2月18日に開催されたツアー・オブ・オマーン最終ステージでアレクサンドル・クリストフ(UAEチームエミレーツ)が勝利。終始安定した走りを見せたアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ)が総合優勝に輝いた。


ステージ中盤はアップダウンのある幹線道路を進むステージ中盤はアップダウンのある幹線道路を進む photo:A.S.O.

ツアー・オブ・オマーン2018第6ステージツアー・オブ・オマーン2018第6ステージ photo:A.S.O.ツアー・オブ・オマーン最終日は郊外をスタートして首都マスカットの海岸通マトラ・コーニッシュを目指す135.5km。KOMアルジサーを含むが、終盤にマトラ・コーニッシュの周回コースを3周するコースはスプリンター向きだ。

褐色の山岳地帯を貫く内陸の幹線道路で形成されたのはレミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップフロアーズ)やピム・リヒハルト(オランダ、ルームポット)ら5名の逃げグループ。総合ワンツー体制を築くアスタナが集団牽引を担い、スプリント狙いのディメンションデータやヴィタルコンセプトもここに合流する。

中盤に登場する2つのKOMではカチューシャ・アルペシンとBMCレーシングがピュアスプリンターたちを苦しめるためにペースアップ。この加速によってメイン集団は80名弱に絞られる。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)とナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)は集団内に残ったが、スプリントでそのスピードを発揮することはできなかった。

また、レース終盤にメカトラが発生したアダム・ブライス(イギリス、アクアブルースポート)には、バイク交換の際にに違反があったとして失格処分が与えられている。オマーンで各チームに貸し出されるチームカーのルーフキャリアはバイクの前輪を外した状態で載せるタイプ。そのためディスクブレーキを使用するチームはバイク交換に時間がかかってしまう。そこでチームカーはコミッセールの許可を得てメイン集団を追い抜いてから沿道でストップ。集団が通過する際、沿道で準備が完了したバイクにブライスが駆けつける形でバイク交換したが、「バイク交換は集団後方でチームカーから行うこと」とするUCIルールに反する行為だとして失格処分が与えられた。

褐色の岩石がむき出しの山岳地帯褐色の岩石がむき出しの山岳地帯 photo:A.S.O.
メイン集団を牽引するヴィタルコンセプトとディメンションデータメイン集団を牽引するヴィタルコンセプトとディメンションデータ photo:A.S.O.首都マスカットに差し掛かるメイン集団首都マスカットに差し掛かるメイン集団 photo:A.S.O.

メイン集団が後方から迫る中、逃げグループの中で生き残ったカヴァニャとリヒハルトが1分15秒のリードでマトラ・コーニッシュの周回コースに突入する。残り10kmから独走に持ち込んだカヴァニャが25秒のリードで残り5kmサインを通過。懸命に抵抗したが、カヴァニャの独走は残り2.5kmで終了した。

元世界王者ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)もリードアウト要員として集団の先頭に上がり、UAEチームエミレーツが主導権を握ったままスプリント勝負が始まる。ロベルト・フェラーリ(イタリア)にリードアウトされ、先頭からスプリントを開始したヨーロッパ王者アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)が、追いすがるブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)に並ばせることなくフィニッシュした。

首都マスカットの海岸通マトラ・コーニッシュを走る首都マスカットの海岸通マトラ・コーニッシュを走る photo:A.S.O.
ニッツォーロやコカールを下したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)ニッツォーロやコカールを下したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) photo:A.S.O.

カチューシャ・アルペシンからUAEチームエミレーツ移籍後初の勝利を飾ったクリストフは「初勝利を嬉しく思う。強力なチームメイトたちが自分を信頼してアシストに徹してくれた。この周回コースでは2016年と2017年にも勝利しているので、今日が今大会最大のチャンスだと思っていた。今朝のミーティングの時点で、誰がどのタイミングで前に出るかまで細かく打ち合わせをしていたんだ。リードアウトは完璧で、自分の脚にも爆発力があった」とコメント。クリストフを含め、多くの選手たちがアブダビツアー出場のためその日のうちに空路でオマーンからUAE入りしている。

そして総合優勝のタイトルはアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)の手に。ブエルタ・ア・エスパーニャとパリ〜ニース、ツール・ド・スイスでステージ優勝経験のある25歳にとって初めてのUCIワールドツアーステージレース総合優勝。「シーズン初戦で結果を残すことができて満足している。開幕の時点で総合優勝は想像していなかったけど、とにかく調子が良くて、チームも強力だった」と第9代チャンピオンは語る。

2017年のドワーズ・ドール・フラーンデレンで3位に入っているルツェンコは「すぐにヨーロッパに戻って、週末から始まるベルギーのクラシックシーズンに備えたい。この総合優勝を飾った今も、クラシックレースがシーズン前半の最大の目標であることに変わりはない」と語る。ルツェンコは2月24日のオンループ・ヘットニュースブラッドと2月25日のクールネ〜ブリュッセル〜クールネ、そして3月3日のストラーデビアンケに出場する予定だ。

ヨーロッパ王者のアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)が最終ステージ勝利ヨーロッパ王者のアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)が最終ステージ勝利 photo:A.S.O.総合優勝に輝いたアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)総合優勝に輝いたアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) photo:A.S.O.
ツアー・オブ・オマーン2018第6ステージ
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) 3:11:29
2位 ブライアン・コカール(フランス、ヴィタルコンセプト)
3位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)
4位 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)
5位 ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン)
6位 ダヴィデ・マルティネッリ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
7位 アモリー・カピオ(ベルギー、スポートフラーンデレン)
8位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
9位 ベンジャミン・デクレルク(ベルギー、スポートフラーンデレン)
10位 フロリス・ヘールツ(オランダ、ルームポット)
個人総合成績
1位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) 22:49:50
2位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) 0:00:11
3位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 0:00:28
4位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) 0:00:30
5位 ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) 0:00:32
6位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 0:01:05
7位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) 0:01:14
8位 オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・グループゴベール) 0:01:24
9位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) 0:01:29
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) 0:01:37
ポイント賞
1位 ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) 34pts
2位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) 32pts
3位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) 32pts
ヤングライダー賞
1位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) 22:50:01
2位 オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・グループゴベール) 0:01:13
3位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) 0:01:18
チーム総合成績
1位 アスタナ 68:33:26
2位 バーレーン・メリダ 0:00:58
3位 コフィディス 0:01:07