12月15日の土曜日、毎年恒例となったエキップアサダイヤーエンドパーティーが赤坂シュビアにて催され、この中でEQADS(エカーズ)の今季活動報告と、先日発表となった2019年体制が改めて案内された。パーティーの模様とともに、その内容をお伝えする。



パーティーの幕開けは、壇上に揃った選手とスタッフを前に、チームスポンサーを長年続ける渡辺クリニックの渡辺仁院長の音頭による乾杯。ここから歓談を挟んだ後、浅田顕監督がスクリーンにスライドを映し出し、今季実績を紹介するプレゼンテーションが始まった。

オープニングでは2018年のエカーズを振り返るムービーが流されたオープニングでは2018年のエカーズを振り返るムービーが流された photo: Yuichiro Hosoda渡辺クリニックの渡辺仁(わたなべ じん)院長の乾杯で始まったエキップアサダイヤーエンドパーティー。渡辺院長は、自らも生粋のサイクリストだ渡辺クリニックの渡辺仁(わたなべ じん)院長の乾杯で始まったエキップアサダイヤーエンドパーティー。渡辺院長は、自らも生粋のサイクリストだ photo: Yuichiro Hosoda

「2018の目に見える成長」と題し、今年の活動報告を行う浅田顕監督「2018の目に見える成長」と題し、今年の活動報告を行う浅田顕監督 photo: Yuichiro Hosoda
2018年のエカーズは、浅田監督からも「目に見える成長」と評された通り、数々のレースで選手が優勝、あるいは上位入賞を果たし、大きな成果を挙げた。その主な戦績を、浅田監督の人柄が垣間見えるジョークを写真で紹介しながら月別に追っていこう。

まず、レースシーズンのはじまりとなった2月のアジア選手権ロードレースで松田祥位がチームTT優勝。石上優大、渡邉は同大会のU23ロードで優勝した山本大喜のアシストとして貢献した。3月は仏のトロフェ・デ・バスティドで渡邉が2位、小笠原匠海が最優秀ジュニア賞を獲得。4月のツール・ド・オート=ビゴールでは松田が優勝。5月にはプロへの登竜門とされるロンド・リザール(UCI2.2U)で石上がスプリントに絡み9位入賞。

そして迎えた6月末の全日本選手権、U23で石上と松田がワンツー体制を築き、そのままフィニッシュ。U17は津田悠義が独走でチームTTとロードのダブルタイトルを獲得した。他、この間に行われた欧州のレースの多くで選手達がトップ10入りを果たしている。8月に入るとプリ・デ・フェット・デ・サン・シンフォリアンで小笠原と蠣崎優仁がワンツーフィニッシュ。小笠原は2日後のクレオン・ダルマニャックでも優勝し、2連勝を遂げている。

全日本選手権ロードU23のゴール後の写真を指さして「これは松田がなんで置いてったんすかと石上に怒って、津田がそれに同意しているところです。私はその場にいなかったんですが」と冗談を言う浅田監督全日本選手権ロードU23のゴール後の写真を指さして「これは松田がなんで置いてったんすかと石上に怒って、津田がそれに同意しているところです。私はその場にいなかったんですが」と冗談を言う浅田監督 photo: Yuichiro Hosoda
ブエルタ・ア・カンタブリアでの松田祥位の第3ステージ優勝を大きな写真入りで伝えるスペインの地元2紙。「写真は松田なのに見出しは(総合優勝の)ゴンザレスさんでした」と浅田監督が笑いを誘ったブエルタ・ア・カンタブリアでの松田祥位の第3ステージ優勝を大きな写真入りで伝えるスペインの地元2紙。「写真は松田なのに見出しは(総合優勝の)ゴンザレスさんでした」と浅田監督が笑いを誘った photo: Yuichiro Hosoda浅田監督「私はこの写真が好きで、勝った小笠原が悔しそうで、後ろの蠣崎の方が勝ったみたいになっているところが面白いんですよね」浅田監督「私はこの写真が好きで、勝った小笠原が悔しそうで、後ろの蠣崎の方が勝ったみたいになっているところが面白いんですよね」 photo: Yuichiro Hosoda

しかしながら最大の目標とされた2つのレースの1つ、8月のツール・ド・ラヴニールではエースとして臨んだ石上が鎖骨骨折によりリタイア。残った渡邉、松田も思うような成績を挙げられないまま閉幕。一方の9月の世界選手権ロードレースU23では同3名がDNFとなった。この結果を見て一部関係者の中からは「U23の選手育成など必要なのか?」と言った、俄には信じ難い意見も聞かれたと言う。

だが、それを除けば9月は松田がエリートレースのブエルタ・ア・カンタブリア第3ステージで優勝、国内へ戦いの舞台を移した10月のおおいたアーバンクラシック(UCI1.2)では石上と松田がエリートライダー達を退けワンツーフィニッシュ。ジャパンカップでも石上が17位とUCIポイント圏内でゴールしている。U17〜ジュニアで走った津田悠義も、11月のツール・ド・おきなわで骨折の回復途上ながらジュニア部門で優勝を遂げており、浅田監督が取り組んでいる若手選手の強化育成が実を結びつつあることも事実だ。

