最大勾配17%のハッタダム頂上フィニッシュが設定されたドバイツアー第4ステージで、序盤から逃げた19歳マクナルティが残り50mで吸収。登りスプリントバトルでコルブレッリが勝利をつかんだ。
この日も広大な砂漠の中を走る photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
4分リードで逃げるコノール・デューン(アイルランド、アクアブルースポート)ら photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
岩が露出した山岳地帯を走る photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
ドバイツアーの名物となっているハッタダムの頂上フィニッシュが登場した。ダムサイトに向かって高低差50m弱を駆け上がる登りは長さ1kmで平均勾配4.3%/最大勾配17%。登坂時間が短いことから、短時間高出力の走りを得意とするスプリンターたちが上位に入る。僅差の総合争いの行方も含めて注目が集まった。
全長172kmのステージは、強力な逃げグループが形成されたことから高速な展開を見せる。1日の平均スピードが46.3km/hという高速レースを作り出したのは、総合成績で14秒しか遅れていないブランドン・マクナルティとロビン・カーペンター(アメリカ、ラリーサイクリング)、身長204cmのコノール・デューン(アイルランド、アクアブルースポート)、クリストファー・ウィリアムズ(オーストラリア、ノボノルディスク)、シモーネ・ベヴィラックア(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)、スン・シャーロン(中国、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ)の6名。
タイム差が4分を超えたため、暫定的に総合リーダーの座はマクナルティの手に。マクナルティは1998年4月2日生まれの19歳。タイムトライアルを得意とする次世代オールラウンダーとしての活躍が期待される選手であり、2016年のロード世界選手権ジュニア個人タイムトライアルで優勝し、2017年の同大会U23個人タイムトライアルで2位。UCIワールドチーム入りが有力視されていたが、ヨーロッパで結果を求めるのではなくアメリカでの育成に力を入れるためにUCIコンチネンタルチームのラリーサイクリングに所属している。
独走力のある6名の逃げグループは、徐々にメンバーを減らしながらも4分リードのまま残り30km地点を通過。後方ではリーダーチームのクイックステップフロアーズにトレック・セガフレードやディメンションデータ、バーレーン・メリダ、UAEチームエミレーツも加わり、猛烈な勢いでメイン集団を率いて追いかける。しかし残り20km地点でタイム差は依然として3分。集団の思うようにタイム差は縮まらなかった。
沿道から子供たちの声援を受ける photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
後半にかけて山岳地帯へと入っていく photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
残り10kmから独走したブランドン・マクナルティ(アメリカ、ラリーサイクリング) photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
アップダウン区間をハイペースで進むメイン集団からはマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)らが脱落。その後キッテルはメイン集団に復帰したものの、結果的にステージ22位に入るのがやっとだった。
やがて残り10kmからマクナルティが独走を開始する。19歳のTTスペシャリストは、バーレーン・メリダとロットNLユンボが牽引するメイン集団から1分リードで残り4km。マクナルティは35秒リードのまま残り1kmアーチを切り、ハッタダムに向けた登坂を開始する。
残り300mで後方を振り返り、カメラに向かって「信じられない」というジェスチャーを見せたマクナルティ。しかし最終コーナーを曲がったところで現れた最大勾配17%の急坂区間で一気にペースが落ちてしまう。インナーローに落として歯をくいしばるマクナルティーの後ろから、アウターを踏むスプリンターたちが別次元のスピードで迫った。
集団の中から真っ先に仕掛けたのは「メカトラで53Tのアウターチェーンリングしか使えなかったので、最後はかなり長めのスプリントをせざるを得なかった。タイミングを遅らせていたらチャンスはなかった」というソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)。ここにジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)らが反応するも、コルブレッリのスピードは落ちない。
フィニッシュラインまで50mを残して、それまで170km以上を逃げていたマクナルティはパス。マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)を振り切ったコルブレッリが力強く右手を挙げた。
19歳のブランドン・マクナルティ(アメリカ、ラリーサイクリング)が逃げ続ける photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
先頭で登りを突き進むソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
最大勾配17%の登坂バトルに勝利したソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
「大会初日から自分のために働き続けてくれているチームに勝利で恩返ししたかった。今日もバーレーン・メリダは素晴らしい働きぶりを見せてくれたんだ。フィニッシュに向けてヴィンチェンツォ・ニーバリが最高のアシストをしてくれた。残り50mは永遠のように感じたよ」と、今シーズン初勝利を飾ったコルブレッリ。総合でも7秒差の3位に浮上している。
