ミラノとトリノを結ぶ「イタリア最古のレース」。世界王者アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やフィニッシュ手前で落車したミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)を振り切って、ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が独走勝利した。
ミラノからトリノまで、前半はひたすら平坦路が続く photo:RCS Sport
ミラノ〜トリノ2018コースマップ photo:RCS Sport
ミラノ〜トリノ2018コースプロフィール photo:RCS Sport
週末に欧州シーズン最後の決戦イル・ロンバルディアを控えた水曜日に行われた第99回ミラノ〜トリノは、その名の通りミラノとトリノを結ぶ200kmちょうどのクラシックレース。第1回開催は1876年まで遡るほど歴史が古く、「イタリア最古のレース」とも呼ばれる。
ミラノ近郊のマジェンタをスタートした一行はロンバルディア平原を走ってピエモンテ州のトリノへ。終盤にかけて、トリノの街を見下ろすスペルガ大聖堂に向かって距離4.9km/平均勾配9.1%/最大勾配14%という急峻な登りを2回クリアする。実質的にこのスペルガの登りで勝負が決まるため、クライマーたちがレースの主導権を握った。
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソーダル)率いる4名の逃げが最大6分のリードで平坦区間を駆け抜けたものの、トリノが近づくとともにタイム差は縮小。やがて1回目のスペルガの登りで逃げグループは吸収される。そこから世界チャンピオンが動いた。
前日のトレヴァッリ・ヴァレジーネでアルカンシェルデビューを飾ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)の攻撃によってメイン集団の人数は絞られ、ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)らをふるい落として1回目のスペルガを越えていく。度重なるバルベルデの加速によって14名の精鋭集団が形成された。
アルカンシェルを着て走るアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
スペルガの登りでペースを上げるアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
合計2回登場するスペルガの登り(距離4.9km/平均勾配9.1%/最大勾配14%) photo:RCS Sport最終登坂に向かう精鋭集団からはヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)、ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が抜け出すことに成功。フルサングらが15秒程度のリードを得た状態でスペルガ大聖堂のフィニッシュラインに向けて登坂を開始する。
追走する精鋭集団は前年度2位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)のアタックによってバラけ、ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)とイェーツが先頭グループに合流する。遅れてバルベルデやバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)もここに追いつき、フルサングのサポートを受けたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)も勝負に残った。
そこからゴデュが献身的にピノのために精鋭グループを牽引した。すると、残り1.3km地点で勝敗を分けるトラブルが発生する。先頭を引き終えたゴデュが横に逸れるタイミングで、ポジションを上げながらバルベルデの様子を振り返って確認していたロペスが衝突。絡んで落車するゴデュとロペスを尻目に、ちょうど腰を上げ始めていたピノが加速する。迷うことなく踏み始めたピノがリードを得た。
すぐさま再スタートしたロペスやバルベルデが追走したものの、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合6位&ステージ2勝、ロード世界選手権9位、ジロ・デッレミリア5位、トレヴァッリ・ヴァレジーネ2位と、直前のレースで好調ぶりを見せていたピノの独走は止まらない。スペルガ大聖堂の前に引かれたフィニッシュラインにピノが両手を挙げてフィニッシュした。
落車したロペスとゴデュを背にアタックするティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:RCS Sport
独走でフィニッシュするティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:RCS Sport
スペルガ登坂勝負を制したピノは「先頭グループに入ったゴデュに追いついてから、彼に全開で引くように指示した。彼が仕事を終えて後ろに下がろうとした時、前を見ていなかったロペスが衝突したんだ。落車で少し脚が削られたけど、待つことなんてできずフィニッシュまで全開で走った」と語る。長いミラノ〜トリノの歴史の中でピノは4人目のフランス人優勝者となった。
もちろんピノは3日後に迫ったイル・ロンバルディアにも目を向ける。ピノは2015年のイル・ロンバルディアで3位表彰台。2017年大会は5位だった。「ブエルタ以降、シーズン最後まで成績を残し続けたいと思っていた。イタリア連戦はどれも自分向き。特にこのミラノ〜トリノは自分にとって最高のセミクラシックだと思っていた。土曜日のイル・ロンバルディアでも勝ちたいけど、それはまた違う話になる」。
落車によってチャンスを失いながら、力強い走りで2位に入った”スーパーマン”ロペスは「とても調子は良かった。失速するバルベルデの様子を振り返って見た時、右に動いたピノのチームメイトと衝突してしまった。2度目の優勝を飾りたかっただけに残念だけど、起こってしまったことは仕方がない」と悔やむ。「シーズン最終戦を表彰台で終えることができてよかった」と語るロペスはイル・ロンバルディアには出場しない予定だ。
アルカンシェルを着て表彰台に上ったバルベルデは「調子が良かったので1回目のスペルガでレースを破壊することにした。でも勝つためにはもう少し控えめな走りが必要だった。レースを楽しめたし、週末のイル・ロンバルディアに向けて自信につながる走りができた。勝てるかどうかは分からないけど、脚の状態は良いよ」とコメント。バルベルデは2013年と2014年のイル・ロンバルディアで2位に入っているがまだ勝利は手にしていない。
スペルガ大聖堂の前にフィニッシュするティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:RCS Sport
表彰台 2位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)、1位ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)、3位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:RCS Sport



