイドンク(ベルギー、CCCチーム)ら4名が逃げる展開。スプリンターにとってのラストチャンスをものにすべく、バーレーン・メリダやディレクトエネルジー、アルケア・サムシック、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルズがメイン集団を牽引し、最大3分30秒まで広がったタイム差を詰めていく。
4年連続マスカットの最終ステージ制覇に注目が集まったのはアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)。しかし、次点でポイント賞ジャージを着るクリストフは中盤のKOMで落車し、負傷によりリタイアを喫している。「とても痛むものの、怪我は問題ないはず」と語るクリストフは中東第2戦のUAEツアーに出場し、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)とタッグを組む予定だ。



クリストフに続いてこの日は総合2位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)も落車に見舞われた。擦過傷を負いながらも再スタートしたポッツォヴィーヴォは、新城幸也らにアシストされて集団に復帰。問題なく集団内でフィニッシュラインを切っている。
合計3周する全長7.5kmの周回コースに入ると逃げグループとメイン集団のタイム差は1分に。最終的にCCCチームとアージェードゥーゼールが主導権を握ってリードアウトしたが、どのチームもエーススプリンターをうまく発射できない。バランスを崩して失速したナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)やアンドレ・グライペル(ドイツ、アルケア・サムシック)を尻目にニッツォーロが飛び出した。
ニッツォーロには別ラインからソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)とダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ)が対抗し、イタリアンスプリンター3名による横一線スプリントに。誰も勝利を確信できない接戦の末、タイミングよくハンドルを投げたニッツォーロが先着した。


ここ数年間精彩を欠いていたニッツォーロが久々の勝利。ニッツォーロは2016年にイタリア選手権を含めてシーズン7勝をマークしたが、2017年と2018年は膝の故障や落車による骨折で低迷していた。トレック・セガフレードからディメンションデータへの移籍に際して、2018年12月にニッツォーロは膝の手術を受けることを決意。膝の皿の裏側に抱えていた長年の違和感の原因を取り払ったという。
「手術を受けるまで膝に違和感があったので、トレーニングしてはストップして、トレーニングを再開してはストップする連続だった。とてもトップコンディションで走れるような状態ではなかったんだ。手術のおかげで膝は完調したけど、シーズンインに向けた乗り込みが遅れたのでまだまだコンディションは上がりきっていない。現実的になって、やるべきことをコツコツとやっていくしかない。この勝利で自信を取り戻すことができたし、2016年のレベルまで戻れると確信している」と語るニッツォーロはジロ・デ・イタリアで復権を目指す。
そして総合優勝のタイトルは2年連続でアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)の手に。「テネリフェ島で高地トレーニングを行ってきた結果であり、昨年よりも2kg軽い状態なので総合優勝には驚いていない。とにかく自分にとって過去最高のシーズンスタート。ベルギーでのクラシックシーズンが楽しみだ」と、大会連覇を果たしたルツェンコは語る。
元U23世界チャンピオンで、2018年のアジア大会ロードで別府史之(トレック・セガフレード)を下しているルツェンコは、オンループ・ヘットニュースブラッドやティレーノ〜アドリアティコ、ストラーデビエンケに出場し、その後アルデンヌクラシックに照準を合わす。オマーンでライバルたちを圧倒したカザフスタンチャンピオンは「ヨークシャーでのロード世界選手権も狙いたい」とも語っている。

ツアー・オブ・オマーン2019第6ステージ結果
1位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、ディメンションデータ) | 3:07:12 |
2位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
3位 | ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アスタナ) | |
4位 | クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
5位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | |
6位 | ボリス・ファレー(ベルギー、ワンティ・グループゴベール) | |
7位 | レト・ホレンシュタイン(スイス、カチューシャ・アルペシン) | |
8位 | アモリー・カピオ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) | |
9位 | ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルズ) | |
10位 | スヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
76位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) |
個人総合成績
1位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 21:45:51 |
2位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:44 |
3位 | ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) | 0:00:47 |
4位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 0:00:53 |
5位 | エリー・ジェスベール(フランス、アルケア・サムシック) | 0:01:03 |
6位 | ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 0:01:14 |
7位 | エリオ・リエター(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル) | 0:01:25 |
8位 | ファビアン・ドゥべ(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 0:01:31 |
9位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、ラリーUHCサイクリング) | 0:01:43 |
10位 | カンタン・パシェ(フランス、ヴィタルコンセプト・B&Bホテルズ) | 0:01:51 |
ポイント賞
1位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 45pts |
2位 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 32pts |
3位 | ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ) | 23pts |
ヤングライダー賞
1位 | エリー・ジェスベール(フランス、アルケア・サムシック) | 21:46:54 |
2位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、ラリーUHCサイクリング) | 0:00:40 |
3位 | ステフ・クラス(ベルギー、カチューシャ・アルペシン) | 0:00:50 |
チーム総合成績
1位 | カチューシャ・アルペシン | 65:25:36 |
2位 | ディメンションデータ | 0:01:30 |
3位 | アージェードゥーゼール | 0:05:17 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos