最先端のトレンドであるディスクエアロロードにグエルチョッティも参入。老舗イタリアンブランドらしさが詰まったハイパフォーマンスマシン「EUREKA AIR DISC」の実力に迫る。



グエルチョッティ EUREKA AIR DISCグエルチョッティ EUREKA AIR DISC (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
大小さまざまなロードバイクブランドが並び立つイタリア。その中でも老舗ブランドの一つに数えられるのがグエルチョッティだ。イタリアンブランドの多くがそうであるように、このグエルチョッティもブランドネームは創業者である兄弟の名から取られたもの。

一方で、ロードレースではなくシクロクロスにルーツを持つのがグエルチョッティのユニークな点だ。シクロクロス選手であったグエルチョッティ兄弟が造ったバイクは、多くのトップシクロクロッサーの走りを支えてきた。とはいえ、もちろんロードレースの世界でも確かな存在感を示しており、近年はポーランド籍のプロコンチネンタルチーム、CCCスプランディ・ポルコウィチェをスポンサードし、ジロ・デ・イタリアでもグエルチョッティバイクを駆る姿が見られた。

ヘッド部分はインテグレーテッドデザインを採用することで空力性能を特性を高めているヘッド部分はインテグレーテッドデザインを採用することで空力性能を特性を高めている トップチューブにはグエルチョッティが創業したミラノの紋章が入るトップチューブにはグエルチョッティが創業したミラノの紋章が入る マッシブな造形のフロントフォークマッシブな造形のフロントフォーク


そんな老舗ブランドの最新モデルとなるのが、EUREKA AIR DISC。2018モデルとして登場したブランド初のエアロロード、EUREKA AIRをベースにディスクブレーキへと最適化し、空力性能とオールウェザーな性能を兼ね備えた最先端のレーシングバイクとして発表された一台だ。

各社が技術の粋を結集し、独創的なモデルを次々に送り出してくるエアロディスクブレーキロードカテゴリーに、グエルチョッティが用意したEUREKA AIR DISCは、ライバルたちに引けを取らない一級のレーシングバイクとして仕上がっている。

エアロダイナミクスを意識したダウンチューブは縦に太い造形エアロダイナミクスを意識したダウンチューブは縦に太い造形 ハンドルとステムはワイヤー類を内装することが出来る専用設計品ハンドルとステムはワイヤー類を内装することが出来る専用設計品


フラットマウントに対応したディスクブレーキ専用バイクだフラットマウントに対応したディスクブレーキ専用バイクだ トップチューブはシート側へ行くほど細身に設計することで快適性を確保トップチューブはシート側へ行くほど細身に設計することで快適性を確保


CFD解析を通して綿密に計算されたフレーム形状は、エアロダイナミクスを追求したもの。ほぼすべての箇所が翼断面形状とされているが、中でもボリューム感のあるダウンチューブはNACA断面に近しいチュービングを採用することで、空力と剛性のバランスを最適化し、レースに相応しい性能を与えている。

インテグレーションされたフォーククラウンからヘッドチューブ、ダウンチューブにかけての造形や、リアホイールに沿うようにカットオフされたシートチューブ、コンパクトなリアトライアングルなど、フレームの随所に、空力性能を向上させるための工夫が見て取れる。

パワー伝達性を高めるためしっかりとした作りとしたチェーンステーパワー伝達性を高めるためしっかりとした作りとしたチェーンステー BB周りはボリューミーに仕上げることで剛性を上げ、パワー伝達性を高めているBB周りはボリューミーに仕上げることで剛性を上げ、パワー伝達性を高めている


まさに、最先端のエアロロードのイロハを抑えた設計となっているが、どこかにイタリアンブランドらしいエッセンスを感じるのは、グエルチョッティならでは。直線的なデザインのエアロロードが増える中、艶めかしい曲線美を活かしたフレームシェイプはEUREKA AIR DISCのアイコニックな部分でもある。

さらに、パーツメーカーのTEC(テック)と共同開発されたシステムにより、フロントブレーキホースを除いたケーブル類のフル内装を実現している。見た目に大がかりなギミックを施すことなく、空気抵抗の削減とスマートなルックスを手に入れた。