週末に欧州シーズン最後の決戦イル・ロンバルディアを控えた水曜日に行われた第99回ミラノ〜トリノは、その名の通りミラノとトリノを結ぶ200kmちょうどのクラシックレース。第1回開催は1876年まで遡るほど歴史が古く、「イタリア最古のレース」とも呼ばれる。
ミラノ近郊のマジェンタをスタートした一行はロンバルディア平原を走ってピエモンテ州のトリノへ。終盤にかけて、トリノの街を見下ろすスペルガ大聖堂に向かって距離4.9km/平均勾配9.1%/最大勾配14%という急峻な登りを2回クリアする。実質的にこのスペルガの登りで勝負が決まるため、クライマーたちがレースの主導権を握った。
トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソーダル)率いる4名の逃げが最大6分のリードで平坦区間を駆け抜けたものの、トリノが近づくとともにタイム差は縮小。やがて1回目のスペルガの登りで逃げグループは吸収される。そこから世界チャンピオンが動いた。
前日のトレヴァッリ・ヴァレジーネでアルカンシェルデビューを飾ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)の攻撃によってメイン集団の人数は絞られ、ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)らをふるい落として1回目のスペルガを越えていく。度重なるバルベルデの加速によって14名の精鋭集団が形成された。



追走する精鋭集団は前年度2位アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)のアタックによってバラけ、ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)とイェーツが先頭グループに合流する。遅れてバルベルデやバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)もここに追いつき、フルサングのサポートを受けたミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)も勝負に残った。
そこからゴデュが献身的にピノのために精鋭グループを牽引した。すると、残り1.3km地点で勝敗を分けるトラブルが発生する。先頭を引き終えたゴデュが横に逸れるタイミングで、ポジションを上げながらバルベルデの様子を振り返って確認していたロペスが衝突。絡んで落車するゴデュとロペスを尻目に、ちょうど腰を上げ始めていたピノが加速する。迷うことなく踏み始めたピノがリードを得た。
すぐさま再スタートしたロペスやバルベルデが追走したものの、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合6位&ステージ2勝、ロード世界選手権9位、ジロ・デッレミリア5位、トレヴァッリ・ヴァレジーネ2位と、直前のレースで好調ぶりを見せていたピノの独走は止まらない。スペルガ大聖堂の前に引かれたフィニッシュラインにピノが両手を挙げてフィニッシュした。


スペルガ登坂勝負を制したピノは「先頭グループに入ったゴデュに追いついてから、彼に全開で引くように指示した。彼が仕事を終えて後ろに下がろうとした時、前を見ていなかったロペスが衝突したんだ。落車で少し脚が削られたけど、待つことなんてできずフィニッシュまで全開で走った」と語る。長いミラノ〜トリノの歴史の中でピノは4人目のフランス人優勝者となった。
もちろんピノは3日後に迫ったイル・ロンバルディアにも目を向ける。ピノは2015年のイル・ロンバルディアで3位表彰台。2017年大会は5位だった。「ブエルタ以降、シーズン最後まで成績を残し続けたいと思っていた。イタリア連戦はどれも自分向き。特にこのミラノ〜トリノは自分にとって最高のセミクラシックだと思っていた。土曜日のイル・ロンバルディアでも勝ちたいけど、それはまた違う話になる」。
落車によってチャンスを失いながら、力強い走りで2位に入った”スーパーマン”ロペスは「とても調子は良かった。失速するバルベルデの様子を振り返って見た時、右に動いたピノのチームメイトと衝突してしまった。2度目の優勝を飾りたかっただけに残念だけど、起こってしまったことは仕方がない」と悔やむ。「シーズン最終戦を表彰台で終えることができてよかった」と語るロペスはイル・ロンバルディアには出場しない予定だ。
アルカンシェルを着て表彰台に上ったバルベルデは「調子が良かったので1回目のスペルガでレースを破壊することにした。でも勝つためにはもう少し控えめな走りが必要だった。レースを楽しめたし、週末のイル・ロンバルディアに向けて自信につながる走りができた。勝てるかどうかは分からないけど、脚の状態は良いよ」とコメント。バルベルデは2013年と2014年のイル・ロンバルディアで2位に入っているがまだ勝利は手にしていない。


ミラノ〜トリノ2018結果
1位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 4:43:36 |
2位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:10 |
3位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 0:00:28 |
4位 | マティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | 0:00:36 |
5位 | セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、グルパマFDJ) | 0:00:38 |
6位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
7位 | ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:41 |
8位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | |
9位 | ファビオ・アル(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:43 |
10位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:00:45 |
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