2018/03/11(日) - 12:18
片山右京氏が新理事に就任したJBCFの、これからの方針を説明する発表会が都内で開催された。一層の事業拡大と参加者の倍増、選手強化、そしてJPTレースの価値の向上を狙う向こうの5年間の方針が発表された。
2月28日に発表されたJBCF(一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟)の新体制。新理事に着任した片山右京氏をはじめ新任理事らが揃い、都内で体制とこれからの事業方針など、進路についての説明会を行った。
これまで理事長を務めてきた斧隆夫氏の任期満了に伴い、役員改選によって新理事長に選出された片山右京氏ら9人の理事と監事による新しい運営陣。2週前の発表では方針等は一切発表がなかったが、「思うところがあって立候補させていただいた」とする片山右京理事から、これからの運営方針や事業案が示された。
「JBCFは働きながら走る人、プロを目指す人達がレースを走る場。すべてのお手本となる真のプロリーグにならなくてはならない。自転車競技は欧州では人気スポーツ。これほどの素晴らしいスポーツなのに日本では世界に通用するチームもなければ、まだまだ一般にも認知されていない。運営基盤も参加料に頼るだけでなく、産業や経済的な後押しがないと発展は望めない。JBCFに自活能力をつけていくことが必要と考え、新事業にもチャレンジしていく」と冒頭で挨拶した片山氏。自転車競技のより一層の普及、事業規模拡大はJBCFの命題だ。ここからは片山氏が資料を元に説明した内容から紹介していく。
ツアーの一層のプロ化、底辺層の底上げを推し進めるJBCF新体制の掲げるテーマは「より高く」。現況でレース開催50大会/登録者数3,000人のところを、100大会/1万人を目指す。
現況各地で開催されているレースに、地域別ブロック制などを取り入れ、その地域での勝ち上がりによる全国大会のようなレースの構成を模索する。Jフェミニンは華やかに、女性の新規参加者を増やせるような工夫をする。
同時に選手発掘育成システムをつくり、世界に通用する日本人選手の発掘と育成システムを強化する。JCF(日本自転車競技連盟)や関連団体と連携して世界レベルの若手の育成にも注力する。
新規事業展開として、より幅広い層への普及の働きかけを行う。登録への間口を広げ、Eバイク、ヒルクライム、展示試乗会など人気のある流れも活用し、一般的な自転車に乗る人なども取り込んでいけるような底辺層の拡大方法を探る。またVELONの展開する「ハンマーシリーズ」に学び、個人でなくチームで闘うなどの新しいフォーマットを作り出し、興行としての魅力アップや露出機会増加への可能性を探る。
事業方針(発表資料より一部編集)
■既存ツアー
・JPT/TET/Jフェミニン
■選手発掘育成システム
・世界に通用する日本人選手の発掘と育成システム強化
■新規事業展開
・より幅広い層への働きかけ 登録へ
Eバイク、ヒルクライム 展示試乗会
・世界への扉 ハンマーシリーズに学ぶ
世界レベルのレース誘致→JPTのレベルアップ
新フォーマットの試験導入→面白さのアピール
■事業部門の運営法人化
大会運営等の事業は運営法人として分社
スローガンは「ブレークスルー」
廣瀬佳正専務理事は、2018-2019年リーグのスローガンを「ブレークスルー」と説明。既成概念にとらわれず、従来の考えかたを大きく打ち破った考え方で解決策を見出すという。また、Jプロツアーが目指す価値として、子どもたちが憧れるプロスポーツリーグであること、地域、社会に役立つプロスポーツリーグであること、サポーターに多くの興奮と感動を与える、選手が職業として活動できる、世界で活躍するための基盤となるプロスポーツリーグとなることを示した。
2021年をJPTプロリーグ元年とする5年のロードマップ
今年度から始まる新体制が目指す5年区切りによるロードマップも示された。今年から2020年はJPTプロリーグ化の準備期間とし、新規地域型プロチームの設立をサポート。地域とともに盛り上げるJPTレースのスタンダード化を進める。よりエンターテインメント性あふれる会場づくりや全戦のライブ配信を目指し、2020年を目標に放映権などから得られる収益の分配金制度の導入を検討する。
スポーツコンテンツにおいて「東京五輪ロス」が生じる2021年を「JPTプロリーグ元年」として目標設定。JPT加盟20チームによるレース参戦によりメジャー化を目指す。また同時に2022年にはJプロツアー選手からグランツールに出場できるような選手が輩出できるような若手選手発掘・育成システムの構築を目指す。
質疑応答から
CW綾野 :年間通してレース数が多く、これからも増やしていく方針だというが、レースの数が増えるのは良いが、ほとんどが周回で距離の短いレースやクリテリウム、ヒルクライムなどで、本当の意味でのロードレースとしては魅力に欠けるレースが多いと感じます。独自のレースばかりしていると、それを追いかける選手もそれに合わせたトレーニングをせざるをえず、日本でしか通用しない選手が育つことになり、世界に通用する方向を目指すと言うこととは相反してしまうことを懸念しています。距離や厳しさなど、レースの質を高める方向には向かえないものでしょうか?
