大会3度目の集団スプリントで、アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)を下したリカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)が2勝目。落車でリタイアが発生したため、トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)は総合8位に浮上している。



トレンガヌ州を南下するツール・ド・ランカウイ第4ステージトレンガヌ州を南下するツール・ド・ランカウイ第4ステージ (c)CorVos
8日間のツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)も折り返しとなる大会4日目。この日も引き続きマレーシア東岸の南シナ海を見ながら南下する177.6kmで争われた。

コース中盤には4級山岳が設定されているものの、それも登坂距離400m、平均勾配8.5%というイージーなもの。その他は完全なフラットステージであり、この日も集団のコントロールはスプリンターチームが担うこととなる。

この日はアタック合戦の末にアジア勢6名による逃げグループが生まれる。リードが5分を超えたところでメイン集団の追走が始まり、残り20kmを切ると海風を利用した横風分断作戦を狙うチームも出現。終盤に掛けて人数が絞り込まれる中逃げグループをキャッチし、集団スプリントに向けての体制を整えていった。

身体を冷やしながら走る総合リーダーのアダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング)身体を冷やしながら走る総合リーダーのアダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング) (c)CorVos集団前方に構えるキナンサイクリングチーム集団前方に構えるキナンサイクリングチーム (c)KINAN Cycling Team/Syunsuke FUKUMITSU


残り10km地点からカラム・スコットソン(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ)が独走したものの、スプリンターチームを崩すことは叶わず吸収。ポジション争いが熾烈を極める集団内では落車が発生し、総合7位のメクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ)や総合6位のソー・ジョンヨン(韓国、KSPOビアンキアジアプロサイクリング)らがクラッシュ。二人は病院に搬送され途中リタイアに見舞われている。

ゴールに突進した集団ではアスタナが主導権を握り、エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)のリードアウトからリカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)が発進。追従したアンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)を振り切った22歳が大きなガッツポーズを披露した。

先行するリカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)と追い込むアンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)先行するリカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)と追い込むアンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF) (c)CorVos
2勝目を挙げたリカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)2勝目を挙げたリカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) (c)CorVos消防士によるシャワーを浴びるエフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)消防士によるシャワーを浴びるエフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) (c)CorVos


グアルディーニを放出した穴埋め役としてアスタナに加入したミナーリが、その6歳年上の先輩スプリンターを破っての勝利。ポイント賞首位に浮上した新鋭は「また勝つことができて本当にハッピーだよ。ラスト2kmからのチームの働きはパーフェクトだった。ミケーレ・スカルポーニの逝去から1年が経とうとしているこのタイミングで、何としても勝ちたかったんだ」と喜ぶ。

ここまでの3回の集団スプリント中、対戦成績はミナーリが2勝(第2、第4ステージ)、グアルディーニが1勝(第1ステージ)という結果になっており、実力が抜き出た二人の勝ち星争いに注目が集まっている。

キナンサイクリングチームのサルバドール・グアルディオラ、マルコス・ガルシア(共にスペイン)、トマ・ルバ(フランス)は集団内フィニッシュし、総合勢2名のリタイアによってルバは総合8位に。翌日は名物の超級山岳キャメロンハイランド頂上を目指すクイーンステージであり、ここまで息を潜めてきた総合勢による登坂勝負が繰り広げられる。

ステージ上位3名が表彰台に上がるステージ上位3名が表彰台に上がる (c)CorVos
中西健児(キナンサイクリングチーム)のコメント

スタートから体が動いていたので、何度か逃げにトライをしたが、望んでいた大人数の逃げが容認されず、前方でレースを進めることができなかった。それからはチームメートの風よけになりながら、集団の前方にポジショニングしていた。集団内でのポジション争いが激しくなっていく中で、ポジションを下げてしまい、分断したときにそのまま後ろになってしまった。本来は我慢をして集団に残ってアシストをしないといけなかった。UCIワールドチームやプロコンチネンタルチームがそろうレースにあって、レベルの高さは感じているが、暑さも含めて対応していかないといけない。明日(第5ステージ)は得意の上りなので、そこでしっかりと仕事をしたい。
ステージ結果
1位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) 4h10’14”
2位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF)
3位 モハメドハリフ・サレー(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)
4位 ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
5位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
6位 アラン・バナセク(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)
7位 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、ベネロング・スイスウェルネス)
8位 アーレイ・パーラ(コロンビア、マンサナ・ポストボン)
9位 ディラン・ペイジ(スイス、チームセプラサイクリング)
10位 ヤコブ・ヘネシー(イギリス、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ)
個人総合成績
1位 アダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング) 16h55’45”
2位 ニクモハド・アズワン・ズルキフリ(マレーシア、フォルカ・アムスキンズ) +14”
3位 ハリソン・スウィーニー(オーストラリア、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ) +22”
4位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) +1’09”
5位 パオロ・シモン(イタリア、バルディアーニCSF) +1’26”
6位 エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)
7位 フェリペ・マルセロ(フィリピン、セブンイレブンロードバイクフィリピン) +1’27”
8位 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)
9位 ニウ・イクイ(中国、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ)
10位 アルヴァロ・ドゥアルテ(コロンビア、フォルカ・アムスキンズ) +1’28”
ポイント賞
1位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ) 38pts
2位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、バルディアーニCSF) 31pts
3位 キム・デヨン(韓国、KSPOビアンキアジアプロサイクリング) 27pts
山岳賞
1位 ベルナルド・スアサ(コロンビア、マンサナ・ポストボン) 19pts
2位 フェリペ・マルセロ(フィリピン、セブンイレブンロードバイクフィリピン) 18pts
3位 ムハンマド・アブドゥッラフマーン(インドネシア、KFCサイクリング) 11pts
チーム総合成績
1位 ラリーサイクリング 50h50’36”
2位 フォルカ・アムスキンズ +03”
3位 ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ
text:So.Isobe
photo:CorVos

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