山岳で絞られた24名の小集団スプリントで締めくくられたツアー・オブ・オマーン第4ステージ。オリカからアスタナに移籍したマグナス・コルトニールセンが念願のシーズン初勝利を飾った。


山がちなオマーンの内陸部を走る山がちなオマーンの内陸部を走る photo:A.S.O.

ツアー・オブ・オマーン2018第4ステージツアー・オブ・オマーン2018第4ステージ photo:A.S.O.グリーンマウンテンのクイーンステージを前にした第4ステージはオマーン東部のイティから首都マスカットを目指す117.5km。距離は短いが、後半にかけて登坂距離3.6km/平均勾配10%(逆側は登坂距離2.7km/平均勾配8%)のKOMブシェールアラムラットを登って登り返して再び登る(合計3回登る)。

獲得標高差2,000mの山岳ステージは、敢闘賞ジャージを着るロイック・シェトゥ(フランス、コフィディス)やジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)、レミ・カヴァニャ(フランス、クイックステップフロアーズ)、ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット)、キャスパー・ペデルセン(デンマーク、アクアブルースポート)、ヨン・イリサーリ(スペイン、カハルーラル)の6名が2分半のリードで逃げる展開。メイン集団はBMCレーシングとバーレーン・メリダのコントロール下に置かれる。

連日逃げているシェトゥがKOMとスプリントポイントでポイントを重ね、やがてKOMブシェールアラムラットを含む周回コースに入るとタイム差は1分以下に。2回目のKOMブシェールアラムラット登坂中に逃げがヤンセファンレンズバーグひとりに絞られた一方で、メイン集団からカウンターアタックしたピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)が単独で先頭へのブリッジに成功した。

こうして先頭に躍り出たステティーナとヤンセファンレンズバーグの2人は40秒リードで最後のKOMブシェールアラムラットへ。ステティーナが単独で逃げ続けたものの、メイン集団を振り切ることはできなかった。

首都マスカットを目指すメイン集団首都マスカットを目指すメイン集団 photo:A.S.O.
連日逃げを試みているロイック・シェトゥ(フランス、コフィディス)連日逃げを試みているロイック・シェトゥ(フランス、コフィディス) photo:A.S.O.逃げるピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット)ら逃げるピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット)ら photo:A.S.O.
メイン集団のペースを上げるイアン・ボズウェル(アメリカ、カチューシャ・アルペシン)メイン集団のペースを上げるイアン・ボズウェル(アメリカ、カチューシャ・アルペシン) photo:A.S.O.

ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)のアタックは実らず、人数を揃えるアスタナがメイン集団を仕切ってKOMブシェールアラムラットを登坂。頂上に設定された第2スプリントポイントは総合4位ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、総合2位アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)、総合7位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)の順番で通過し、それぞれ3秒、2秒、1秒のボーナスタイムを獲得している。

アスタナが主導権を握るメイン集団は24名に絞られた状態で最後の難所を越え、ハイスピードダウンヒルを経てフィニッシュへ。ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)のアタックも決まらず、勝負は小集団スプリントで決することに。グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)やネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)といったステージ優勝済みのパンチャーも勝負に挑んだが、リードアウトを得たマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)の加速は圧倒的だった。

コルトニールセンの勝利をお膳立てしたルツェンコのSTRAVAログによると、ルツェンコは残り1kmから平均646Wを1分間出力してリードアウトし、最終コーナーを50km/hで抜けてから60km/hまでスピードを上げてエーススプリンターを発射している。ステージ2位ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)のトップスピードは67km/h。ステージ6位ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン)のトップスピードは70.2km/h。5mほどの差を広げてフィニッシュしたコルトニールセンは70km/hオーバーのトップスピードを出していると見られる。

小集団スプリントで圧勝したマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)小集団スプリントで圧勝したマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) photo:A.S.O.

2016年のブエルタ・ア・エスパーニャでステージ2勝を飾り、3年間所属したオリカ・スコットからアスタナに移籍した25歳のコルトニールセン。直前のドバイツアーでは連日スプリント上位に絡んで総合2位&ヤングライダー賞獲得している。

コルトニールセンは「サポートに徹してくれたチームメイトたち、特に残り1kmから素晴らしい働きをしてくれたアレクセイ・ルツェンコに感謝している。彼は後続集団を引き離すとともに、完璧なリードアウトをしてくれた。ドバイでもオマーンでも僅差で勝利を逃し続けていたので、ようやく掴んだ初勝利は格別。フィニッシュラインで待ってくれたヴィノクロフGMとこの喜びを分かち合うことができてよかったよ」と移籍後最初の勝利を喜ぶ。アスタナはルツェンコを総合2位に送り込むとともに、総合エースのロペスがトップと24秒差の総合5位につけている。

翌日は総合首位ヴァンアーヴェルマートが「クライマーたちに2分差をつけられてもおかしくはない」と語るグリーンマウンテンの本格的な山頂フィニッシュ。総合争いはタイム差1分以内に14名がひしめく状態のまま最大の難所を迎える。

シーズン初勝利を飾ったマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)シーズン初勝利を飾ったマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) photo:A.S.O.
ツアー・オブ・オマーン2018第4ステージ
1位 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) 2:57:36
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)
3位 アルベルト・ベッティオール(イタリア、BMCレーシング)
4位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
6位 ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン)
7位 マーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)
8位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)
9位 オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・グループゴベール)
10位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
個人総合成績
1位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) 15:54:20
2位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) 0:00:09
3位 ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) 0:00:13
4位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 0:00:16
5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) 0:00:24
6位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 0:00:25
7位 オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・グループゴベール)
8位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)
10位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) 0:00:33
ポイント賞
1位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) 34pts
2位 ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) 26pts
3位 マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) 22pts
ヤングライダー賞
1位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) 15:54:44
2位 オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・グループゴベール) 0:00:01
3位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) 0:00:08
チーム総合成績
1位 アスタナ 47:44:45
2位 バーレーン・メリダ 0:00:18
3位 コフィディス 0:00:23

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