片山氏: ご指摘の内容は、新しく着任した全ての理事たちの間でも話していることで、私自身もそういった側面は今までの経験から十分理解していますが、日本国内のレースでは道路許可の面など諸事情、制約が多いことも事実です。公道での開催や距離を伸ばすなどは難しくても、そのなかでも2日間のレースであれば1日は長いレースを組み入れるなど、レベルの底上げができるような工夫は出来る限りしていきたい。
JPTレースで勝てるトレーニングが真の意味で強くなることと一致しないというのは個人的な監督としての経験でも知っています。強い選手を発掘する方法は、例えば開催地域とも連携しながら作っていくなどの必要もあるし、ツアーを通して芽を出した才能は別の方法で育てるような、例えば海外で経験を積ませるような育成システムを取り入れていきたいと思っています。真摯に、早急に取り組んでいきたいと思っています。もし世界に通用する選手が出てくれば、必ず別の形で橋をかけます。
JBCF 一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟 新体制
理事長 片山 右京(新任)
副理事長 今中 大介(新任)
専務理事 廣瀬 佳正(再任)
理事 奥田 悦司(再任)
栗村 修(新任)
渋井 亮太郎(新任)
田中 真美子(新任)
丸山 繁一(新任)
安原 昌弘(新任)
監事 大久保 薫(新任)
text:Makoto.AYANO
photo:Satoru.KATO
2月28日に発表されたJBCF(一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟)の新体制。新理事に着任した片山右京氏をはじめ新任理事らが揃い、都内で体制とこれからの事業方針など、進路についての説明会を行った。
これまで理事長を務めてきた斧隆夫氏の任期満了に伴い、役員改選によって新理事長に選出された片山右京氏ら9人の理事と監事による新しい運営陣。2週前の発表では方針等は一切発表がなかったが、「思うところがあって立候補させていただいた」とする片山右京理事から、これからの運営方針や事業案が示された。
「JBCFは働きながら走る人、プロを目指す人達がレースを走る場。すべてのお手本となる真のプロリーグにならなくてはならない。自転車競技は欧州では人気スポーツ。これほどの素晴らしいスポーツなのに日本では世界に通用するチームもなければ、まだまだ一般にも認知されていない。運営基盤も参加料に頼るだけでなく、産業や経済的な後押しがないと発展は望めない。JBCFに自活能力をつけていくことが必要と考え、新事業にもチャレンジしていく」と冒頭で挨拶した片山氏。自転車競技のより一層の普及、事業規模拡大はJBCFの命題だ。ここからは片山氏が資料を元に説明した内容から紹介していく。
ツアーの一層のプロ化、底辺層の底上げを推し進めるJBCF新体制の掲げるテーマは「より高く」。現況でレース開催50大会/登録者数3,000人のところを、100大会/1万人を目指す。
現況各地で開催されているレースに、地域別ブロック制などを取り入れ、その地域での勝ち上がりによる全国大会のようなレースの構成を模索する。Jフェミニンは華やかに、女性の新規参加者を増やせるような工夫をする。
同時に選手発掘育成システムをつくり、世界に通用する日本人選手の発掘と育成システムを強化する。JCF(日本自転車競技連盟)や関連団体と連携して世界レベルの若手の育成にも注力する。
新規事業展開として、より幅広い層への普及の働きかけを行う。登録への間口を広げ、Eバイク、ヒルクライム、展示試乗会など人気のある流れも活用し、一般的な自転車に乗る人なども取り込んでいけるような底辺層の拡大方法を探る。またVELONの展開する「ハンマーシリーズ」に学び、個人でなくチームで闘うなどの新しいフォーマットを作り出し、興行としての魅力アップや露出機会増加への可能性を探る。
事業方針(発表資料より一部編集)
■既存ツアー
・JPT/TET/Jフェミニン
■選手発掘育成システム
