「クラシックの王様」ことロンド・ファン・フラーンデレンを走った各チームのバイクを紹介する恒例コーナーの第1弾。フィリップ・ジルベールやセップ・ヴァンマルク、ヴィンチェンツォ・ニバリらの、カスタムが行われたバイクたちを紹介します。



フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
スペシャライズド S-Works Tarmac


フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)のスペシャライズド S-Works Tarmacフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)のスペシャライズド S-Works Tarmac photo:Makoto.Ayano
鮮やかな独走勝利を飾ったニキ・テルプストラ(オランダ)や、昨年覇者フィリップ・ジルベール(ベルギー)らクイックステップフロアーズはS-Works Tarmacをロンドで使用した。基本的なパーツ構成はボーラ・ハンスグローエ同様で、ロヴァールのCLX50ホイールにHell of the Northタイヤ(28c)を装着する。ステムとハンドルがPROであることがボーラとの差異だ。

ジルベールは廃盤となったスペシャライズドのCHICANEサドルを愛用するジルベールは廃盤となったスペシャライズドのCHICANEサドルを愛用する photo:Makoto.Ayanoスプリンタースイッチをセットするスプリンタースイッチをセットする photo:Makoto.Ayano

イヴ・ランパールト(ベルギー)のバイクに貼られたThe Wolfpack(狼の群れ)と、ダーン・ミングヘール(ベルギー)を悼むステッカーイヴ・ランパールト(ベルギー)のバイクに貼られたThe Wolfpack(狼の群れ)と、ダーン・ミングヘール(ベルギー)を悼むステッカー photo:Makoto.Ayanoジルベールのステム長は124mmジルベールのステム長は124mm photo:Makoto.Ayano

デュラエースクランクにスペシャライズドのパワーメーターを装備デュラエースクランクにスペシャライズドのパワーメーターを装備 photo:Makoto.AyanoロヴァールのCLX50ホイールにHell of the Northタイヤ(28c)を装着ロヴァールのCLX50ホイールにHell of the Northタイヤ(28c)を装着 photo:Makoto.Ayano


トップチューブには監督を務めるブライアン・ホルムがチームを表現したことで定着した「The Wolfpack(狼の群れ)」ステッカーが貼られ、イヴ・ランパールト(ベルギー)のバイクには2016年にレース中の心臓発作で亡くなったダーン・ミングヘール(ベルギー)を悼む#RideForDaanステッカーも。

また、ジルベールの下ハンドルにはスプリンタースイッチが取り付けられ、サドルは既に廃盤となって久しいスペシャライズドのCHICANE。これはかつてのライバルであり盟友のトム・ボーネン(ベルギー)が、北のクラシック用として開発に携わった製品だ。ステムは124mm。



セップ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
キャノンデール SUPERSIX EVO Hi-Mod


セップ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)のキャノンデール SUPERSIX EVO Hi-Modセップ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)のキャノンデール SUPERSIX EVO Hi-Mod photo:Makoto.Ayano
精鋭グループ内の13位でフィニッシュしたセップ・ヴァンマルク(ベルギー)のバイクを紹介しよう。EFエデュケーションファースト・ドラパックはメンバー全員がキャノンデールのオールラウンドモデル、SUPERSIX EVO Hi-Modをロンドで使った。

通常レースとの違いは、ヴィットリアがパリ〜ルーベ用に製作した耐パンク性能向上タイヤ「CORSA CONTROL(28c)」を投入したことだ。組み合わせるホイールはオールラウンドな40mmハイトのMETRON 40 SL。

薄いトップキャップを用いてハンドル位置を下げたサーシャ・モードロ(イタリア)のバイク薄いトップキャップを用いてハンドル位置を下げたサーシャ・モードロ(イタリア)のバイク photo:Makoto.Ayanoヴァンマルクはスプリンタースイッチを装備ヴァンマルクはスプリンタースイッチを装備 photo:Makoto.Ayano

キャノンデールのSISL2クランクにFSA製チェーンリングを組み合わせる。今回はSRMは取り付けられずキャノンデールのSISL2クランクにFSA製チェーンリングを組み合わせる。今回はSRMは取り付けられず photo:Makoto.AyanoヴィジョンのMETRON 40 SLホイールにヴィットリアのCORSA CONTROL(28c)をセットヴィジョンのMETRON 40 SLホイールにヴィットリアのCORSA CONTROL(28c)をセット photo:Makoto.Ayano


また、クランクセットはキャノンデールのSISL2クランクにFSA製チェーンリングという組み合わせだが、アウターに「53/42T」表記が見て取れるものの実際のインナー歯数は39T。通常はSRMのパワーメーターを用いている(チェーンステーBB寄りにマグネットが見える)が、ヴァンマルクのメインバイクには搭載されていなかった。

