2008年のツアー・ダウンアンダーを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)が、再び総合優勝を狙ってオーストラリアに降り立つ。「ツアー・ダウンアンダーは初めて自分自身の可能性を実感したレース。少なくともステージ1勝は飾りたい」。

2009年大会の第1ステージを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)2009年大会の第1ステージを制したアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア) 2008年大会で圧巻のステージ4勝を飾り、ツアー・ダウンアンダー第10代王者に輝いたドイツのグライペル。しかし連覇を狙った2009年大会は、第1ステージで優勝を飾りながらも、強風が吹き付けた第3ステージで落車し、全治3ヶ月の怪我を負ってリタイア。シーズン序盤を棒に振った。

復権を目指すグライペルは、1月17日に開幕する2010年大会に先立ち、チーム公式サイトの中で抱負を語った。

ブエルタで通算4勝を飾り、ポイント賞を獲得したアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア)ブエルタで通算4勝を飾り、ポイント賞を獲得したアンドレ・グライペル(ドイツ、チームHTC・コロンビア) photo:Unipublic「昨年は運がなかった。もうあんな悪運はこりごりだ。レース中は、2009年大会ではなくて2008年大会のことを考えながら走りたい。レースは一つとして同じものは無い。少なくともステージ1勝は飾りたいね」

グライペルは過去2年と同様のオフシーズントレーニングを積み、ダウンアンダーに調整を合わせる。2008年はシーズン通算15勝。2009年はシーズン序盤に戦線を離脱しながらも通算20勝を飾った。これは全選手の中で2番目の勝利数(1位のカヴェンディッシュは23勝)。ブエルタ・ア・エスパーニャでは最終ステージを含めて4勝を飾り、グランツールで初めてポイント賞に輝いた。

「2008年のツアー・ダウンアンダーは、初めて自分自身の可能性を実感したレースなんだ。だからレースへの想いは強いよ。今年は今まで以上にハイレベルな闘いになると思う。2008年は比較的リラックスした雰囲気だったけど、プロツアー2年目の2009年大会は、2ステージしか走っていないけど、前年度よりレベルが高かった」

グライペルは1月2日にオーストラリアへ渡り、メルボルンで開催されるロード世界選手権のコース試走も済ませた。時差ボケを解消するために早期にオーストラリア入りしたというが、実際は温暖な気候がトレーニング向きのようだ。

ツアー・ダウンアンダーのチームメンバーを観る限り、グライペルのスプリント狙いなのは明らかだ。グラブシュ(ドイツ)とロジャース(オーストラリア)の元世界TTチャンピオンコンビがハイスピードで集団をコントロールし、ロールストン(ニュージーランド)、アイゼル(オーストリア)、シーベルグ(ドイツ)、ゴス(オーストラリア)らスピードマンがトレインを組んでグライペルを発射。2009年のTOJ(ツアー・オブ・ジャパン)でステージ3勝を飾ったリー・ハワード(オーストラリア)はプロツアーチームデビューを果たす。

また、2009年7月からスポンサーに加わったHTC社が冠スポンサーとなり、チーム名はチームHTC・コロンビアに変更。ジャージデザインも、htcとコロンビアのロゴが上下入れ替わっている。

ツアー・ダウンアンダー2010チームHTC・コロンビアメンバー
ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)
マシュー・ゴス(オーストラリア)
ベアト・グラブシュ(ドイツ)
アンドレ・グライペル(ドイツ)
リー・ハワード(オーストラリア)
マイケル・ロジャース(オーストラリア)
ヘイデン・ロールストン(ニュージーランド)
マルセル・シーベルグ(ドイツ)

text:Kei Tsuji