おおいたアーバンクラシックでワンツーフィニッシュを遂げた石上優大と松田祥位おおいたアーバンクラシックでワンツーフィニッシュを遂げた石上優大と松田祥位 photo:Satoru Kato
全日本選手権やおおいたをはじめ、2018年のエカーズは公式戦14勝を挙げた全日本選手権やおおいたをはじめ、2018年のエカーズは公式戦14勝を挙げた photo: Yuichiro Hosodaエカーズの2018年累計UCIポイントは261.67ポイント。ヴァーチャルながらアジア3位のポイントとなるエカーズの2018年累計UCIポイントは261.67ポイント。ヴァーチャルながらアジア3位のポイントとなる photo: Yuichiro Hosoda

数字にも目をやると、2018年にエカーズの選手たちが積み重ねた主な勝利は14勝、UCIアジアツアーのポイントは261.67ポイント。後者はあくまでも所属選手個別のポイントを累計したヴァーチャルなものだが、これはランキング首位のキナンサイクリングチーム(976P)、2位のチーム右京(902.67P)に次ぐ第3位の成績となる。こういった実際の数字からも選手たちの成長を見てとれる事が、2018年のエカーズの成果と言って良いだろう。



2019年所属選手は、湯浅と平井が加入し計9名

パーティーでは、12月3日に発表となった2019年のチーム体制も改めて案内された。正所属は松田祥位、蠣崎優仁、宇賀隆貴、小笠原匠海の4名が継続、浜田大雅と新城銀二が抜け、平井光介と湯浅博貴が新規加入となる。

クラブチームのTEAM YOU CANから2019年のエカーズへ新加入する平井光介クラブチームのTEAM YOU CANから2019年のエカーズへ新加入する平井光介 photo: Yuichiro Hosoda
宇都宮ロードレースE1で優勝した平井光介宇都宮ロードレースE1で優勝した平井光介 photo:Satoru Kato東日本ロードクラシック群馬E3で優勝した湯浅博貴東日本ロードクラシック群馬E3で優勝した湯浅博貴

平井光介は山梨県出身、U23カテゴリーでのスタートで、浅い競技経験ながら2018年は国体ロードレースの少年の部や、JBCF宇都宮ロードレースのE1優勝と言う成績を収めている。湯浅博貴は埼玉県出身。合宿中のためパーティーへは参加出来なかったが、今季のJBCF東日本ロードクラシック群馬のE3や秩父宮杯 高校の部で優勝している期待のジュニア選手だ。

U23のうち石上優大と渡邉歩はひき続き欧州クラブチームへの派遣と言う形を取る。石上は今季と同じくAVC Aix-en-Provence(フランスDN1チーム)へ、渡邉歩は移籍し、POC Côte de Lumiére(フランスDN2チーム)が来季の所属先だ。ジュニアの津田悠義も今季と同様に三好高校で高体連への登録をしながらエカーズ準所属選手として走る。

「今年はプラスマイナスゼロ。来年は最終年なので必ずプロ入りにふさわしい成績を残す」と誓った石上優大「今年はプラスマイナスゼロ。来年は最終年なので必ずプロ入りにふさわしい成績を残す」と誓った石上優大 photo: Yuichiro Hosoda渡邉歩は「あまりいいところがなく終わってしまった。残り1年、結果を出さないといけない」と危機感を募らせた渡邉歩は「あまりいいところがなく終わってしまった。残り1年、結果を出さないといけない」と危機感を募らせた photo: Yuichiro Hosoda「欧州のレースでもそれなりの成績を残せたのは良かった。来季は上積みしていきたい」と語った松田祥位「欧州のレースでもそれなりの成績を残せたのは良かった。来季は上積みしていきたい」と語った松田祥位 photo: Yuichiro Hosoda

「苦手な部分がまだまだある。来季克服したい」と蠣崎優仁「苦手な部分がまだまだある。来季克服したい」と蠣崎優仁 photo: Yuichiro Hosoda宇賀隆貴「ヘルニアで前半戦えず悔しい思いをした。来年はケアをしながら1年走って成績を残したい」宇賀隆貴「ヘルニアで前半戦えず悔しい思いをした。来年はケアをしながら1年走って成績を残したい」 photo: Yuichiro Hosoda小笠原匠海「勝てたレースもあったが、平坦系のレースばかり。来年は上りも強化したい」小笠原匠海「勝てたレースもあったが、平坦系のレースばかり。来年は上りも強化したい」 photo: Yuichiro Hosoda

また、2019年度JBCFのJPTカテゴリー登録申請を断念したことも合わせて説明された。海外での活動が中心であるチームの特性上、参加レース数不足や都度のメンバー不足によりJPT規定を守ることが出来ない事、限られた強化育成費用の中で低頻度のレース参加に対し加盟金の負担が過剰になってしまう事などが理由として述べられた。

