暴風による山岳区間のニュートライズドや、総合リーダーの落車など混沌としたクロアチア2日目に、ロングスパートしたエドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)がステージ優勝。総合リーダージャージを手にした。
美しいクロアチアを駆け抜けるツアー・オブ・クロアチア (c)www.tourofcroatia.com
2日目を迎えたツアー・オブ・クロアチア(UCI2.HC)は、カルロヴァツを出発し、紀元前からの歴史を持つ美しい岬町ザダルを目指す234.5kmというロングステージで争われた。途中に3級山岳が2か所組み込まれているもののスプリンター向けで、最後は1周8.5kmの市街地コースを周回する。
この日は昨年までNIPPOに所属していたリカルド・スタッキオッティ(イタリア、Msティナ・フォーカス)やヤングライダー賞首位のジョン・ボジッチ(スロベニア、アドリアモービル)ら5名が逃げ、メイン集団が最大5分差から追い上げていく展開で中盤まで進行した。
カメラを見つけて笑う新城幸也と総合リーダーのニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:Miwa.Iijima
メイン集団の先頭を牽く新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Miwa.Iijima
メイン集団から大人数が抜け出し、一時35名が逃げた (c)www.tourofcroatia.com
山岳区間に入るとメイン集団から約30名が抜け出して先頭に追いつき、ピーター・コーニング(オランダ、アクアブルースポート)が独走態勢を築き始める。しかし山頂付近では暴風が吹きつけ、選手の安全を踏まえてレースは一時停止。平坦区間に入るまではニュートラル走行を行い、逃げていたコーニングが2分差で再スタートするという措置が取られた。
総合首位のニッコロ・ボニファツィオ(イタリア)をアシストした新城幸也(バーレーン・メリダ)は、この時の様子を次のように振り返っている。
「今日は午後にかけて風が強くなる事は天気予報通りだったが、高速も区間で通行止めになるほどの強風。レースはストップし、山頂からの下りは全選手一緒に安全に下るという措置が取られ、平坦区間に出るまでニュートラル区間とされたが、下り切っても横風でまともに真っ直ぐ走れない。油断すると落車してしまう程の風で、カメラマンバイクも選手も転倒が続出。このままレース中止かと思うほどだったが、残り35km地点でレースは再スタート。距離は短くなれど、頂上まで逃げていた選手(コーニング)はタイム差2分で時間差スタート。それは無いんじゃない?って思ったが、チームからは直ぐに1分以内に追いつくように。との指示があったので、追い風に乗って、全開で追いかけた」。
暴風の下りを前に一時レースがストップ (c)www.tourofcroatia.com
暴風の下りを前に一時レースがストップ (c)www.tourofcroatia.com
コミッセールカーと共にゆっくりと山岳を下る (c)www.tourofcroatia.com
バーレーン・メリダの追走もあってコーニングは捕まり、続いて2名が飛び出したものの大きな逃げには繋がらない。周回コース突入を前に新城は役目を終え、代わってアンドレア・グアルディーニ(イタリア)を勝たせたいバルディアーニCSFが集団先頭を固めた。
最後のフィニッシュライン通過時にマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が単独アタックを決め、コーナーが連続する市街地コースを味方に逃げ始める。しかしその後ろではスプリントに備える総合リーダーのボニファツィオが直角コーナーでクラッシュ。隊列前方での落車によって集団が割れ、影響を受けなかった10名弱がモホリッチとの距離を縮めながらラスト1kmのアーチをくぐった。
混沌とした状況でモホリッチは捕まり、グアルディーニやジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)、リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)らスプリンター勢の間隙を突いて、残り800mからエドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)がロングスパートを敢行。アシスト不在のニッツォーロとミナーリが自ら追走したものの、タイミング良くリードを稼いだグロスとの差は思うように縮まらない。スプリントで距離を詰める2人を抑えたグロスが、波乱の第2ステージで勝利を掴んだ。
ロングスパートを成功させたエドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) (c)www.tourofcroatia.com
2014年にNIPPOでプロ入りした25歳のグロスにとって、今回がキャリア2度目のHCレースでの勝利。落車により6分半遅れでフィニッシュを切ったボニファツィオからリーダージャージを引き継ぐこととなった。
「今日の最後の周回コースはテクニカルだったが、昨年も走り知っていたので、とくに驚くことはなく、冷静に、そして残り800mからスプリントを開始した。強い風に見舞われたステージだったが、チームメートたちが風を遮るなどサポートしてくれ、素晴らしいチームワークで勝利することができ、また総合リーダーにもなれたことを嬉しく思っている。明日のステージは厳しいもので、どうなるかわからないが、今はこの勝利を喜びたい」とグロスは1日を振り返っている。
一方、「リーダージャージのボニー(ニッコロ・ボニファツィオ)は落車してしてしまい、幸い怪我は大したことがなかったので良かったが、1日中、集団を引いて仕事をしたが結果には繋がらなかった。最後の5kmで3箇所も落車が発生していたし、波乱のレースを無事にフィニッシュ出来て良かった」と語ったのは新城。多くの選手が危険を感じたステージで、別府史之(トレック・セガフレード)や内間康平、吉田隼人、西村大輝は共に落車無く走りきっている。
リーダージャージを受け取ったエドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) (c)www.tourofcroatia.com

