複数名を揃えたオランダ勢がシクロクロス世界選女子U23レースの表彰台を独占。インゲ・ファンデルヘイデンが初のアルカンシエルを獲得した。松本璃奈(TEAM SCOTT)はメカトラブルによってランニングを強いられ完走とならなかった。



テント内でウォーミングアップを行う松本璃奈(TEAM SCOTT)テント内でウォーミングアップを行う松本璃奈(TEAM SCOTT) photo:Nobuhiko.Tanabe笑顔を見せるセイリン・デルカルメンアルバラードとフルール・ナーゲンガスト(オランダ)	笑顔を見せるセイリン・デルカルメンアルバラードとフルール・ナーゲンガスト(オランダ) photo:Nobuhiko.Tanabe

11時に17ヶ国48名が一斉スタート。集団前方をオランダチームが固める11時に17ヶ国48名が一斉スタート。集団前方をオランダチームが固める photo:Nobuhiko.Tanabe
デンマークの港町ボーゲンセを舞台にしたシクロクロス世界選手権。会場を濡らした雨雲は過ぎ去り日差しが差し込んだものの、相変わらず気温は1℃と低め。ライン上には硬く滑りやすい泥が残った。

2日目の幕開けを告げる女子U23レースに参加したのは17ヶ国48名。2016年、2018年と2度優勝しているイヴィ・リチャーズ(イギリス)は膝の手術を受け不在。その座を狙う1997〜2002年生まれの次世代選手たちが火花を散らした。

序盤から主導権を握ったのは、この世代でも圧倒的な層の厚さを誇るオランダチームだった。ロードではCCC・リブに所属するインゲ・ファンデルヘイデンやU23欧州王者で優勝候補筆頭のセイリン・デルカルメンアルバラード、ワールドカップU23ランキングで総合2位のフルール・ナーゲンガストら、欧州選手権で表彰台を独占したメンバーがチームプレイを展開する。

青空に恵まれた大会2日目。しかし気温は1℃と路面が乾くには至らない青空に恵まれた大会2日目。しかし気温は1℃と路面が乾くには至らない photo:Nobuhiko.Tanabe
1周目 オランダ勢中心にレースが幕開ける1周目 オランダ勢中心にレースが幕開ける photo:Nobuhiko.Tanabe先頭グループから抜け出しを試みるインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ)ら先頭グループから抜け出しを試みるインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ)ら photo:Nobuhiko.Tanabe

カテゴリーで唯一登坂を乗車でクリアしたアンナ・カイ(イギリス)カテゴリーで唯一登坂を乗車でクリアしたアンナ・カイ(イギリス) photo:Nobuhiko.Tanabe静かにアタックの時を待つセイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ)静かにアタックの時を待つセイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ) photo:Nobuhiko.Tanabe

ベルギー勢と絡みながら走る松本璃奈(TEAM SCOTT)ベルギー勢と絡みながら走る松本璃奈(TEAM SCOTT) photo:Nobuhiko.Tanabe
オランダ勢以外で先頭グループに加わったのはアンナ・カイ(イギリス)やシルヴィア・ペルシコ(イタリア)、マリオン・ノーブルリブロール(フランス)ら。オランダ勢を軸に2,3名による抜け出しと追走、吸収、牽制を続けながら、およそ7,8名が静かな戦いを進めていく。

2列目スタートの全日本女王、松本璃奈(TEAM SCOTT)は隊列中盤でレースを進めていたものの、メカトラブルでピットまでランニングを強いられる事態に。松本にとって初のシクロクロス世界選手権はマイナス2ラップという苦い結果に終わった。

一方、牽制を続ける先頭グループには後方から次々と選手が合流し、最終周回突入時には10名まで膨れ上がる。すると優勝争いに向けて振い落としを掛けるべく、優勝候補のオランダ勢3名が断続的なペースアップを開始。イタリアやイギリスの苦戦を確認したアルバラードが最後のキャンバー区間で仕掛けた。

牽制によってスローペースで進む。集団の人数は最終周回突入時に10名まで膨れ上がる牽制によってスローペースで進む。集団の人数は最終周回突入時に10名まで膨れ上がる photo:Nobuhiko.Tanabe
最終周回、フルール・ナーゲンガスト(オランダ)がペースアップを試みる最終周回、フルール・ナーゲンガスト(オランダ)がペースアップを試みる photo:Nobuhiko.Tanabe1-2-3フィニッシュを決めたオランダ。インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ)がロングスパートを成功させた1-2-3フィニッシュを決めたオランダ。インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ)がロングスパートを成功させた photo:Nobuhiko.Tanabe


鋭いライン取りでリードを稼いだ欧州王者が必勝パターンに持ち込むかと思われたが、ここからオランダチーム内によるメダル争いが勃発。スピードに長けるファンデルヘイデンが舗装路で追いつき、最終フライオーバーを利用してパスすると、アルバラードに追撃する力は残っていなかった。

19歳、ロードレースとシクロクロスを兼業するファンデルヘイデンが、今季の欧州選手権やオランダ選手権で負け続けたアルバラードを破り自身初のアルカンシエルを獲得。2位にはアタックの口火を切ったナーゲンガストが入り、最後の最後で失速したアルバラードは3位。序盤から主導権を握り、他国のアタックを徹底マークし続けたオランダが表彰台を独占した。

チームメイト同士の戦いを制したインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ)チームメイト同士の戦いを制したインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ) photo:Nobuhiko.Tanabeレースを動かしたマリオン・ノーブルリブロール(フランス)は9位レースを動かしたマリオン・ノーブルリブロール(フランス)は9位 photo:Nobuhiko.Tanabe

シクロクロス世界選手権2019 女子U23表彰台シクロクロス世界選手権2019 女子U23表彰台
以下は松本のコメント。

「前半は(目標の)20位以内で走れていました。ストレートはロード選手が強く、自分も少し脚を使ってしまっているなと感じながらもローテーションを回しながら走れていました。でもメカトラブルのダメージがあまりにも大きく、本当に悔しい。来年は強くなってこの場所に戻り、今度は一桁順位で走れるようになりたいと感じます」。

メカトラブルで戦線離脱を強いられた松本璃奈(TEAM SCOTT)メカトラブルで戦線離脱を強いられた松本璃奈(TEAM SCOTT) photo:Nobuhiko.Tanabe
シクロクロス世界選手権2019 女子U23結果
1位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ) 42’09”
2位 フルール・ナーゲンガスト(オランダ) +03”
3位 セイリン・デルカルメンアルバラード(オランダ) +08”
4位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア) +09”
5位 アンナ・カイ(イギリス) +09”
6位 パック・ピーテルス(オランダ) +09”
7位 ケイティ・クローズ(アメリカ) +17”
8位 ニコル・コラー(スイス) +17”
9位 マリオン・ノーブルリブロール(フランス) +21”
10位 クララ・ホンシンガー(アメリカ) +22”
47位 松本璃奈(TEAM SCOTT) -2LAPS
text:So.Isobe
photo:Nobuhiko.Tanabe in Bogense, Denmark

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