・世界に通用する日本人選手の発掘と育成システム強化
■新規事業展開
・より幅広い層への働きかけ 登録へ
Eバイク、ヒルクライム 展示試乗会
・世界への扉 ハンマーシリーズに学ぶ
世界レベルのレース誘致→JPTのレベルアップ
新フォーマットの試験導入→面白さのアピール
■事業部門の運営法人化
大会運営等の事業は運営法人として分社
スローガンは「ブレークスルー」
廣瀬佳正専務理事は、2018-2019年リーグのスローガンを「ブレークスルー」と説明。既成概念にとらわれず、従来の考えかたを大きく打ち破った考え方で解決策を見出すという。また、Jプロツアーが目指す価値として、子どもたちが憧れるプロスポーツリーグであること、地域、社会に役立つプロスポーツリーグであること、サポーターに多くの興奮と感動を与える、選手が職業として活動できる、世界で活躍するための基盤となるプロスポーツリーグとなることを示した。
2021年をJPTプロリーグ元年とする5年のロードマップ
今年度から始まる新体制が目指す5年区切りによるロードマップも示された。今年から2020年はJPTプロリーグ化の準備期間とし、新規地域型プロチームの設立をサポート。地域とともに盛り上げるJPTレースのスタンダード化を進める。よりエンターテインメント性あふれる会場づくりや全戦のライブ配信を目指し、2020年を目標に放映権などから得られる収益の分配金制度の導入を検討する。
スポーツコンテンツにおいて「東京五輪ロス」が生じる2021年を「JPTプロリーグ元年」として目標設定。JPT加盟20チームによるレース参戦によりメジャー化を目指す。また同時に2022年にはJプロツアー選手からグランツールに出場できるような選手が輩出できるような若手選手発掘・育成システムの構築を目指す。
質疑応答から
CW綾野 :年間通してレース数が多く、これからも増やしていく方針だというが、レースの数が増えるのは良いが、ほとんどが周回で距離の短いレースやクリテリウム、ヒルクライムなどで、本当の意味でのロードレースとしては魅力に欠けるレースが多いと感じます。独自のレースばかりしていると、それを追いかける選手もそれに合わせたトレーニングをせざるをえず、日本でしか通用しない選手が育つことになり、世界に通用する方向を目指すと言うこととは相反してしまうことを懸念しています。距離や厳しさなど、レースの質を高める方向には向かえないものでしょうか?
片山氏: ご指摘の内容は、新しく着任した全ての理事たちの間でも話していることで、私自身もそういった側面は今までの経験から十分理解していますが、日本国内のレースでは道路許可の面など諸事情、制約が多いことも事実です。公道での開催や距離を伸ばすなどは難しくても、そのなかでも2日間のレースであれば1日は長いレースを組み入れるなど、レベルの底上げができるような工夫は出来る限りしていきたい。
JPTレースで勝てるトレーニングが真の意味で強くなることと一致しないというのは個人的な監督としての経験でも知っています。強い選手を発掘する方法は、例えば開催地域とも連携しながら作っていくなどの必要もあるし、ツアーを通して芽を出した才能は別の方法で育てるような、例えば海外で経験を積ませるような育成システムを取り入れていきたいと思っています。真摯に、早急に取り組んでいきたいと思っています。もし世界に通用する選手が出てくれば、必ず別の形で橋をかけます。
JBCF 一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟 新体制
理事長 片山 右京(新任)
副理事長 今中 大介(新任)
専務理事 廣瀬 佳正(再任)
理事 奥田 悦司(再任)
栗村 修(新任)
渋井 亮太郎(新任)
田中 真美子(新任)
丸山 繁一(新任)
安原 昌弘(新任)
監事 大久保 薫(新任)
text:Makoto.AYANO
photo:Satoru.KATO
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