壇上に揃った選手達を紹介する浅田監督壇上に揃った選手達を紹介する浅田監督 photo: Yuichiro Hosoda今季からメカニックとして加入している檀祐太郎。目指すは同チームや日本代表でも活躍中の高橋優平メカだ今季からメカニックとして加入している檀祐太郎。目指すは同チームや日本代表でも活躍中の高橋優平メカだ photo: Yuichiro Hosoda



選手のゼッケンや新城幸也グッズも登場の抽選会

今季報告と来季所属選手の発表の間に行われたパーティー内イベント。今年は、スポンサー各社や選手達の提供による、グッズ抽選会が催された。選手たちからはジャージやゼッケン、はたまた自分のお気に入りグッズや地元の名物などが、スポンサーからはヘルメットやバッグ、サプリメント、ホテルのペア宿泊券など、豪華な賞品が提供された。

この抽選会ではチームOBである新城幸也からも数々のグッズが贈られた。新城本人はバーレン・メリダのチームキャンプに参加中のため、パートナーの飯島美和さんが参加し、自らMCをしながら抽選を行ってくれた。

抽選会では、スポンサー各社から数多くの豪華プレゼントが用意された抽選会では、スポンサー各社から数多くの豪華プレゼントが用意された photo: Yuichiro Hosoda浅田監督は、現役時代のウィンタージャージをプレゼント浅田監督は、現役時代のウィンタージャージをプレゼント photo: Yuichiro Hosoda

飯島美和さんから浅田監督へ、ご自身が撮影した新城幸也の写真パネルが贈られた飯島美和さんから浅田監督へ、ご自身が撮影した新城幸也の写真パネルが贈られた photo: Yuichiro Hosodaこちらの方はバーレーン・メリダの新城幸也名前入りスーツケースをゲット。もちろん本人が使っていたもの!こちらの方はバーレーン・メリダの新城幸也名前入りスーツケースをゲット。もちろん本人が使っていたもの! photo: Yuichiro Hosoda



チーム内年間表彰、金賞は石上優大

パーティー終盤には、今年活躍した選手たちへの年間表彰も行われた。見事金賞に輝いたのは石上優大。全日本ロードU23やおおいたアーバンクラシックなどの勝利が評価された。銀賞は松田祥位。U23初年度ながら、石上に次ぐ成績を挙げており、こちらも文句なしの受賞だ。銅賞は、小笠原、宇賀、蠣崎、渡邉の4名。U17やジュニアのレースを席巻した津田悠義は特別賞を与えられた。

チーム内表彰の金賞を獲得したのは石上優大チーム内表彰の金賞を獲得したのは石上優大 photo: Yuichiro Hosoda田之頭後援会長から銀賞を受け取る松田祥位田之頭後援会長から銀賞を受け取る松田祥位 photo: Yuichiro Hosoda

銅賞を獲得した4名。左から宇賀、小笠原、蠣崎、渡邉銅賞を獲得した4名。左から宇賀、小笠原、蠣崎、渡邉 photo: Yuichiro Hosoda特別賞を受賞した津田悠義(EQADS)特別賞を受賞した津田悠義(EQADS) photo: Yuichiro Hosoda



表彰が終わると、パーティー終了に先だって、今なおトッププロとしてワールドツアーを走る新城幸也から選手たちへのメッセージが、その歴史を振り返る映像とともに飯島美和さんにより代読された。「おじさんの昔話」と謙遜しながらも、かつて福島晋一に「常に明確な目標を持て」と言われ「10年日記を書き、それよりも1年早くプロ入りを果たした」と言うエピソードなどを披露。「エキップアサダで走るからには誇りを持ってください、そして強くなってください」と結んだ。

飯島美和さんによる代読で、新城幸也からのメッセージが読み上げられた飯島美和さんによる代読で、新城幸也からのメッセージが読み上げられた photo: Yuichiro Hosodaプロチーム契約をした当時の新城幸也の写真も。新城も次世代の日本人トッププロが育つことを待ち望んでいるプロチーム契約をした当時の新城幸也の写真も。新城も次世代の日本人トッププロが育つことを待ち望んでいる photo: Yuichiro Hosoda

選手や参加者に向け挨拶をするエキップアサダ後援会の田之頭宏明会長選手や参加者に向け挨拶をするエキップアサダ後援会の田之頭宏明会長 photo: Yuichiro Hosoda閉会の挨拶をする浅田顕監督閉会の挨拶をする浅田顕監督 photo: Yuichiro Hosoda

その後、エキップアサダ後援会の田之頭宏明会長の挨拶、浅田顕監督の挨拶と続きパーティーは幕を閉じた。チームとしては大きな成果を残した1年となったが、選手自身はプロ入りを目指している以上、1年どころか1レースごとが勝負であり、今後さらなる成績を残さねばならない。このオフの過ごし方も重要となるだろう。2018年を締める日を終え、気の抜けない1年がまた始まる。

2019年を戦うエカーズの選手たちと浅田顕監督2019年を戦うエカーズの選手たちと浅田顕監督 photo: Yuichiro Hosoda
EQADS 2019年所属選手(世代順)
text&photo: Yuichiro Hosoda

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