ツアー・ダウンアンダー時にはグリーンのボトルを使用していた同チームだが、ヨーロッパレース開幕時からはスポンサーカラーに合わせたピンクのボトルに切り替わっている。



ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
メリダ SCULTURA TEAM-E


ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)のメリダ SCULTURA TEAM-Eヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)のメリダ SCULTURA TEAM-E photo:Makoto.Ayano
クルイスベルグでテルプストラと共に飛び出したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は、他のチームメイトがエアロロードのREACTOを駆る中、ただ一人軽量オールラウンドモデルのSCULTURAを使用した。

ニバリは一人だけオールラウンドモデルのSCULTURAを使用したニバリは一人だけオールラウンドモデルのSCULTURAを使用した photo:Makoto.Ayanoあえて機械式のR9100系デュラエースを選択あえて機械式のR9100系デュラエースを選択 photo:Makoto.Ayano

クリアランスを確保するためにエントリーグレードのブレーキキャリパーを取り付けたクリアランスを確保するためにエントリーグレードのブレーキキャリパーを取り付けた photo:Makoto.Ayanoフィジーク・アンタレスの表皮を張り替えた状態で使用フィジーク・アンタレスの表皮を張り替えた状態で使用 photo:Makoto.Ayano

高い保持力を誇るエリートのCiussi GELボトルケージ高い保持力を誇るエリートのCiussi GELボトルケージ photo:Makoto.AyanoホイールはフルクラムのSPEED 40で、コンチネンタルのCOMPETITION PRO LTD RBX(25mm)を装着するホイールはフルクラムのSPEED 40で、コンチネンタルのCOMPETITION PRO LTD RBX(25mm)を装着する photo:Makoto.Ayano


普段はDi2を使うニバリだが、ロンドでは堅実性を求めてか機械式のR9100系デュラエースを選択したことが目につく。タイヤクリアランスを確保するためのエントリーグレード用ブレーキキャリパーや、高い保持力を誇るエリートのCiussi GELボトルケージなどパリ〜ルーベ並みに万全の石畳対策を施してきた(その割にタイヤは25mmと細めのCOMPETITION PRO LTD RBX)。

プロロゴがサドルのサプライヤーに就くが、ニバリはフィジーク・アンタレスの表皮を張り替えた状態で使用している。これは”メッシーナの鮫”が長年継続する、機材における彼のアイデンティティとも言える部分だ。



イマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)
キャニオン AEROAD CF SLX


イマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)のキャニオン AEROAD CF SLXイマノル・エルビティ(スペイン、モビスター)のキャニオン AEROAD CF SLX photo:Makoto.Ayano
サドルに滑り防止の素材を貼り付けているサドルに滑り防止の素材を貼り付けている photo:Makoto.Ayanoパワー2マックスはアルマイト部分がチームカラーのブルーになったパワー2マックスはアルマイト部分がチームカラーのブルーになった photo:Makoto.Ayano


オールラウンドモデルのULTIMATEとエアロロードのAEROADを乗り分けるモビスターだが、ロンドではAEROADをメインバイクとして使用した。フランドルに主眼を置いていないスペインチームだが、写真のイマノル・エルビティ(スペイン)は2016年ロンドで7位、続くパリ〜ルーベで9位とブレイクした。

例年通り石畳用のカスタムは少なく、タイヤをCOMPETITION PRO LTD RBX(25mm)としている程度だ。ツアー・ダウンアンダー時点ではアルマイト部分が黒のパワー2マックスを使っていたが、2月頃からはチームカラーに合わせたものに変更された。



フレデリック・バッカールト(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)
キューブ LITENING C:68 SL


フレデリック・バッカールト(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)のキューブ LITENING C:68 SLフレデリック・バッカールト(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)のキューブ LITENING C:68 SL photo:Makoto.Ayano
フルクラムのRacing Speed 40ホイールにコンチネンタルのCOMPETITION PRO LTD(25mm)フルクラムのRacing Speed 40ホイールにコンチネンタルのCOMPETITION PRO LTD(25mm) photo:Makoto.AyanoCベアーのセラミックボトムブラケットを自費購入して使用Cベアーのセラミックボトムブラケットを自費購入して使用 photo:Makoto.Ayano


地元ベルギーのコンチネンタルチームとしてフランドルウィークに参戦中のワンティ・グループゴベールは、昨年に引き続きドイツの一大総合ブランド、キューブのフラッグシップモデルLITENING C:68 SLを愛用中。チームカラーのマイナーチェンジに伴いダークブルーとネオンイエローの新車が投入されている。

昨年まで機械式のR9100系デュラエースを使っていたが、2018年は遂にR9150系デュラエースDi2にアップグレード。同じベルギーのCベアー製セラミックボトムブラケットを使って回転系をチューニング済みだ。足回りはフルクラムのRacing Speed 40ホイールにコンチネンタルのCOMPETITION PRO LTD(25mm)という組み合わせ。

text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano