3月6日に行なわれたブエルタ・ア・ムルシア第4ステージは、22kmの個人タイムトライアル。2年連続最速タイムを叩き出したフランティセク・ラボン(チェコ、チームHTC・コロンビア)が総合首位に立った。メンショフ(ラボバンク)は2位、ウィギンズ(チームスカイ)は3位、アームストロング(レディオシャック)は8位に。

トップタイムを叩き出したフランティセク・ラボン(チェコ、チームHTC・コロンビア)トップタイムを叩き出したフランティセク・ラボン(チェコ、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vos最終日前日の第4ステージ、総合争いにおいて重要な意味を持つ個人タイムトライアルがアルアマ・デ・ムルシアで行なわれた。コースは22kmのフラットなレイアウト。選手たちは50km/hを超えるスピードで22kmを駆け抜けた。

グランツールでの活躍が期待されるオールラウンダーたちが顔を揃える中で、22kmを平均スピード52.5km/hで駆け抜け、下位を30秒以上引き離す25分10秒のトップタイムをマークしたのはチェコのTTチャンピオン。チームHTC・コロンビア所属のラボンが、2年連続個人タイムトライアル制覇を達成するとともに、リーダージャージを獲得した。

ステージ2位のデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)ステージ2位のデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) photo:Cor Vos前日のステージを終えた時点で総合3位につけていたラボンは「今年はすでにヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合7位に入って感触を得ていたから、自信を持って走ったんだ。最後から3番目のスタートだったので、ライバルたちのタイムを参考にしながら走れるというアドバンテージがあった」と語っている。

昨年大会でラボンは第3ステージの個人TTで優勝し、リーダージャージを獲得しながらも、翌日の山岳ステージで遅れて首位を明け渡した。しかし今年は残すところ1ステージのみ。

ステージ8位のランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)ステージ8位のランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック) photo:Cor Vosラボンは大会初制覇に自信を見せる。「リーダージャージを獲得した次の日に山岳で脱落した昨年と大きく違うのは、今年はすでに重要な山岳ステージを済ませていること。明日の最終ステージはライバルチームが攻撃を仕掛けてくると思う。もちろん脅威になるけど、今年は山岳を上れている。強力なチームメイトが揃っているし、最後まで総合リードを守りきれると思う」。チームHTC・コロンビアはこれが今シーズン10勝目だ。

ラボンから33秒遅れの2位に入ったのは、ディフェンディングチャンピオンのデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)。イギリスのTTチャンピオンジャージを着て走ったブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)は3位、アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)は4位に。

そんな中「このムルシアでタイムトライアルの走りをチェックしたい」と語っていたランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)は1分18秒遅れの8位。直線基調で休む場所の無いコースについてアームストロングは「99%ずっとペダリングしていた。コーナーで脚を休めることを忘れそうになった」と振り返った。ブリュイネール監督は「結果は悪くもなければ良くもない。まずまずと言ったところ。これから今回の結果を分析して行く」と、冷静に受け止めている。

最終第5ステージは2級山岳が1つ設定された121kmで行なわれる。山岳からゴールまで距離があるため、大集団によるゴールスプリント勝負に持ち込まれる可能性が高い。

選手コメントはチームHTC・コロンビア、ならびにレディオシャック公式サイトより。

ブエルタ・ア・ムルシア2010第4ステージ結果
1位 フランティセク・ラボン(チェコ、チームHTC・コロンビア)      25'10"
2位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)               +33"
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)           +48"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)         +52"
5位 パトリック・グレッチュ(ドイツ、チームHTC・コロンビア)      +1'03"
6位 リエーヴェ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ)        +1'11"
7位 スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)             +1'18"
8位 ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)
9位 ホセ・フフレ(スペイン、アスタナ)                 +1'21"
10位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +1'23"

個人総合成績
1位 フランティセク・ラボン(チェコ、チームHTC・コロンビア)     13h17'49"
2位 デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)                +38"
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)            +53"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)          +57"
5位 ホセ・フフレ(スペイン、アスタナ)                  +1'21"
6位 スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)              +1'23"
7位 ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)
8位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)            +1'41"
9位 ルーク・ロバーツ(オーストラリア、チームミルラム)          +1'42"
10位 トマス・マルチンスキ(ポーランド、 CCCポルサット・ポルコウィチェ) +1'59"

山岳賞
リエーヴェ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ)

ポイント賞
グレーム・ブラウン(オーストラリア、ラボバンク)

チーム総合成績
ラボバンク

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos