冷雨、石畳、落車が続いたタフコンディションのセミクラシックで、再びクイックステップフロアーズがレースを支配。終盤の3人逃げからアタックしたレミ・カヴァニャ(フランス)がプロ初勝利を収め、フロリアン・セネシャル(フランス)が2位に続くワンツー勝利を飾った。



スプリントで勝利を狙ったブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)スプリントで勝利を狙ったブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト) (c)CorVosヴェランダスヴィレムス・クレランを率いるニールス・アルベルトヴェランダスヴィレムス・クレランを率いるニールス・アルベルト (c)CorVos


グランツアーレーサーやスプリンター陣がパリ〜ニース、イタリア系チームがGPインダストリアに参加する一方、ベルギークラシックを得意とするチームが集ったのが、ベルギーの西フランドル州で開催されたドワーズ・ドール・ウエストフラーンデレン(UCI1.1)だ。

一昨年まで「西フランドル3日間レース」という名前通りステージレースとして親しまれてきたが、昨年から「ヨハンムセーウ・クラシック」の別名はそのままにワンデーレースとして生まれ変わっている。名前は酷似しているものの、ドワーズ・ドール・フラーンデレン(ベルギー)とは別大会で、共にベルギー内で開催されている「ナポレオンゲームス・カップ」の一戦にあたる。

港湾都市ニーウポールトを出発するコース距離は189,3km。後半には登坂と荒れた石畳が2か所ずつ入る13kmの周回コースを4周し、イフテゲムを目指す。昨年と比べてワールドツアーチームの出場数は低下したが、ベルギーやオランダを代表するプロコンチ、コンチネンタルチームが軒並み出場。クラシックレースを主戦場とするクイックステップフロアーズとロット・スーダルが顔を揃えたことで冷雨のサバイバルレースが展開された。

逃げるレミ・カヴァニャとフロリアン・セネシャル(共にフランス、クイックステップフロアーズ)、フレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・スーダル)逃げるレミ・カヴァニャとフロリアン・セネシャル(共にフランス、クイックステップフロアーズ)、フレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・スーダル) (c)CorVos
終盤には1周14kmの周回コースを4周回する終盤には1周14kmの周回コースを4周回する (c)CorVos3名を追いかける集団だが、ペースは上がらない3名を追いかける集団だが、ペースは上がらない (c)CorVos


ゴールまで50km以上を残して集団内ではアタック合戦が繰り広げられ、レミ・カヴァニャとフロリアン・セネシャル(共にフランス、クイックステップフロアーズ)とフレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・スーダル)が抜け出す。最大8分差を持って逃げたダヴィ・ブシェ(ベルギー、タルトレット・アイソレックス)ら3名をパスし、およそ30名程度まで縮小した集団との追走劇が始まった。

数的優位を活かしたい集団だったが、タフコンディションや、絶え間なく掛かり続けるアタックが影響して先頭3名とのタイム差は50秒から縮まらない。必勝パターンに持ち込んだクイックステップフロアーズは徹底的に追走を封じ込めたため、3名の逃げ切りが決定的なものとなっていく。

先頭グループでは石畳登坂でフリソンが2対1の状況を崩そうとしたものの、遅れかけたカヴァニャは復帰。するとゴールまで7kmを残して、今度はカヴァニャが攻勢に転じた。

「フリソンのアタックは強烈で一時遅れてしまったけれど、脚の痛みをこらえてなんとか復帰。そして今しかないというタイミングで仕掛けた」と振り返るカヴァニャは一気にリードを得て、追撃するフリソンを引き離していく。残り2km地点では付き位置で力をセーブしたセネシャルもアタックし、疲弊したフリソンを置き去りにしてクイックステップフロアーズがワンツー体制を敷いた。

レミ・カヴァニャとフロリアン・セネシャル(共にフランス、クイックステップフロアーズ)がワンツー勝利レミ・カヴァニャとフロリアン・セネシャル(共にフランス、クイックステップフロアーズ)がワンツー勝利 (c)CorVos
3位でフィニッシュするフレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・スーダル)3位でフィニッシュするフレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・スーダル) (c)CorVosクワレモントビールを飲むレミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップフロアーズ)クワレモントビールを飲むレミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップフロアーズ) (c)CorVos


そのままル・サミンを思い起こさせる展開でカヴァニャがプロ初勝利を挙げ、3秒後にセネシャルもフィニッシュ。55秒遅れの集団でもファビオ・ヤコブセン(オランダ)がが頭を獲り、クイックステップフロアーズが圧倒的ななチーム力を見せつける結果となった。

プロ2年目で劇的な初勝利を掴んだ22歳のカヴァニャは、「ものすごくキツくて寒いレースだったけれど、スタート直後から好調さを感じていたんだ。昨シーズンからずっと強さを感じていたし、勝利を熱望していたよ。自分にとって今日の結果がどれだけ大切だったか上手く言い表せないほどだ。これまで攻撃のタイミングを間違えて勝利を逃してきたので、今日は自分に”待つんだ!“と言い聞かせていたよ。次のレースに対して良いモチベーションとなってくれるはずだ」とコメントしている。
ドワーズ・ドール・ウエストフラーンデレン2018結果
1位 レミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップフロアーズ) 4h28’29”
2位 フロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップフロアーズ) +03”
3位 フレデリック・フリソン(ベルギー、ロット・スーダル) +10”
4位 ファビオ・ヤコブセン(オランダ、クイックステップフロアーズ) +55”
5位 アントニー・トゥルギス(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)
6位 ギヨーム・ヴァンケイルスブルグ(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)
7位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、クイックステップフロアーズ)
8位 クリストフ・ノッペ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) +59”
9位 マイケル・ゴーラーツ(ベルギー、ヴェランダスヴィレムス・クレラン)
10位 ジミー・ドゥケノイ(ベルギー、WBアクアプロジェクト・ヴェランクラシック)

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