バスクらしい勾配のある山岳が3つ連なったイツリア・バスクカントリー第5ステージで7名の精鋭グループが逃げ切り。オマール・フライレ(アスタナ)が勝利し、ステージ2位のプリモシュ・ログリッチェ(ロットNLユンボ)が首位独走態勢を築いた。


リーダージャージを着て走るプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)リーダージャージを着て走るプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) photo:CorVos
イツリア・バスクカントリー2018第5ステージイツリア・バスクカントリー2018第5ステージ photo:Itzulia Basque Country2級山岳エロスア・ガイナ(全長8.1km/平均6.9%)、2級山岳エンドイア・ガイナ(全長7km/平均5.1%)、1級山岳アスルキ・ガイナ(全長5.5km/平均7.6%)が164.7kmコースの後半にかけて連続するイツリア・バスクカントリー第5ステージ。この獲得標高差2,500mの山岳ステージと最終日の1級山頂フィニッシュが総合優勝者を導き出す。

向かい風を切って進む集団から逃げグループが抜け出したのは35km地点。ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)やオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)、ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)、ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、チームスカイ)という強力なメンバーで構成された13名の逃げが最大で5分のリードを得る。総合に関係しない13名の逃げ切りを容認するとみられたが、モビスターの集団牽引によってタイム差は縮小した。

この日2つ目の2級山岳エンドイア・ガイナに差し掛かると、前日の個人TTで大きく総合順位を落としたミケル・ランダ(スペイン、モビスター)がアタック。リーダージャージのプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)やヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)が反応した一方で、総合2位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)は脱落してしまう。

最後の1級山岳アスルキ・ガイナで逃げグループの中から飛び出したカルロス・ベローナ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)が30秒リードで独走したものの、頂上通過後の下り区間でフライレとホセ・エラーダ(スペイン、コフィディス)、マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ)、そして、総合ライバルたちを引き離したランダとログリッチェ、イサギレがジョイン。こうして新たに7名で構成された精鋭グループが、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)やリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)を含む追走グループを引き離しながらフィニッシュを目指した。

アタックのタイミングを窺うミケル・ランダ(スペイン、モビスター)アタックのタイミングを窺うミケル・ランダ(スペイン、モビスター) photo:CorVos
モビスター勢のペースアップに対応するヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)モビスター勢のペースアップに対応するヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) photo:CorVos

3つのカテゴリー山岳でポイントを稼ぎ、山岳賞ジャージ着用を決めていたパデュンがチームメイトのイサギレのために精鋭グループを牽引。最後は7名による登りスプリントに持ち込まれ、総合上位勢の後ろで力をためていたフライレがログリッチェやイサギレを下して勝利した。

「地元バスクのレースで勝利するのは最高の喜び。フィニッシュ地点に家族や友人たちが駆けつけてくれていたので何としても勝ちたかったんだ」と、バスク出身の27歳は今シーズン初勝利を喜ぶ。「向かい風が強かったので、最後の1級山岳で後方から総合上位グループが近づいているのを聞いて待つことにした。登りで食らいつけば、差がつきにくい下りで脱落せずにスプリントに持ち込めると思っていたんだ。最後はスマートに走り、チャンスをものにすべく全開でスプリントした」。

ステージ2位でボーナスタイム6秒を獲得したログリッチェが総合首位を固め、ランダが総合7位から総合2位に、イサギレが総合10位から総合3位にジャンプアップ。2級山岳エンドイア・ガイナで飛び出した3名が総合トップスリーを独占した一方で、この日2分15秒遅れたアラフィリップは総合2位から総合4位にダウンしている。

7名によるスプリントで勝利したオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)7名によるスプリントで勝利したオマール・フライレ(スペイン、アスタナ) photo:CorVos
地元バスクで勝利を飾ったオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)地元バスクで勝利を飾ったオマール・フライレ(スペイン、アスタナ) photo:CorVos
イツリア・バスクカントリー2018第5ステージ結果
1位 オマール・フライレ(スペイン、アスタナ) 3:53:59
2位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)
3位 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
4位 カルロス・ベローナ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)
5位 ホセ・エラーダ(スペイン、コフィディス)
6位 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)
7位 マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ) 0:00:15
8位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) 0:01:27
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
10位 ジェイ・ヒンドレー(オーストラリア、サンウェブ)
14位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)
20位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 0:02:15
115位 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) 0:19:05
個人総合成績
1位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 17:35:19
2位 ミケル・ランダ(スペイン、モビスター) 0:01:57
3位 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 0:02:13
4位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 0:02:55
5位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 0:03:06
6位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 0:03:21
7位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) 0:03:30
8位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 0:03:41
9位 ダビ・デラクルス(スペイン、チームスカイ) 0:03:49
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 0:03:57
ポイント賞
1位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 85pts
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) 68pts
3位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) 40pts
山岳賞
1位 マーク・パデュン(ウクライナ、バーレーン・メリダ) 32pts
2位 カルロス・ベローナ(スペイン、ミッチェルトン・スコット) 24pts
3位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 16pts
text:Kei.Tsuji
photo:CorVos