コンパクトデザインを採用したリアトライアングルコンパクトデザインを採用したリアトライアングル 細身のシートステーが振動吸収性を担っている細身のシートステーが振動吸収性を担っている 臼式のシートクランプを採用 シートクランプにはカバーが付属する臼式のシートクランプを採用 シートクランプにはカバーが付属する


レースバイクに必要な反応性を確保するため、メインのフレーム素材には高弾性の40HMカーボンを使用。強度が必要であったり、快適性を持たせたい箇所には弾性率の異なる30HMカーボンや24HMカーボンを使用し、適材適所なレイアップを施している。

更に、内部から高圧を加えることによって樹脂中の空隙を排除し、剛性と強度を飛躍的に向上させるワンピースモノコック製法によって製造される。優れた素材と、その性能を引き出す製法によって、軽量かつ高剛性なフレームへと仕上がるのだ。

ディスクブレーキ周りも最新のスペックを与えられている。前後フラットマウント、12mmスルーアクスル、最大160mmローター径に対応する。鮮烈なイタリアンレッドを纏うテストバイクには、R9170 DURA-ACE Di2と、シマノのWH-R9170-C40-TUをアセンブル。老舗イタリアンブランドがトレンドのカテゴリに送り出した新作の実力とは。それではインプレッションをお届けしよう。



― インプレッション

「ハイスピードでも操りやすい安定感あるコーナリング性能が魅力」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)

フレーム全体に硬質な印象のあるエアロロードらしい乗り味のレーシングバイクだと思いました。特にフロント周りがしっかりとしている印象で、コーナリングやバイクを振った時の安定感は非常に高いです。BB周りなどは少しウィップ感を感じるのですが、フレームの芯の部分はしっかりしており、パワー伝達性が高いように感じます。

「ハイスピードでも操りやすい安定感あるコーナリング性能が魅力」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)「ハイスピードでも操りやすい安定感あるコーナリング性能が魅力」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
このバイクに乗った時に、1番印象的だったのがフロント周りの剛性の高さですね。ダンシングやスプリントでバイクを横に振ったり、コーナーを曲がるときなどの安定感が非常に高いです。フレームの中心軸がしっかりと定まっており、ブレが少ない印象で、あらゆるバイクの挙動に安心感があります。

そのため、エアロロードですが直進安定性が高すぎて曲がりづらいといったこともなく、素直なハンドリングが特徴的です。むしろハイスピードなコーナリングは得意な部類のバイクですので、長めのワインディングロードなど峠の下り道が楽しく思えるバイクだと思います。

対してBB周りはボリューミーな造形ですが、少し柔軟性を持った剛性感に仕上がっています。踏み込むとフレームがややしなって力を受け止めてくれ、そのままリズム良く推進力に変換していくような、少し伸びのある進み方をしてくれます。フレームのリズム感を掴んでペダリングできれば、さらにバイクの良さを引き出せそうですね。

やはり得意なシーンは平坦や下りだと思います。登りも必要十分にこなすことが出来るため、アップダウンのあるコースには最適でしょう。少しテクニカルな下りを擁しているとアドバンテージを得られるのではないでしょうか。群馬CSCなどのハイスピードでアップダウンをこなすレースにはベストな選択だと思います。

この性能でフレームセット40万円という価格はお買い得だと思います。パフォーマンス的には50万くらいのバイクと言っても申し分無いですね。フレームのデザインもレーシーなスタイルで格好いいですし、人と被らないバイクが欲しいというライダーにもオススメの1台です。

グエルチョッティ EUREKA AIR DISCグエルチョッティ EUREKA AIR DISC (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
グエルチョッティ EUREKA AIR DISC
フレーム:40HMカーボン、30HMカーボン、24HMカーボン
フォーク:カーボンモノコック
重量:1,180g
ヘッド規格:上下1-1/2インチ
BB:プレスフィットBB86
サイズ:XXS、XS、S
フレーム重量:1,180g
価格:400,000円(税抜、フレームセット)



インプレッションライダーのプロフィール

高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)高木友明(アウトドアスペース風魔横浜) 高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)

横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。物を売るだけでなくお客さんと一緒にスポーツサイクルを楽しむことを大事にし、イベント参加なども積極的に行っている。

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text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO