クリストファー・フルームのシーズン初戦として注目を集め、NIPPOヴィーニファンティーニから日本人選手3名も出場したブエルタ・ア・アンダルシア「ルタ・デル・ソル」が開幕。初日は写真判定にもつれこむ接戦スプリントが繰り広げられた。


シーズン初戦を迎えたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)シーズン初戦を迎えたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Vuelta a Andalucia

ブエルタ・ア・アンダルシア2018第1ステージブエルタ・ア・アンダルシア2018第1ステージ photo:Vuelta a Andalucia2月14日、スペイン南部のアンダルシア地方でブエルタ・ア・アンダルシアが開幕した。温暖な地域を走ることから「ルタ・デル・ソル(太陽のレース)」として認知されている5日間のステージレース。2017年からUCIのHC(超級)レースとして開催されており、2018年の第64回大会にもモビスター、EFエデュケーションファースト・ドラパック、アージェードゥーゼール、チームスカイ、アスタナ、ロット・スーダル、ロットNLユンボという7つのUCIワールドチームに加え、国内外のUCIプロコンチネンタルチームが出場した。NIPPOヴィーニファンティーニからは初山翔、内間康平、小林海の3名も顔を揃えている。

ディフェンディングチャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は欠場したが、代わりに新加入ミケル・ランダ(スペイン)がモビスターのエースとして出場。そして世界中から注目が集まるクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)がこのアンダルシアでシーズンインを迎えた。ブエルタ・ア・エスパーニャ期間中のサルブタモール基準値オーバーが発覚した2017年12月以来、初めてメディアの前に姿を見せたフルーム。サルブタモールはWADA(世界アンチドーピング機構)が定める「特定物質」に含まれるため、自主的な出場停止を求める声が上がる一方でフルームのレース出場は可能。フルームは異常値についての説明を済ませており、UCI(国際自転車競技連盟)の判断が待たれる状態でのシーズンインとなった。

初日の第1ステージは大西洋に面したミハスから、内陸のグラナダを目指す197.6km。1級山岳ザファラヤ峠(全長11.1km/平均勾配6%)を含む6つのカテゴリー山岳が詰め込まれており、獲得標高差が3,100mに達する本格的な山岳コースだ。

BMCレーシングから移籍したシルヴァン・ディリエ(スイス、アージェードゥーゼール)とロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー)、ルイス・マス(スペイン、カハルーラル)、ガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカディ・バスクカントリー)、チョミン・フアリスティ(スペイン、ファンデーションエウスカディ)という5名で構成された逃げが最大5分差で逃げる展開。メイン集団のコントロール役を担ったのは、ヤコブ・フルサング(デンマーク)とルイスレオン・サンチェス(スペイン)をエースに立てるアスタナだった。

ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)と握手するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ミケル・ランダ(スペイン、モビスター)と握手するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Vuelta a Andalucia逃げるマス・ボネ(スペイン、カハルーラル)ら逃げるマス・ボネ(スペイン、カハルーラル)ら photo:Vuelta a Andalucia
アスタナが積極的にリードするメイン集団アスタナが積極的にリードするメイン集団 photo:Vuelta a Andalucia

2014年のブエルタ・ア・エスパーニャで11日間山岳賞ジャージを着た経験のあるカハルーラルのマスが順調に山岳ポイントを加算する中、タイム差は残り30km地点で2分に。フィニッシュ20km手前に位置する最後の3級山岳ラ・マラハ峠(全長2.4km/平均勾配5%)に差し掛かる頃には1分を割り込んだ。

連続山岳で人数を約2/3に減らしたメイン集団は、アスタナによる一貫したコントロールによって先頭で独走していたディリエを残り12km地点で飲み込む。元バーレーン・メリダのヨンアンデル・インサウスティ(スペイン、ファンデーションエウスカディ)やパブロ・トレス(スペイン、ブルゴスBH)らのカウンターアタックもリードを築けない。

EFエデュケーションファースト・ドラパックも集団コントロールに参加EFエデュケーションファースト・ドラパックも集団コントロールに参加 photo:Vuelta a Andalucia
先頭でスプリントするサーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)ら先頭でスプリントするサーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)ら photo:Vuelta a Andalucia

残り1kmサインを通過し、トレインを形成して集団先頭で競り合うモビスターとEFエデュケーションファースト・ドラパック。グラナダ市内のテクニカルコーナーを抜けて、セップ・ヴァンマルク(ベルギー)のリードアウトを受けたサーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が発進する。別ラインから加速したクレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール)とトマ・ボダ(フランス、ディレクトエネルジー)と横一線でスプリントしたモードロがフィニッシュライン上で手を挙げた。

しかし写真判定の結果、ハンドルを投げ込んでフィニッシュしたボダの先着が確定。2014年にトラック世界選手権オムニアムで優勝し、2015年からユーロップカー(現ディレクトエネルジー)で走る23歳がロードキャリア最高の勝利を飾った。フルームやランダの他、総合優勝有力候補たちは同タイム集団内でフィニッシュ。初山、内間、小林は13分遅れの集団内で初日を終えている。

ステージ優勝を飾った23歳のトマ・ボダ(フランス、ディレクトエネルジー)ステージ優勝を飾った23歳のトマ・ボダ(フランス、ディレクトエネルジー) photo:Vuelta a Andalucia
ブエルタ・ア・アンダルシア2018第1ステージ結果
1位 トマ・ボダ(フランス、ディレクトエネルジー) 5:21:39
2位 サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
3位 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール)
4位 アンドレア・パスクアロン(イタリア、ワンティ・グループゴベール)
5位 トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル)
6位 カルロス・バルベロ(スペイン、モビスター)
7位 ジョナス・コッホ(ドイツ、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)
8位 モレノ・ホフラント(オランダ、ロット・スーダル)
9位 エンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ)
10位 ヤン・トラトニク(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)
149位 初山翔(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) 0:13:38
150位 小林海(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
152位 内間康平(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 トマ・ボダ(フランス、ディレクトエネルジー) 5:21:39
2位 サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
3位 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール)
4位 アンドレア・パスクアロン(イタリア、ワンティ・グループゴベール)
5位 トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・スーダル)
6位 カルロス・バルベロ(スペイン、モビスター)
7位 ジョナス・コッホ(ドイツ、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)
8位 モレノ・ホフラント(オランダ、ロット・スーダル)
9位 エンリコ・バッタリーン(イタリア、ロットNLユンボ)
10位 ヤン・トラトニク(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)
ポイント賞
1位 トマ・ボダ(フランス、ディレクトエネルジー) 25pts
2位 サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 20pts
3位 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール) 16pts
山岳賞
1位 ルイス・マス(スペイン、カハルーラル) 29pts
2位 シルヴァン・ディリエ(スイス、アージェードゥーゼール) 15pts
3位 ガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカディ・バスクカントリー) 12pts
text:Kei Tsuji