1月25日にメルボルンのアルバートパークで開催された第2回トゥワーズゼロ・レースメルボルン・アルバートパークGP。週末のカデルレースに出場する選手たちによるハイスピードバトルでサム・ベネット(ボーラ・ハンスグローエ)とアネット・エドモンソン(ウィグル・ハイファイブ)が勝利した。
メルボルンの街並みを背にアルバートパークを走る photo:Kei Tsuji / TDWsport
レースディレクターを務めるスコット・サンダーランドと大会アンバサダーのカデル・エヴァンス photo:Kei Tsuji / TDWsport
午後5時にスタートが切られる男子レース photo:Kei Tsuji / TDWsport
サントス・ツアー・ダウンアンダーの翌週にメルボルン近郊のジーロングで開催されるUCIワールドツアー第2戦カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース。日曜日のUCIワールドツアーレースや土曜日の女子レース(UCI1.1)に出場する選手たちが足慣らしとして、木曜日のトゥワーズゼロ・レースメルボルンに顔を揃えた。
レースの舞台となるのは、現在F1オーストラリアGPの開催地として知られるメルボルン市内のアルバートパーク。F1オーストラリアGPが1996年にメルボルンに移るまで、つまり1995年まで同大会はアデレードの市街地コースで開催されていた。同大会がメルボルンに移ったことを受け、代替イベントとしてアデレード市と南オーストラリア州が1999年に初開催したのが現在のサントス・ツアー・ダウンアンダー。
UCIレースではないクリテリウムのレースメルボルンは、F1の5.3km周回コースをほぼそのまま使用する。普段は公園をぐるっと一周する公道として使用されており、中央分離帯や白線、自転車道、路上駐車の枠などはそのまま。F1観戦用の特設シートも普段は取り払われており、サーキットらしさを残す縁石を除けばそこがF1コースであることを感じさせない。
基本的に出場選手は日曜日のUCIワールドツアーレースと共通だが、UCIレースではないためメンバー入れ替えは容易。リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は本戦に向けてリスク回避を理由に欠場。本戦を欠場予定のカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)はクリテリウムチャンピオンジャージを着ての出場となった。
2周目に形成された7名の逃げグループ photo:Kei Tsuji / TDWsport
晴れ渡るアルバートパークを走る逃げグループ photo:Kei Tsuji / TDWsport
ミッチェルトン・スコットとクイックステップフロアーズがメイン集団をコントロール photo:Kei Tsuji / TDWsport
高速レースを走る別府史之(トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ヴィヴィアーニの勝利を狙うクイックステップフロアーズ photo:Kei Tsuji / TDWsport
アルバートパークから眺めるメルボルンの高速ビル群 photo:Kei Tsuji / TDWsport
合計22周するレースは、2周目に形成されたジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)やオウェイン・ドゥール(イギリス、チームスカイ)、ネイサン・アール(オーストラリア、イスラエルサイクリングアカデミー)ら7名の逃げグループが先行する展開。ほぼ真っ平らなコースを高速巡航する7名を、ミッチェルトン・スコットとクイックステップフロアーズ、そしてボーラ・ハンスグローエが牽引するメイン集団が追撃した。
気温は30度弱だが、肌にまとわりつく湿気が暑さを感じさせる。6分30秒前後のラップタイム(F1のレコードタイムは1分23秒)を刻みながら周回をこなし、後半にかけてペースを上げる走りを見せた逃げグループ。15秒のリードで最終周回に突入したものの、スプリンターチームを振り切るには至らなかった。最後まで粘ったジョセ・ゴンサルベス(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)とピーター・コニング(オランダ、アクアブルースポート)も残り2kmで吸収。そこからミッチェルトン・スコットが先頭でトレインを走らせる。
しかしオーストラリアチームはユアンのための完璧なリードアウトトレインを作れず、クイックステップフロアーズが主導権を握った状態でスプリントへ。早めに仕掛けたユアンのスプリントは伸びず、その後ろからサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が加速する。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)のスプリントも伸びず、ベネットが一人飛び出した状態でフィニッシュラインを切った。
フィニッシュで人差し指と中指を立てて2年連続優勝をアピールしたベネット。サントス・ツアー・ダウンアンダーでは体調不良に悩まされ、ペテル・サガン(スロバキア)のアシストに徹していた。「これは自分の自信とモラル回復につながる重要な勝利。ダウンアンダーの開幕前に体調を崩してしまい、散々な結果に終わっていたんだ。昨日もあまり体調が良くなかったから、この勝利はサプライズでもある。ボーラ・ハンスグローエが完璧なお膳立てをしてくれたおかげだ」とベネットは語っている。
逃げ続けるジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)ら photo:Kei Tsuji / TDWsport
ミッチェルトン・スコットとクイックステップフロアーズを先頭に逃げを追撃 photo:Kei Tsuji / TDWsport
最終ストレートで先頭に立ったサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
2年連続優勝を飾ったサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
21位でフィニッシュする別府史之(トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji / TDWsport
大会連覇を果たしたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
2位エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)、優勝サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)、3位スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、コーダメンタリアルエステート) photo:Kei Tsuji / TDWsport
12周回で争われた女子レースには、体調不良によりサントス・ウィメンズツアー・ダウンアンダーを欠場した萩原麻由子(アレ・チポッリーニ)も出場。レースは逃げという逃げが生まれないまま、すべてのアタックが封じ込められたまま進んで行く。アレ・チポッリーニやビーピンクのアタックは決まらず勝負は大集団によるスプリントに。
最終ストレートで早めに前に出たミッチェルトン・スコット勢を追い抜いて、アネット・エドモンソン(オーストラリア、ウィグル・ハイファイブ)やクロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)、ジョルジャ・ブロンジーニ(イタリア、サイレンスプロサイクリング)が加速する。ここにケンダル・ライアン(アメリカ、ティブコSVB)も絡み、最後は4人が一斉にハンドルを投げ込んでフィニッシュ。写真判定の末にエドモンソンの勝利が確定し、與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)も輪に加わって喜んだ。
サントス・ウィメンズツアー・ダウンアンダーの開幕ステージでも勝利しているエドモンソンは「追い風で下り基調だったからかなりハイスピードなスプリントだった。2017年が(甲状腺機能低下症で)思わしくないシーズンだっただけに、2018年は最高のスタートを切れている」とコメント。男女レースの優勝者はそれぞれ同額の優勝賞金8,000ユーロ(約108万円)を受け取っている。
集団先頭でレースを展開する與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ダウンアンダーを欠場したため、これがシーズン初戦となった萩原麻由子(アレ・チポッリーニ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
スプリントで競り合うアネット・エドモンソン(オーストラリア、ウィグル・ハイファイブ)やジョルジャ・ブロンジーニ(イタリア、サイレンスプロサイクリング) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ハンドルを投げ込むアネット・エドモンソン(オーストラリア、ウィグル・ハイファイブ)、ケンダル・ライアン(アメリカ、ティブコSVB)、ジョルジャ・ブロンジーニ(イタリア、サイレンスプロサイクリング)、クロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
勝利を知って喜ぶアネット・エドモンソン(オーストラリア、ウィグル・ハイファイブ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
賞金8000ユーロを獲得したアネット・エドモンソン(オーストラリア、ウィグル・ハイファイブ) photo:Kei Tsuji / TDWsport



サントス・ツアー・ダウンアンダーの翌週にメルボルン近郊のジーロングで開催されるUCIワールドツアー第2戦カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース。日曜日のUCIワールドツアーレースや土曜日の女子レース(UCI1.1)に出場する選手たちが足慣らしとして、木曜日のトゥワーズゼロ・レースメルボルンに顔を揃えた。
レースの舞台となるのは、現在F1オーストラリアGPの開催地として知られるメルボルン市内のアルバートパーク。F1オーストラリアGPが1996年にメルボルンに移るまで、つまり1995年まで同大会はアデレードの市街地コースで開催されていた。同大会がメルボルンに移ったことを受け、代替イベントとしてアデレード市と南オーストラリア州が1999年に初開催したのが現在のサントス・ツアー・ダウンアンダー。
UCIレースではないクリテリウムのレースメルボルンは、F1の5.3km周回コースをほぼそのまま使用する。普段は公園をぐるっと一周する公道として使用されており、中央分離帯や白線、自転車道、路上駐車の枠などはそのまま。F1観戦用の特設シートも普段は取り払われており、サーキットらしさを残す縁石を除けばそこがF1コースであることを感じさせない。
基本的に出場選手は日曜日のUCIワールドツアーレースと共通だが、UCIレースではないためメンバー入れ替えは容易。リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は本戦に向けてリスク回避を理由に欠場。本戦を欠場予定のカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)はクリテリウムチャンピオンジャージを着ての出場となった。






合計22周するレースは、2周目に形成されたジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)やオウェイン・ドゥール(イギリス、チームスカイ)、ネイサン・アール(オーストラリア、イスラエルサイクリングアカデミー)ら7名の逃げグループが先行する展開。ほぼ真っ平らなコースを高速巡航する7名を、ミッチェルトン・スコットとクイックステップフロアーズ、そしてボーラ・ハンスグローエが牽引するメイン集団が追撃した。
気温は30度弱だが、肌にまとわりつく湿気が暑さを感じさせる。6分30秒前後のラップタイム(F1のレコードタイムは1分23秒)を刻みながら周回をこなし、後半にかけてペースを上げる走りを見せた逃げグループ。15秒のリードで最終周回に突入したものの、スプリンターチームを振り切るには至らなかった。最後まで粘ったジョセ・ゴンサルベス(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン)とピーター・コニング(オランダ、アクアブルースポート)も残り2kmで吸収。そこからミッチェルトン・スコットが先頭でトレインを走らせる。
しかしオーストラリアチームはユアンのための完璧なリードアウトトレインを作れず、クイックステップフロアーズが主導権を握った状態でスプリントへ。早めに仕掛けたユアンのスプリントは伸びず、その後ろからサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が加速する。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)のスプリントも伸びず、ベネットが一人飛び出した状態でフィニッシュラインを切った。
フィニッシュで人差し指と中指を立てて2年連続優勝をアピールしたベネット。サントス・ツアー・ダウンアンダーでは体調不良に悩まされ、ペテル・サガン(スロバキア)のアシストに徹していた。「これは自分の自信とモラル回復につながる重要な勝利。ダウンアンダーの開幕前に体調を崩してしまい、散々な結果に終わっていたんだ。昨日もあまり体調が良くなかったから、この勝利はサプライズでもある。ボーラ・ハンスグローエが完璧なお膳立てをしてくれたおかげだ」とベネットは語っている。







12周回で争われた女子レースには、体調不良によりサントス・ウィメンズツアー・ダウンアンダーを欠場した萩原麻由子(アレ・チポッリーニ)も出場。レースは逃げという逃げが生まれないまま、すべてのアタックが封じ込められたまま進んで行く。アレ・チポッリーニやビーピンクのアタックは決まらず勝負は大集団によるスプリントに。
最終ストレートで早めに前に出たミッチェルトン・スコット勢を追い抜いて、アネット・エドモンソン(オーストラリア、ウィグル・ハイファイブ)やクロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)、ジョルジャ・ブロンジーニ(イタリア、サイレンスプロサイクリング)が加速する。ここにケンダル・ライアン(アメリカ、ティブコSVB)も絡み、最後は4人が一斉にハンドルを投げ込んでフィニッシュ。写真判定の末にエドモンソンの勝利が確定し、與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)も輪に加わって喜んだ。
サントス・ウィメンズツアー・ダウンアンダーの開幕ステージでも勝利しているエドモンソンは「追い風で下り基調だったからかなりハイスピードなスプリントだった。2017年が(甲状腺機能低下症で)思わしくないシーズンだっただけに、2018年は最高のスタートを切れている」とコメント。男女レースの優勝者はそれぞれ同額の優勝賞金8,000ユーロ(約108万円)を受け取っている。






男子レース
1位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 2:29:08 |
2位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | |
3位 | スティール・ヴォンホフ(オーストラリア、コーダメンタリアルエステート) | |
4位 | ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ) | |
5位 | カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
6位 | イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・スーダル) | |
7位 | マッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン) | |
8位 | ルーカス・ヴィシニオウスキー(ポーランド、チームスカイ) | |
9位 | ロバート・ワグナー(ドイツ、ロットNLユンボ) | |
10位 | マイク・テウニッセン(オランダ、サンウェブ) | |
21位 | 別府史之(日本、トレック・セガフレード) |
女子レース
1位 | アネット・エドモンソン(オーストラリア、ウィグル・ハイファイブ) | 1:34:54 |
2位 | ジョルジャ・ブロンジーニ(イタリア、サイレンスプロサイクリング) | |
3位 | ケンダル・ライアン(アメリカ、ティブコSVB) | |
4位 | クロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ) | |
5位 | バルバラ・グアリスキ(イタリア、ヴィルトゥサイクリング) | |
6位 | グレイシー・エルヴィン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
7位 | アンナ・トレヴィージ(イタリア、アレ・チポッリーニ) | |
8位 | サラ・ローイ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) | |
9位 | マリアヴィットリア・スペロット(イタリア、ビーピンク) | |
10位 | アビガリ・ヴァントウィスク(イギリス、トレック・ドロップス) | |
47位 | 與那嶺恵理(日本、ウィグル・ハイファイブ) | |
56位 | 萩原麻由子(日本、アレ・チポッリーニ) |
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