冷雨の降る中行われたボルタ・ア・ヴァレンシアナ第5ステージはスプリントを制したユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング)が優勝。チーム移籍後初の勝利となった。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は総合優勝を勝ち取り、怪我からの完全復活を果たした。



パテルナを出発するプロトンパテルナを出発するプロトン (c)VueltaCV
最終日を迎えたボルタ・ア・ヴァレンシアナ(UCI2.1)。第5ステージはパテルナを出発しバレンシアナにフィニッシュする135.2km。途中100km地点に3級山岳が設定されたが、基本的に平坦コースとなっており、ラスト5kmは大きく曲がるコーナーが2ヶ所あるものの道幅は広く、最終的に大集団でのスプリントが繰り広げられることとなった。

冷雨の降る中、レースが始まるとミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)、シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)、ドメン・ノヴァク(スロベニア、バーレーン・メリダ)、レイン・タラマエ(エストニア、コフィディス・ソルシオンクレディ)、トーマス・スパレンジャー(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)、ヤン・トラトニク(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)の6名による逃げグループが形成された。

冷たい雨が降りしきる中、レースがスタート冷たい雨が降りしきる中、レースがスタート (c)VueltaCV
序盤に形成された6名の逃げグループ序盤に形成された6名の逃げグループ (c)VueltaCV逃げ集団に入ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)逃げ集団に入ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) (c)VueltaCV


荒々しい3級の山岳ポイントを登っていく荒々しい3級の山岳ポイントを登っていく (c)VueltaCV
一方、プロトンはリーダージャージを着用するアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)擁するモビスターが完全にコントロール。逃げと集団とのタイム差は一定のまま推移し、序盤は落ち着いたレース展開となった。

3級山岳を登り始めると、プロトンは逃げグループの吸収を図りペースアップ。一時タイム差を15秒まで縮めるが、山岳ポイントを通過したタイミングでキュングが加速。バレンシアナに至る長い下り区間で得意の独走に持ち込み、レースは集団対先頭1人の構図に。集団はモビスターやアスタナが牽引を続けるが、雨で路面が濡れペースを上げきれず、タイム差は最大30秒まで広がった。

後半逃げ続けたシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)後半逃げ続けたシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) (c)VueltaCV
残り15kmを切ると、集団はスプリント勝負に持ち込みたいロットNLユンボ、カチューシャ・アルペシン、アージェードゥーゼールが牽引を開始。残り9km地点でキュングを吸収すると、スプリントフィニッシュに向けて各チーム、トレインを並べながら主導権争いの様相となる。

しかし、残り1kmのアーチをくぐった時点でチームによる組織的なリードアウトが崩壊。ラスト300mのコーナーで先頭を引いていたオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)が転倒すると、周りの選手が怯んだ隙にユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング)が鋭く加速。後ろから追い上げを見せるダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)もギリギリ届かず、ルーランズが先頭でフィニッシュラインを通過。ロット・スーダルからの移籍後初勝利を挙げている。

ハンドルを投げるユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング)とダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)ハンドルを投げるユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング)とダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ) (c)CorVos
ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング)が先着ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング)が先着 (c)CorVosチーム移籍後初の勝利となったユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング)チーム移籍後初の勝利となったユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング) (c)CorVos


「新たにチームを移籍し、6ヶ月前には手術も受けていたので、やっとレースに戻ってこれたと感じている。懸命にリハビリやトレーニングに打ち込んだ成果が勝利という形で現れた。今日の勝利は本当に嬉しく思うよ。チームメイトは私を良いポジションまで導いてくれたし、最終コーナーが狭い左コーナーだと知っていたので、大きく集団の外にラインを取ってスプリントを開始したんだ」とルーランズはコメントしている。

また危なげなく最終ステージを走り切ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は2004年、2007年に続く同大会自身3度目となる総合優勝を果たした。「この勝利は、怪我からの復帰のために努力してきた私自身へのご褒美だと思う。14年前に初めてレースで勝利した時とはまた違う感覚だよ。非常に重い怪我をしてしまって7ヶ月レースから遠ざかっていたけれど、ここで勝つ事ができてとても幸せだ」とコメント。昨年のツール・ド・フランス第1ステージでの落車から完全復活を果たした。

自身3度目のボルタ・ア・ヴァレンシアナ総合優勝を飾ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)自身3度目のボルタ・ア・ヴァレンシアナ総合優勝を飾ったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) (c)CorVos
NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニは最終コーナーを5番手で通過したマルコ・カノラ(イタリア)がステージ7位に入り今大会2度目のトップ10フィニッシュとなった。

総合142位で完走を果たした中根英登は「前半はとにかく寒すぎてあまり覚えてない。とにかく我慢に徹した。上りに入って冷え切った身体では全く対応できず、グルペットでゴールした。シーズン初戦で良い感触も掴めたステージもあったが、ツラく苦しいステージもあり、肉体的にも精神的にも追い込むことができた。次はミャンマーでのアジア選手権。良い状態で臨めると思う」とレースを振り返っている。(チームのホームページより)。

冷雨の中走る中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)冷雨の中走る中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
第5ステージ結果
1位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング) 2:58:26
2位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)
3位 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール) +0:01
4位 ネルソン・ソト(コロンビア、カハルーラル・セグロスRGA)
5位 バティスト・プランカールト(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)
6位 クリストフ・ノッペ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ)
7位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)
8位 エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)
9位 ジョナス・コック(ドイツ、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)
10位 ヒューゴ・ホフステッター(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 16:14:53
2位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) +0:14
3位 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) +0:26
4位 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +0:37
5位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス・ソルシオンクレディ) +0:48
6位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) +0:49
7位 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) +0:54
8位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ミッチェルトン・スコット) +0:57
9位 キリアン・フランキーニー(スイス、BMCレーシング) +1:03
10位 アマロ・アントゥネス(ポルトガル、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) +1:09
ヤングライダー賞
1位 キリアン・フランキーニー(スイス、BMCレーシング) 16:15:56
2位 ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) +0:10
3位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) +0:18
山岳賞
1位 プレベン・ヴァン・ヘッケ(ベルギー、スポートフラーンデレン・バロワーズ) 27pts
2位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA) 21pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 20pts
チーム総合成績
1位 アスタナ 48:46:25
2位 チームスカイ +2:13
3位 BMCレーシング +2:29
text:Kosuke.Kamata
photo:CorVos,VueltaCV