2009年3月12日、ティレーノ〜アドリアティコの第2ステージが行なわれ、上りで縮小した集団によるスプリント勝負をアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)が制覇。新鋭ベンナーティをスプリントで沈めたペタッキは「不運な怪我やトラブルを乗り越えて掴んだ勝利」と、久々のビッグウィンを喜んだ。

トスカーナ州西部の山岳地帯を進むトスカーナ州西部の山岳地帯を進む photo:Cor Vosトスカーナ州西部のヴォルテッラからマリーナ・ディ・カッラーラまでの177kmで行なわれた第2ステージ。ゴール地点はペタッキの故郷ラ・スペツィアのすぐ近くだ。

コースは前半に標高640mのモンテ・セッラを越え、海沿いの平坦区間をこなしてマリーナ・ディ・カッラーラのゴール地点を通過する。そこからポンティ・ディ・ヴァーラ(標高315m)とベディッツァーノ(標高283)を含む32kmの周回コースをグルリと一周。平均勾配5.7%・最大勾配12%のベディッツァーノを越えると、ゴールまで残り13kmだ。

激しく落車したヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)はリタイア激しく落車したヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)はリタイア photo:Cor Vos前日と同じくこの日も序盤から2名が逃げる展開。20km地点で飛び出したナショナルチャンピオンのマルチン・サパ(ポーランド、ランプレ)にエルマーノ・カペッリ(イタリア、フジ・セルヴェット)が合流し、メイン集団から最大5分のリードを稼ぎ出した。

この日は落車が多発し、中盤にはヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)やトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)、トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)を含む落車が発生。脳しんとうを起こしたブライコヴィッチは途中リタイアを余儀なくされた。

春の陽気に包まれた第2ステージ春の陽気に包まれた第2ステージ photo:Cor Vosレース後半に入るとリクイガスやLPRブレークスが追走を組織し、先頭2名とのタイム差を詰めていく。やがてゴール前の周回コースに突入すると、山岳で飛び出したカペッリが独走開始。しかし最後のベディッツァーノの頂上手前でカペッリは集団に吸収された。

山岳ではステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)やダヴィデ・レベッリン(イタリア、ディキジョヴァンニ)が集団をハイペースで引き、これによりマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)やトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)は脱落。

最終ストレートで繰り広げられた集団スプリント最終ストレートで繰り広げられた集団スプリント photo:Cor Vos優勝候補の一角ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)はラスト19kmで落車したが、無事に集団に復帰している。

カチューシャやクイックステップ、LPRブレークスが先頭を引き、最後は90名ほどの集団によるスプリント勝負に。主導権を握ったのはLPRブレークスで、牽引役ロレンツォ・ベルヌッチ(イタリア)に発射されたペタッキが先頭でスプリントを開始した。

集団スプリントを制したアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブークス)集団スプリントを制したアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブークス) photo:Cor Vosジロ・ディ・サルデーニャで激突し、1勝1敗の成績を残したペタッキとベンナーティ。この新旧イタリアンスプリンターの一騎打ちに持ち込まれ、早々にベルヌッチが両手を挙げる中、最後まで先頭を明け渡さなかったペタッキがそのままゴールに飛び込んだ。

復活を遂げたかつての世界トップスプリンターが、ゴールラインで喜びを爆発させた。ボーナスタイムを獲得して総合2位に浮上したペタッキは「(2006年のジロで)膝を痛めてから、こんな好調なのは初めて」と語る。リーダージャージは初日にステージ優勝を飾ったジュリアン・エルファレス(フランス、コフィディス)が守っている。

ディルーカと優勝を喜ぶアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)ディルーカと優勝を喜ぶアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス) photo:Cor Vos2005年にミラノ〜サンレモを制しているペタッキは「これだけ上りをこなせるということは、(ミラノ〜サンレモの)マニエとチプレッサで消耗しなくて済むということ。ベンナーティは上りも難なくこなすスプリンターで、カヴェンディッシュは若くてとても強い。でもサンレモのスプリントはそれだけじゃ足りない。サンレモで勝つのは『速い選手』ではなくて『(消耗していない)フレッシュな選手』なんだ」と、プリマヴェーラ(サンレモの呼称)2度目の制覇に向けて意気込みを語った。

落車後の集団復帰に力を使ってしまったベンナーティは「追走に力を使いすぎたんだ。やれるだけのことはやったよ」と悔しさを滲ませる。今後のステージでリベンジを狙う。

選手コメントはイタリア・ガゼッタ紙より。

ティレーノ〜アドリアティコ2009第2ステージ結果
1位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)4h32'42"
2位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
3位 コルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)
4位 ドミニク・ロラン(カナダ、サーヴェロ)
5位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
6位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、ディキジョヴァンニ)
7位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)
8位 エンリーコ・ロッシ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)
9位 バーデン・クック(オーストラリア、ヴァカンソレイユ)
10位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ)

個人総合成績
1位 ジュリアン・エルファレス(フランス、コフィディス)8h06'32"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)+15"
3位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
4位 エンリーコ・ロッシ(イタリア、チェラミカ・フラミニア)+24"
5位 レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コフィディス)+25"
7位 アッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)
8位 ロレンツォ・ベルヌッチ(イタリア、LPRブレークス)
9位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)
10位 ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア)

ポイント賞
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)

山岳賞
ジュリアン・エルファレス(フランス、コフィディス)

新人賞
ジュリアン・エルファレス(フランス、コフィディス)

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