タイム差なしのステージ6位に入ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が総合首位をキープ。ヤングライダー賞トップのコルトニールセンが2秒差で続いている。「まだレースは終わっていない。コルトニールセンとのタイム差2秒は決して大きくないし、彼の強さは侮れない。今日はステージ優勝ではなく、ブルージャージの防衛が目標だったので結果には満足している。コルブレッリが飛び出した時、もう脚に力は残っていなかった。明日は全力を尽くして総合リード堅守を目指すと同時に、スプリントでもう1勝したい」と、総合優勝に王手をかけたヴィヴィアーニは語る。
「残り1kmの時点で、ステージ優勝だけではなく総合優勝も自分のものだと思った」と語るのは、逃げ切りによる大金星を僅差で逃し、息絶え絶え21位でフィニッシュしたマクナルティ。「残り500mの時点でまだ優勝は間違いないと思っていたけど、残り200mから急激に勾配が増したところで脚が止まったんだ。振り返ると集団が迫っていて、彼らは飛ぶようなスピードで抜いていった。結果は残念だけど、次戦のツアー・オブ・オマーンに向けて調子の良さを感じるとともに自信を得たよ」とコメントしている。
フィニッシュしたマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)が苦しむ photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
ハッタダムのダムサイトに設けられた表彰台に立つソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
総合首位を守ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo: LaPresse - Ferrari / Paolone
ヤングライダー賞トップに返り咲いたマグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) photo: LaPresse - Ferrari / Paolone



ドバイツアーの名物となっているハッタダムの頂上フィニッシュが登場した。ダムサイトに向かって高低差50m弱を駆け上がる登りは長さ1kmで平均勾配4.3%/最大勾配17%。登坂時間が短いことから、短時間高出力の走りを得意とするスプリンターたちが上位に入る。僅差の総合争いの行方も含めて注目が集まった。
全長172kmのステージは、強力な逃げグループが形成されたことから高速な展開を見せる。1日の平均スピードが46.3km/hという高速レースを作り出したのは、総合成績で14秒しか遅れていないブランドン・マクナルティとロビン・カーペンター(アメリカ、ラリーサイクリング)、身長204cmのコノール・デューン(アイルランド、アクアブルースポート)、クリストファー・ウィリアムズ(オーストラリア、ノボノルディスク)、シモーネ・ベヴィラックア(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)、スン・シャーロン(中国、ミッチェルトン・バイクエクスチェンジ)の6名。
タイム差が4分を超えたため、暫定的に総合リーダーの座はマクナルティの手に。マクナルティは1998年4月2日生まれの19歳。タイムトライアルを得意とする次世代オールラウンダーとしての活躍が期待される選手であり、2016年のロード世界選手権ジュニア個人タイムトライアルで優勝し、2017年の同大会U23個人タイムトライアルで2位。UCIワールドチーム入りが有力視されていたが、ヨーロッパで結果を求めるのではなくアメリカでの育成に力を入れるためにUCIコンチネンタルチームのラリーサイクリングに所属している。
独走力のある6名の逃げグループは、徐々にメンバーを減らしながらも4分リードのまま残り30km地点を通過。後方ではリーダーチームのクイックステップフロアーズにトレック・セガフレードやディメンションデータ、バーレーン・メリダ、UAEチームエミレーツも加わり、猛烈な勢いでメイン集団を率いて追いかける。しかし残り20km地点でタイム差は依然として3分。集団の思うようにタイム差は縮まらなかった。



アップダウン区間をハイペースで進むメイン集団からはマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)らが脱落。その後キッテルはメイン集団に復帰したものの、結果的にステージ22位に入るのがやっとだった。
やがて残り10kmからマクナルティが独走を開始する。19歳のTTスペシャリストは、バーレーン・メリダとロットNLユンボが牽引するメイン集団から1分リードで残り4km。マクナルティは35秒リードのまま残り1kmアーチを切り、ハッタダムに向けた登坂を開始する。
残り300mで後方を振り返り、カメラに向かって「信じられない」というジェスチャーを見せたマクナルティ。しかし最終コーナーを曲がったところで現れた最大勾配17%の急坂区間で一気にペースが落ちてしまう。インナーローに落として歯をくいしばるマクナルティーの後ろから、アウターを踏むスプリンターたちが別次元のスピードで迫った。
集団の中から真っ先に仕掛けたのは「メカトラで53Tのアウターチェーンリングしか使えなかったので、最後はかなり長めのスプリントをせざるを得なかった。タイミングを遅らせていたらチャンスはなかった」というソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)。ここにジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード)らが反応するも、コルブレッリのスピードは落ちない。
フィニッシュラインまで50mを残して、それまで170km以上を逃げていたマクナルティはパス。マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)を振り切ったコルブレッリが力強く右手を挙げた。



「大会初日から自分のために働き続けてくれているチームに勝利で恩返ししたかった。今日もバーレーン・メリダは素晴らしい働きぶりを見せてくれたんだ。フィニッシュに向けてヴィンチェンツォ・ニーバリが最高のアシストをしてくれた。残り50mは永遠のように感じたよ」と、今シーズン初勝利を飾ったコルブレッリ。総合でも7秒差の3位に浮上している。
タイム差なしのステージ6位に入ったエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)が総合首位をキープ。ヤングライダー賞トップのコルトニールセンが2秒差で続いている。「まだレースは終わっていない。コルトニールセンとのタイム差2秒は決して大きくないし、彼の強さは侮れない。今日はステージ優勝ではなく、ブルージャージの防衛が目標だったので結果には満足している。コルブレッリが飛び出した時、もう脚に力は残っていなかった。明日は全力を尽くして総合リード堅守を目指すと同時に、スプリントでもう1勝したい」と、総合優勝に王手をかけたヴィヴィアーニは語る。
「残り1kmの時点で、ステージ優勝だけではなく総合優勝も自分のものだと思った」と語るのは、逃げ切りによる大金星を僅差で逃し、息絶え絶え21位でフィニッシュしたマクナルティ。「残り500mの時点でまだ優勝は間違いないと思っていたけど、残り200mから急激に勾配が増したところで脚が止まったんだ。振り返ると集団が迫っていて、彼らは飛ぶようなスピードで抜いていった。結果は残念だけど、次戦のツアー・オブ・オマーンに向けて調子の良さを感じるとともに自信を得たよ」とコメントしている。




ドバイツアー2018第4ステージ結果
1位 | ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 3:40:50 |
2位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | |
3位 | ティモ・ルーセン(オランダ、ロットNLユンボ) | |
4位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
5位 | ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) | |
6位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | トム・ボーリ(スイス、BMCレーシング) | |
8位 | ロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング) | |
9位 | ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) | |
10位 | ネイサン・ヴァンフーイドンク(ベルギー、BMCレーシング) |
個人総合成績
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 16:00:28 |
2位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | 0:00:02 |
3位 | ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:00:04 |
4位 | ネイサン・ヴァンフーイドンク(ベルギー、BMCレーシング) | 0:00:07 |
5位 | ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) | 0:00:08 |
6位 | ロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング) | |
7位 | ティモ・ルーセン(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:00:10 |
8位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 0:00:14 |
9位 | ジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシング) | |
10位 | ディラン・トゥーンス(ベルギー、BMCレーシング) |
ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 46pts |
2位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) | 42pts |
3位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | 40pts |
スプリント賞
1位 | ネイサン・ヴァンフーイドンク(ベルギー、BMCレーシング) | 12pts |
2位 | シモーネ・ベヴィラックア(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ) | 12pts |
3位 | ロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング) | 10pts |
ヤングライダー賞
1位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | 16:00:30 |
2位 | ネイサン・ヴァンフーイドンク(ベルギー、BMCレーシング) | 0:00:05 |
3位 | ロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング) | 0:00:06 |
チーム総合成績
1位 | BMCレーシング | 48:02:06 |
2位 | カチューシャ・アルペシン | 0:00:44 |
3位 | UAEチームエミレーツ | 0:01:15 |