マイヨジョーヌ争いを締めくくる31km個人TTでクリストファー・フルームを1秒差で下した世界王者トム・デュムランがステージ優勝。ステージ3位のゲラント・トーマスが事実上の総合優勝を決めた。


スタートを待つトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)とゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)スタートを待つトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)とゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:CorVos
ツール・ド・フランス2018第20ステージツール・ド・フランス2018第20ステージ photo:A.S.O.ツール・ド・フランス2018第20ステージツール・ド・フランス2018第20ステージ photo:A.S.O.
ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)の走りにバスクファンが沸くヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)の走りにバスクファンが沸く photo:Kei Tsujiマイヨアポワを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)マイヨアポワを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji

最終日前日はスペイン国境に近いフレンチバスク地方を走る個人タイムトライアル。バスク地方がツールに登場するのは2006年第10ステージ以来12年ぶり。なお、今大会に登場する個人タイムトライアルはこの第20ステージだけ。個人タイムトライアルの合計が31kmという距離は異例の短さだ。

31kmのコースにはこの地域特有のアップダウンが詰め込まれており、2017年のマルセイユ個人タイムトライアルよりもずっとテクニカル。終盤には最大勾配が22%に達するピノディエタ峠(全長900m/平均10.2%)が設定されており、選手たちはTTバイクを操って勾配のある登りや下りをこなさなければならない。常に変わるリズムに対応する柔軟な走りが求められ、単純な独走力勝負にはならない。

朝から降った雨によりコースの大部分が濡れた状態でレースは始まる。コース沿道に集まったスペイン語/バスク語話者の声援を受けて、総合順位の下位から順に145名がスタートを切った。

夕方にかけて回復した天候が後半スタートの選手に味方した。乾き始めたテクニカルコースでマイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)やマルク・ソレル(スペイン、モビスター)、ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)らが好タイムをマーク。しかし総合上位陣がさらにその上をいった。

第1計測(13km地点)でトップタイムを叩き出し、続く第2計測(22km地点)でも暫定トップを維持したのは総合10位のイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)。終盤のピノディエタ峠でタイムを失ったザカリンはボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)のトップタイムに10秒届かなかったものの、タイムを伸ばせなかったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)から総合9位の座を奪うことに成功した。総合6位ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)もこの日はタイムを伸ばせず、総合7位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)との順位が逆転している。

ステージ7位/1分02秒差 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)ステージ7位/1分02秒差 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) photo:Luca Bettiniステージ34位/2分40秒差 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)ステージ34位/2分40秒差 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) photo:Luca Bettini
ステージ45位/3分11秒差 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)ステージ45位/3分11秒差 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) photo:Luca Bettiniステージ16位/1分45秒差 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)ステージ16位/1分45秒差 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Luca Bettini
ステージ22位/1分56秒差 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)ステージ22位/1分56秒差 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Luca Bettiniステージ6位/52秒差 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)ステージ6位/52秒差 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji
ステージ9位/1分22秒差 マルク・ソレル(スペイン、モビスター)ステージ9位/1分22秒差 マルク・ソレル(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsujiステージ5位/51秒差 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)ステージ5位/51秒差 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ) photo:Kei Tsuji
ステージ4位/50秒差 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)ステージ4位/50秒差 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) photo:Kei Tsujiステージ27位/2分06秒差 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)ステージ27位/2分06秒差 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Kei Tsuji

総合表彰台を争うトップ4の走りは別格だった。総合4位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が第1計測(13km地点)でマークした暫定トップタイムを唯一更新したのは最終走者のゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)。この時点で総合3位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)はフルームから30秒遅れてしまい、早くも順位が逆転する。ログリッチェは後半にかけて盛り返したものの、トップから1分12秒遅れのステージ8位に終わっている。

第2計測(22km地点)でも状況は変わらず、マイヨジョーヌのトーマスがトップタイムで、フルームが13秒遅れ、デュムランが15秒遅れ、ログリッチェが1分02秒遅れで続く。そこからアルカンシェルを着る世界王者デュムランの挽回が始まる。ピノディエタ峠をハイペースで駆け上がったデュムランが、先に暫定トップタイムでフィニッシュしたフルームを1秒上回る40分52秒でフィニッシュした。

