第73回ブエルタ・ア・エスパーニャ最初の本格的な集団スプリントに持ち込まれた第3ステージ。序盤からレースをコントロールし、チームメイトにリードアウトされたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が自身初のステージ優勝を飾った。


アンダルシアの白い山岳地帯を走るプロトンアンダルシアの白い山岳地帯を走るプロトン photo:CorVos
ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第3ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第3ステージ photo:Unipublicブエルタ・ア・エスパーニャ2018第3ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2018第3ステージ photo:Unipublic

アンダルシア州らしい白壁の街ミハスをスタートする第3ステージはスプリンター向き。スタート後しばらく海岸線を走ったのち、標高1,065mの1級山岳マドローニョ峠(全長20.1km/平均4.9%)を駆け上がる。内陸の山岳地帯をぐるっと回ってからコスタ・デル・ソル(太陽海岸)に戻り、マラガ近郊のアラウリン・デ・ラ・トレでフィニッシュ。獲得標高差が3,000mに達する中級山岳ステージだが、ブエルタにおいて数少ない活躍のチャンスだけにスプリンターチームがレースをコントロールした。

この日の最高気温は前日よりも低い30度ほど。海風吹くミハスをスタートすると、13km地点のマルベーリャ在住のルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)ら6名が早速飛び出した。山岳賞ジャージを守る立場のマテマルドネスは2日連続の逃げ。

1級山岳マドローニョ峠を50分10秒かけて登りきった逃げグループは、4分のリードを築いてマテマルドネスを先頭に頂上をクリアしていく。一方、チームスカイが先頭に陣取るメイン集団は51分30秒で登坂を完了。この日最大の登りを越えると、クイックステップフロアーズが集団コントロールを開始した。

シエラ・デ・ラス・ニエベス自然公園の周囲を走るアップダウンコースで逃げグループとメイン集団のタイム差は3分差で推移する。山岳賞ジャージのマテマルドネスは続く3級山岳ビエント峠も先頭通過することに成功し、前日の11ポイントに13ポイントを加算して山岳賞首位の座を固めている。12ポイント差の山岳賞2位には、同じく2日連続逃げのピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)がつけた。

アンダルシアの内陸部に向かうプロトンアンダルシアの内陸部に向かうプロトン photo:CorVos
ジョルディ・シモン(スペイン、ブルゴスBH)を含む逃げグループジョルディ・シモン(スペイン、ブルゴスBH)を含む逃げグループ photo:CorVos

集団牽引役としてクイックステップフロアーズにボーラ・ハンスグローエも加わると逃げグループのリードは1分台に。やがて残り43km地点でタイム差が1分を切ると新たな動きが生まれる。ヴィクトール・カンペナールツ(ベルギー、ロット・スーダル)とイエール・ワライス(ベルギー、ロット・スーダル)、アレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)がカウンターアタックを仕掛け、ここに抑え役としてルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)が反応。カウンターアタッカーたちはすぐさま先頭の逃げグループに追いつき、2人ずつを揃えたアージェードゥーゼールとロット・スーダルが快調にローテーションを回し始めた。

新たな戦力を得た先頭グループはタイム差45秒で逃げ続けたものの、下り区間で前に出たカンペナールツがコーナーで落車するなど徐々に崩壊。すると、ローテーションに加わっていなかったペストルベルガーが下りで独走を開始する。追い風が吹く平坦区間を60km/hオーバーのハイペースで巡行したペストルベルガー。しかし直線的な平坦路では大集団に立ち向かえず、残り6.5km地点で逃げは全て吸収された。

リラックスして走る世界チャンピオンのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)リラックスして走る世界チャンピオンのペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos
ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)を含む逃げグループルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)を含む逃げグループ photo:CorVos

追走に力を使ったクイックステップフロアーズはリードアウトトレインを築けず、総合系チームを含むいくつものチームが集団先頭でポジション争いを繰り広げる。連続するラウンドアバウトを抜け、混戦状態のまま残り1kmアーチを切った。

常に70km/h近いスピードで突き進んだメイン集団の先頭では、残り300mでミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)がヴィヴィアーニをリードアウト。完璧なトレインを欠きながらも、タイミングよくデンマークチャンピオンがイタリアチャンピオンを発射する。ヴィヴィアーニと同時にジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)が腰を上げ、遅れてペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)も追撃体勢に入った。

ヴィヴィアーニが加速勝負でライバルたちを置き去りにした。ニッツォーロと横並びでスプリントを開始したヴィヴィアーニが先行。完全にニッツォーロの前に出たヴィヴィアーニが、先に勝利を確信して手を挙げるモルコフに見守られながら、右手を振り上げた。

エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が先頭でスプリントし、モルコフが手を挙げるエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が先頭でスプリントし、モルコフが手を挙げる photo:CorVos
ニッツォーロを下したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)ニッツォーロを下したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
「美しい勝利だ。今日は言葉が出てこないほどチームメイトたちが素晴らしかった。勝ち続けるのは簡単なことじゃない。今日は他のチームが積極的に集団を引かなかったので、コントロールするのが難しかった。ステージの約90%はクイックステップフロアーズが前を引いていたと思う。獲得標高差が3,000mに達する厳しいステージだったので勝利を確信していなかったものの、ウルフパック(狼の群れ)として一つの目標に向かってコミットしたんだ」。今シーズン世界最多の16勝目を飾った29歳のスプリンターはそう語る。ジロ・デ・イタリアでステージ通算5勝を飾っているヴィヴィアーニがブエルタでステージ優勝するのはこれが初めて。

ヴィヴィアーニは前週のユーロアイズ・サイクラシックスで連覇を飾っており、クイックステップフロアーズはこれが今シーズン58勝目。「ブエルタではステージ2位を2回経験していたので、初勝利をとても嬉しく思う。素晴らしいシーズンがこのまま続くことを願っているよ」と語るヴィヴィアーニはこの先の平坦ステージで勝利を量産するだろう。

総合2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)と並んでステージ13位でフィニッシュしたミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がマイヨロホをキープ。クウィアトコウスキーはバルベルデに対して14秒のリードで翌日の1級山岳アルファカル峠山頂フィニッシュに挑む。

ステージ優勝を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)ステージ優勝を飾ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:CorVosステージ13位のミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がマイヨロホをキープステージ13位のミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がマイヨロホをキープ photo:CorVos


ブエルタ・ア・エスパーニャ2018第3ステージ結果
1位エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)4:48:12
2位ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)
3位ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
4位ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
5位シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
6位ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)
7位ミケル・モルコフ(デンマーク、クイックステップフロアーズ)
8位マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)
9位ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
10位トム・ヴァンアスブロック(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
敢闘賞ジョルディ・シモン(スペイン、ブルゴスBH)
個人総合成績
1位ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)9:10:52
2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)0:00:14
3位ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)0:00:25
4位ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)0:00:28
5位ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)0:00:30
6位ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
7位エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)0:00:32
8位トニー・ガロパン(フランス、アージェードゥーゼール)0:00:33
9位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
10位バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)0:00:35
ポイント賞
1位ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)43pts
2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)29pts
3位エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)25pts
山岳賞
1位ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)24pts
2位ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)12pts
3位トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)5pts
複合賞
1位ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)9pts
2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)9pts
3位ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)19pts
チーム総合成績
1位チームスカイ27:33:39
2位ボーラ・ハンスグローエ0:00:48
3位クイックステップフロアーズ0:00:50
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
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