ランカウイ名物の難関登坂キャメロンハイランドへと上り詰めるクイーンステージで、終盤の20kmを独走したアルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム)が勝利。総合と山岳賞ランキングで首位に躍進した。
クイーンステージを迎えたキナンサイクリングチーム (c)KINAN Cycling Team/Syunsuke FUKUMITSU
コースを打ち合わせる中西健児と山本元喜(キナンサイクリングチーム) (c)KINAN Cycling Team/Syunsuke FUKUMITSU
キャメロンハイランドへと向かう集団 (c)www.ltdl.my
2日連続でマレーシア東岸の南シナ海沿いを南下したプロトンは、いよいよ今大会最初にして最大の山場に直面。標高1438mの超級山岳、キャメロンハイランドへと登り詰めるクイーンステージがツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)の総合争いを大きくふるいに掛けた。
標高100mほどのベントンをスタートしてから120km以上平坦区間が続くが、後半に入ると距離15.1km、平均勾配3.7%の1級山岳リングレットを超え、若干の平坦と下りを経て距離8km、10%ほどの急勾配区間が連続するキャメロンハイランドへと取り付く。唯一の山頂フィニッシュであり、予想通り総合成績を賭けた激しい登坂勝負が繰り広げられた。
開口一番にアタックしたのは、前日に落車で総合エースを失ったディメンションデータのヨハン・ファンジル(南アフリカ)だった。しかしこの動きは集団に封じられ、代わってルーカ・ワッカーマン(イタリア、バルディアーニCSF)ら6名が逃げを打つ。しかし総合争いを控えるメイン集団によってタイム差は3分から拡大することはなかった。
残り20km地点から抜け出したアルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) (c)CorVos
1級山岳リングレットでは先頭からワッカーマンとフアンフェリペ・オソリロ(コロンビア、マンサナ・ポストボン)が抜け出し、メイン集団でもアタック合戦が活発化する。するとフィニッシュまで20kmを残してアルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム)が単独抜け出した。
かつてカチューシャやルスヴェロに所属し、ロシア個人TT王者にも輝いた経験を持つオヴェチキンは、持ち前の独走力で先頭2名をパスし、追従したトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)やエフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)らを引き離していく。
1分半リードで1級山岳を超え、急勾配のキャメロンハイランドでもそのスピードは衰えない。快調にペースを刻んだオヴェチキンが、単独追撃した2013年ツアー・オブ・ジャパン富士山ステージ覇者ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)に対して約30秒、その他ライバル勢を約1分引き離してフィニッシュへと飛びこんだ。
独走勝利を飾ったアルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) (c)CorVos
ステージ6位でフィニッシュするトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) (c)KINAN Cycling Team/Syunsuke FUKUMITSU
総合リーダージャージを獲得したアルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) (c)www.ltdl.my
「1級山岳でアタックした時、他の選手たちは互いにマークしあっていたのでチャンスを感じたんだ。その後は自分のリズムで走ることだけを考えていたよ。HCクラスでの勝利は初めてだったし、総合首位と山岳賞首位もついてきたのでより嬉しい」と語るオヴェチキン。2013年のルスヴェロ所属時には他チームメイト2名と共にチームドクターから処方された喘息薬によって禁止薬物であるフェノテロール陽性となり、およそ半年間の出場停止処分に置かれていた経験を持つ。2017年までルスヴェロに在籍し、今シーズンはロシアのエリートクラブチームに所属しながらトルコのステージレースで優勝、3月初めに自国最大のレースで結果を求めたトレンガヌサイクリングチームが獲得し、マレーシアでのチーム合宿に加わっていたという。
後続グループの争いに加わったルバは1分遅れのステージ5位でフィニッシュし、総合順位を2つ上げて6位に。マルコス・ガルシア(スペイン)が1分19秒差の11位でクイーンステージを終えているためキナンサイクリングチームのチーム総合成績は3位へとジャンプアップした。
トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)のコメント
ステージ優勝した選手がただただ強かった。1つ目の山岳からアタックを繰り返して、とにかく前を追ったが、彼はとても速かった。個人としては全力を尽くしたし、結果にも後悔はしていない。マルコスやサルバドールとは今シーズン初めて一緒のレースに臨んでいるが、互いに意見を出し合って走ることができている。今日も連携はよかった。残る3ステージについては、できることを繰り返していくだけだ。体調も日々よくなっていて、走りの感触も問題ない。この先に控えるレースにも確実につながっていくと思っている。



2日連続でマレーシア東岸の南シナ海沿いを南下したプロトンは、いよいよ今大会最初にして最大の山場に直面。標高1438mの超級山岳、キャメロンハイランドへと登り詰めるクイーンステージがツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)の総合争いを大きくふるいに掛けた。
標高100mほどのベントンをスタートしてから120km以上平坦区間が続くが、後半に入ると距離15.1km、平均勾配3.7%の1級山岳リングレットを超え、若干の平坦と下りを経て距離8km、10%ほどの急勾配区間が連続するキャメロンハイランドへと取り付く。唯一の山頂フィニッシュであり、予想通り総合成績を賭けた激しい登坂勝負が繰り広げられた。
開口一番にアタックしたのは、前日に落車で総合エースを失ったディメンションデータのヨハン・ファンジル(南アフリカ)だった。しかしこの動きは集団に封じられ、代わってルーカ・ワッカーマン(イタリア、バルディアーニCSF)ら6名が逃げを打つ。しかし総合争いを控えるメイン集団によってタイム差は3分から拡大することはなかった。