マイヨジョーヌのトーマスは後半にかけてスピードを失ったが、前半のハイペースを生かして総合リードを守り抜く。最終的にデュムランから14秒遅れのタイムにまとめたトーマスが、総合優勝を宣言するようにガッツポーズでフィニッシュした。

40分52秒でステージ優勝したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)40分52秒でステージ優勝したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:Luca Bettini
ステージ2位/1秒差 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ステージ2位/1秒差 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Luca Bettiniステージ8位/1分12秒差 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)ステージ8位/1分12秒差 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) photo:Luca Bettini
ステージ3位/14秒差 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)ステージ3位/14秒差 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Luca Bettini
ステージ2位/1秒差 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ステージ2位/1秒差 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
40分52秒で優勝したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)40分52秒で優勝したトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:Kei Tsuji
最後のピノディエタ峠をクリアするマイヨジョーヌのゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)最後のピノディエタ峠をクリアするマイヨジョーヌのゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
最後のピノディエタ峠をクリアするマイヨジョーヌのゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)最後のピノディエタ峠をクリアするマイヨジョーヌのゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
「中間計測のタイムは聞いていなかった」というデュムラン。「フィニッシュしてすぐ1秒差で負けたという情報が入ってきたけど、実際は反対で本当に良かった」と肩をなでおろした。

2016年のステージ2勝に続く自身ステージ通算3勝目を飾ったデュムランは「昨日とてもフラストレーションのたまる結果に終わったので、今日は何としても勝ちたかった。今日のタイムトライアルで勝てたことを今も信じられない。こうして勝利でツールを締めくくり、総合表彰台に登るのは悪くない」とコメント。デュムランはこれがグランツールにおけるステージ9勝目。そのうち6勝がタイムトライアルによるもの。最終的に総合1位トーマスとのタイム差は1分51秒だった。

そして実質的な第105回ツール総合優勝の栄誉はトーマスの手に。マイヨジョーヌを着てステージ3位に入ったトーマスは「今日はしっかり踏めていたし、とても調子が良いように感じていた。無線を通してコーナーを攻めすぎだとも言われた。総合優勝したいのなら、もっとリラックスして走るんだとニコ(ポルタル監督)に言われたよ。今日は3週間の中で最も重要な1日だった。とてもストレスが大きかったけど、無事に乗り越えることができて最高の気分だ」と語る。フィニッシュ後すぐ妻と抱き合ったトーマスは「ツールで総合優勝したいう事実を未だに受け入れられないし、なんて言ったらいいんだろう。最後にこうして泣いたのは結婚の時かな」と語っている。

デュムランの優勝タイムが40分52秒だったためタイムリミットは10分13秒(優勝タイム+25%)遅れまで。9分12秒遅れたステージ145位のニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)まで145名の選手全員が制限時間内にフィニッシュし、翌日のパリ・シャンゼリゼへの凱旋切符を手にしてる。

ステージ優勝を飾ったトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)ステージ優勝を飾ったトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:Luca Bettini
マイヨジョーヌに袖を通して天を仰ぐゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌに袖を通して天を仰ぐゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Luca Bettini

ツール・ド・フランス2018第20ステージ結果
順位名前タイム平均スピード
1位トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)0:40:5245.514
2位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)0:00:0145.495
3位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)0:00:1445.255
4位ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)0:00:5044.604
5位ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)0:00:5144.586
6位ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)0:00:5244.569
7位イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)0:01:0244.391
8位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)0:01:1244.216
9位マルク・ソレル(スペイン、モビスター)0:01:2244.041
10位マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)0:01:2344.024
16位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)0:01:4543.645
22位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)0:01:5643.458
25位エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)0:01:5843.424
27位ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)0:02:0643.289
34位ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)0:02:4042.726
45位ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)0:03:1142.225
69位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)0:04:0641.364
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)80:30:37
2位トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)0:01:51
3位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)0:02:24
4位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)0:03:22
5位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)0:06:08
6位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)0:06:57
7位ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)0:07:37
8位ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)0:09:05
9位イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)0:12:37
10位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)0:14:18
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)467pts
2位アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)196pts
3位アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)183pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)170pts
2位ワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)91pts
3位ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)76pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)80:52:50
2位エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)0:05:39
3位ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)0:22:05
チーム総合成績
1位モビスター242:05:05
2位バーレーン・メリダ0:12:09
3位チームスカイ0:31:14
text&photo:Kei Tsuji in Espelette, France
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