2日目を迎えたツアー・オブ・クロアチア(UCI2.HC)は、カルロヴァツを出発し、紀元前からの歴史を持つ美しい岬町ザダルを目指す234.5kmというロングステージで争われた。途中に3級山岳が2か所組み込まれているもののスプリンター向けで、最後は1周8.5kmの市街地コースを周回する。
この日は昨年までNIPPOに所属していたリカルド・スタッキオッティ(イタリア、Msティナ・フォーカス)やヤングライダー賞首位のジョン・ボジッチ(スロベニア、アドリアモービル)ら5名が逃げ、メイン集団が最大5分差から追い上げていく展開で中盤まで進行した。



山岳区間に入るとメイン集団から約30名が抜け出して先頭に追いつき、ピーター・コーニング(オランダ、アクアブルースポート)が独走態勢を築き始める。しかし山頂付近では暴風が吹きつけ、選手の安全を踏まえてレースは一時停止。平坦区間に入るまではニュートラル走行を行い、逃げていたコーニングが2分差で再スタートするという措置が取られた。
総合首位のニッコロ・ボニファツィオ(イタリア)をアシストした新城幸也(バーレーン・メリダ)は、この時の様子を次のように振り返っている。
「今日は午後にかけて風が強くなる事は天気予報通りだったが、高速も区間で通行止めになるほどの強風。レースはストップし、山頂からの下りは全選手一緒に安全に下るという措置が取られ、平坦区間に出るまでニュートラル区間とされたが、下り切っても横風でまともに真っ直ぐ走れない。油断すると落車してしまう程の風で、カメラマンバイクも選手も転倒が続出。このままレース中止かと思うほどだったが、残り35km地点でレースは再スタート。距離は短くなれど、頂上まで逃げていた選手(コーニング)はタイム差2分で時間差スタート。それは無いんじゃない?って思ったが、チームからは直ぐに1分以内に追いつくように。との指示があったので、追い風に乗って、全開で追いかけた」。



バーレーン・メリダの追走もあってコーニングは捕まり、続いて2名が飛び出したものの大きな逃げには繋がらない。周回コース突入を前に新城は役目を終え、代わってアンドレア・グアルディーニ(イタリア)を勝たせたいバルディアーニCSFが集団先頭を固めた。
最後のフィニッシュライン通過時にマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ)が単独アタックを決め、コーナーが連続する市街地コースを味方に逃げ始める。しかしその後ろではスプリントに備える総合リーダーのボニファツィオが直角コーナーでクラッシュ。隊列前方での落車によって集団が割れ、影響を受けなかった10名弱がモホリッチとの距離を縮めながらラスト1kmのアーチをくぐった。
混沌とした状況でモホリッチは捕まり、グアルディーニやジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)、リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)らスプリンター勢の間隙を突いて、残り800mからエドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)がロングスパートを敢行。アシスト不在のニッツォーロとミナーリが自ら追走したものの、タイミング良くリードを稼いだグロスとの差は思うように縮まらない。スプリントで距離を詰める2人を抑えたグロスが、波乱の第2ステージで勝利を掴んだ。

2014年にNIPPOでプロ入りした25歳のグロスにとって、今回がキャリア2度目のHCレースでの勝利。落車により6分半遅れでフィニッシュを切ったボニファツィオからリーダージャージを引き継ぐこととなった。
「今日の最後の周回コースはテクニカルだったが、昨年も走り知っていたので、とくに驚くことはなく、冷静に、そして残り800mからスプリントを開始した。強い風に見舞われたステージだったが、チームメートたちが風を遮るなどサポートしてくれ、素晴らしいチームワークで勝利することができ、また総合リーダーにもなれたことを嬉しく思っている。明日のステージは厳しいもので、どうなるかわからないが、今はこの勝利を喜びたい」とグロスは1日を振り返っている。
一方、「リーダージャージのボニー(ニッコロ・ボニファツィオ)は落車してしてしまい、幸い怪我は大したことがなかったので良かったが、1日中、集団を引いて仕事をしたが結果には繋がらなかった。最後の5kmで3箇所も落車が発生していたし、波乱のレースを無事にフィニッシュ出来て良かった」と語ったのは新城。多くの選手が危険を感じたステージで、別府史之(トレック・セガフレード)や内間康平、吉田隼人、西村大輝は共に落車無く走りきっている。

ステージ結果
1位 | エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | 5h38’11” |
2位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
3位 | リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) | |
4位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) | +04” |
5位 | フアンホセ・ロバト(スペイン、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | |
6位 | ヨシプ・ルマク(クロアチア、メリディアナ・カーメン) | |
7位 | ジガ・ジェルマン(スロベニア、リュブリャナ・グスト) | |
8位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | |
9位 | アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF) | |
10位 | マルコ・クンプ(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) | |
71位 | 別府史之(トレック・セガフレード) | +26” |
79位 | 吉田隼人(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | |
87位 | 新城幸也(バーレーン・メリダ) | +29” |
90位 | 内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | |
105位 | 西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | +1’24” |
個人総合成績
1位 | エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | 11h23’22” |
2位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) | +08” |
3位 | リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) | +10” |
4位 | アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF) | +12” |
5位 | ジョン・ボジッチ(スロベニア、アドリアモービル) | |
6位 | リカルド・スタッキオッティ(イタリア、Msティナ・フォーカス) | +17” |
7位 | ジガ・ジェルマン(スロベニア、リュブリャナ・グスト) | +18” |
8位 | マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・メリダ) | |
9位 | マルコ・クンプ(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) | |
10位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) |
ポイント賞
1位 | エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | 41pts |
2位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) | 32pts |
3位 | リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) | 30pts |
山岳賞
1位 | ピーター・コーニング(オランダ、アクアブルースポート) | 6pts |
2位 | エミル・ディマ(ルーマニア、MTティナ・フォーカス) | 6pts |
3位 | ジョン・ボジッチ(スロベニア、アドリアモービル) | 4pts |
ヤングライダー賞
1位 | ジョン・ボジッチ(スロベニア、アドリアモービル) | 11h23’34” |
2位 | ジガ・ジェルマン(スロベニア、リュブリャナ・グスト) | +06” |
3位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 34h11’00” |
2位 | トレック・セガフレード | +08” |
3位 | リュブリャナ・グスト | +12” |
text:So.Isobe
photo:Miwa.Iijima,www.tourofcroatia.com
photo:Miwa.Iijima,www.tourofcroatia.com