1級山岳リングレットでは先頭からワッカーマンとフアンフェリペ・オソリロ(コロンビア、マンサナ・ポストボン)が抜け出し、メイン集団でもアタック合戦が活発化する。するとフィニッシュまで20kmを残してアルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム)が単独抜け出した。
かつてカチューシャやルスヴェロに所属し、ロシア個人TT王者にも輝いた経験を持つオヴェチキンは、持ち前の独走力で先頭2名をパスし、追従したトマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)やエフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)らを引き離していく。
1分半リードで1級山岳を超え、急勾配のキャメロンハイランドでもそのスピードは衰えない。快調にペースを刻んだオヴェチキンが、単独追撃した2013年ツアー・オブ・ジャパン富士山ステージ覇者ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル)に対して約30秒、その他ライバル勢を約1分引き離してフィニッシュへと飛びこんだ。



「1級山岳でアタックした時、他の選手たちは互いにマークしあっていたのでチャンスを感じたんだ。その後は自分のリズムで走ることだけを考えていたよ。HCクラスでの勝利は初めてだったし、総合首位と山岳賞首位もついてきたのでより嬉しい」と語るオヴェチキン。2013年のルスヴェロ所属時には他チームメイト2名と共にチームドクターから処方された喘息薬によって禁止薬物であるフェノテロール陽性となり、およそ半年間の出場停止処分に置かれていた経験を持つ。2017年までルスヴェロに在籍し、今シーズンはロシアのエリートクラブチームに所属しながらトルコのステージレースで優勝、3月初めに自国最大のレースで結果を求めたトレンガヌサイクリングチームが獲得し、マレーシアでのチーム合宿に加わっていたという。
後続グループの争いに加わったルバは1分遅れのステージ5位でフィニッシュし、総合順位を2つ上げて6位に。マルコス・ガルシア(スペイン)が1分19秒差の11位でクイーンステージを終えているためキナンサイクリングチームのチーム総合成績は3位へとジャンプアップした。
トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)のコメント
ステージ優勝した選手がただただ強かった。1つ目の山岳からアタックを繰り返して、とにかく前を追ったが、彼はとても速かった。個人としては全力を尽くしたし、結果にも後悔はしていない。マルコスやサルバドールとは今シーズン初めて一緒のレースに臨んでいるが、互いに意見を出し合って走ることができている。今日も連携はよかった。残る3ステージについては、できることを繰り返していくだけだ。体調も日々よくなっていて、走りの感触も問題ない。この先に控えるレースにも確実につながっていくと思っている。
ステージ結果
1位 | アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) | 4h24’29” |
2位 | ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) | +28” |
3位 | アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) | +55” |
4位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) | +1’01” |
5位 | トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) | |
6位 | アルヴァロ・ドゥアルテ(コロンビア、フォルカ・アムスキンズ) | +1’02” |
7位 | アルトゥロ・シエラ(コロンビア、マンサナ・ポストボン) | +1’04” |
8位 | ピオトル・ブロジナ(ポーランド、CCCスポランディ・ポルコウィチェ) | +1’10” |
9位 | ルーカ・ラッジオ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ・セライタリア) | |
10位 | メトケル・イヨブ(エリトリア、トレンガヌサイクリングチーム) |
個人総合成績
1位 | アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) | 21h21’34” |
2位 | ベンジャミン・ディボール(オーストラリア、セントジョージコンチネンタル) | +32” |
3位 | ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) | +59” |
4位 | アマヌエル・ゲブレイグザブハイアー(エリトリア、ディメンションデータ) | +1’01” |
5位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) | +1’07” |
6位 | トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) | +1’08” |
7位 | アルヴァロ・ドゥアルテ(コロンビア、フォルカ・アムスキンズ) | +1’10” |
8位 | メトケル・イヨブ(エリトリア、トレンガヌサイクリングチーム) | +1’20” |
9位 | ピオトル・ブロジナ(ポーランド、CCCスポランディ・ポルコウィチェ) | |
10位 | ルーカ・ラッジオ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ・セライタリア) |
ポイント賞
1位 | リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) | 38pts |
2位 | アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF) | 31pts |
3位 | キム・デヨン(韓国、KSPOビアンキアジアプロサイクリング) | 27pts |
山岳賞
1位 | アルテム・オヴェチキン(ロシア、トレンガヌサイクリングチーム) | 40pts |
2位 | アルヴァロ・ドゥアルテ(コロンビア、フォルカ・アムスキンズ) | 28pts |
3位 | ベルナルド・スアサ(コロンビア、マンサナ・ポストボン) | 27pts |
チーム総合成績
1位 | トレンガヌサイクリングチーム | 64h07’41” |
2位 | アスタナ | +2’06” |
3位 | キナンサイクリングチーム | +2’11” |
text:So.Isobe
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