ブエルタ・ア・エスパーニャの2週目を締めくくる超級山岳ラゴス・デ・コバドンガ山頂フィニッシュ。「総合上位の選手たちが互いを牽制する隙にアタックする作戦が的中した」と語るステージ優勝者ティボー・ピノをはじめ、難関山岳ステージを走り終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝 ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)

シャンパンを開けるティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)シャンパンを開けるティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:Unipublic
総合上位の選手たちが互いを牽制する隙にアタックする作戦が的中した。総合で1分45秒遅れている自分は直接的な脅威にはならないので、彼らが必死に追いかけてくることはないと思っていたんだ。15秒差がついた段階で、今の自分なら逃げ切れると思っていた。

これは狙い通りのステージ優勝であり、キャリアにおいて大きな意味を持つ。全グランツールでステージ優勝を飾るという野望を叶えることができた。前半の横風ステージで総合タイムを失っていなければ、決して手にすることができない勝利だったと思う。総合争いでは苦戦していることについては悔いはないし、毎日目標を失わずに落ち着いて戦っている。

まだ3つの山頂フィニッシュが残っているので、もちろん狙っていくよ。特にアンドラの2つのステージは興味深い。タイムトライアルではタイムを挽回できると思うので、総合成績も考えながら走ることになる。自分にリミットを設定することなくマドリードまで戦い抜きたい。

ステージ2位&総合4位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)

ステージ2位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)ステージ2位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:Unipublic
まずは素晴らしいお膳立てをしてくれたチームに感謝したい。出場チームの中で最強のチームの一つであることを示すことができたと思う。何としてもステージ優勝という結果を残したくて、フィニッシュまで距離を残したところからアタック。早めにアタックしてライバルたちの動きを見るのが好きなんだ。そこまでチームがハイペースで引き続けてくれたので、良いタイミングでのアタックだったと思う。

ステージ優勝という目標は達成できなかったけど、全力を尽くしたので悔いはない。少しでもタイムを奪うために残り1.5kmでアタック。でも残り200mからがとてもタフで、ペースが落ちてしまった。今後もアタックを続けるし、調子が良い状態で最終週を迎えることができそう。まだ総合上位陣のタイム差は小さいので、まだマイヨロホ争いは開かれた状態だ。

ステージ3位&総合1位 サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

総合リードを広げたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)総合リードを広げたサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:Unipublic
素晴らしいアタックを成功させたピノを祝福したい。(ロペスとキンタナと)全く協調体制を築けなかったので、何も生み出すことはできなかった。向かい風の影響で飛び出してもリードを広げることができなかったんだ。結果的に、大きなタイム差は生まれなかった。

総合争いは拮抗した状態であり、他のライバルたちより自分が上のレベルにいるとは思っていない。モビスターのキンタナとバルベルデは2人とも強力で、現状どっちが強いかは分からない。タイムトライアルが終わった時点でモビスターの作戦が決まると思う。

明日は待ちに待った休息日。まだ総合タイム差が小さいので、個人タイムトライアルが重要な鍵を握る。長い時間をかけてタイムトライアルの能力を向上させているので、しっかりと試走して良い走りをしたい。

ステージ4位&総合2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

ポイント賞をキープしているアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)	ポイント賞をキープしているアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Unipublic
アスタナが早い段階からハイペースを刻んだおかげで、ただでさえ厳しいステージがより厳しいものになった。コバドンガの麓に近いところでミゲルアンヘル・ロペスがアタックしたのでさらに苦痛が増した。間違いなくキャリアの中で最速のコバドンガ登坂だった。ナイロのために精鋭グループのペースをできるだけ上げるように努めて、同時にタイムを失わないことも心がけた。そしてアタックしたイェーツを追いかける役目を担った。懸命にイェーツを追いかけた影響で一度は失速してしまったものの、ライバルたちが牽制でペースダウンしたので再び復帰。頂上手前の勾配が緩むことを知っていたので、復帰後も一定ペースで登り続けた。

結果的にナイロも自分も大きくタイムを失わずに済んだけど、イェーツが今大会最も強い選手だということを改めて感じたよ。エンリク・マスも日々調子を上げていて、若い彼が勝負に絡んでいるのを見ると嬉しくなる。ピノはまだ総合タイムを失った状態だけど決して侮れない存在。火曜日のタイムトライアルは問題なくこなせると思う。とてもタイトな総合争いが依然として続いているけど、あまり総合タイムにとらわれることなく日々走っていきたい。現状、この接戦から完全に抜け出すような選手は出てこないと思う。

ステージ5位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)

序盤からハイペースのとてもタフな1日だった。最後のコバドンガは自分のペースを守って登坂。アタックを繰り返すライバルたちから遅れることもあったけど、無理にテンポの変化に反応することなく走り続けた結果、フィニッシュ手前で追いつくことに成功した。大きくタイムを失わなかったので、良い1日だった。しっかり休息日に身体を休めて、最終週に気持ちを持っていきたい。まだ多くのことが可能な状態だ。

ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)とエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)とエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
ステージ6位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)

2年前にテレビで見ていたコバドンガでステージ6位。ステージ優勝には手が届かなかったものの、トップ選手と最後まで走ることができたので満足している。アタックしたピノに誰も反応しない時点でステージ優勝のチャンスはなくなったと思った。(体調不良のため服用していた)抗生物質の摂取を昨日止めて、今日は調子が上がったと感じた。マドリードまで楽しみながら走りたいし、総合トップ10で大会を終えることができれば満足だ。

ステージ7位&総合3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Unipublic
総合上位陣の力が拮抗している状態。コバドンガの戦いは神経をすり減らすもので、最後はロペスに数秒を奪われてしまった。イェーツとロペスと自分の力は肉薄していて、その状況をピノは上手く利用したと思う。今日のステージが逆転のチャンスだと判断したアスタナが総攻撃を仕掛けてきたので、誰もが大きなプレッシャーを抱える厳しいステージになった。まだ総合争いは決まっておらず、モビスターは決して悪くないポジションにつけている。タイムトライアルでライバルたちよりも良い走りをしたい。

ステージ10位 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)

決してイージーな日になるとは思っていなかったし、実際に最後のコバドンガはハイペースだった。ライバルたちのホイールに食らいつくことで精一杯だった。トップ10に入ることができたのはチームメイトたちの献身のおかげだ。明後日のタイムトライアルは特殊なコース。ハイスピードコースでありながら、2kmほどの短い登りも登場する。入念に試走して感じたのは、自分向きなコースだということ。

text:Kei Tsuji