ほとんどのチームと選手が新体制で2010年シーズンのスタートを切ったというのに、別府史之の2010年度のチーム契約が白紙のままだ。契約上のトラブルがあるのは確かだ。この状態はいつまで続くというのか?

別府史之は2010年、どのジャージを着るのか?別府史之は2010年、どのジャージを着るのか? (c)Makoto.AYANOスキル・シマノが別府との契約延長を発表したのが昨年8月12日のこと。そしてチームは11月12日付で2010年のチームメンバーを発表した。その中には土井雪広とともに別府の名前も連ねられていた。

誰もがフミはスキル・シマノとの契約を更新し、2010年も同じジャージで走るものと思ったことだろう。しかし、このどちらのタイミングでもフミからの公式発表はされなかった。

そして、ランス・アームストロング率いる新チーム「レディオシャック」が11月24日に発表した2010年選手リストには、別府の名前があった。

スキルシマノはその発表の翌日、チームサイトおよびプレスリリースで、別府が2010年までスキル・シマノと契約があること、そして別府に対しチームの選手として走れるように、弁護士を通して問題を解決するなどと主張した。

もともと別府とスキル・シマノの契約は1年契約を基本とした「12ヶ月追加のオプションつき」というものだった。2009年度の契約更新時にチーム側は「1年間に加えてさらに12ヶ月追加の条件つきで契約を継続することを決定した」と発表している。この"オプション"に対する双方の理解と契約内容の拘束力が争点になりそうだ。

この問題は海外各ネットメディアを通じて報道されているが、それら報道はすべてスキル・シマノおよびそのチーム広報担当者への取材をもとにしたものだ。スキル・シマノはレディオシャック側に質し、「レディオシャックとヨハン・ブリュイネール監督は、この件に関しては問題が解消するまで成り行きを見守るという姿勢を表明している」としている。

シクロワイアードでは、別府史之のマネージメントをする実兄の別府始(はじめ)氏に状況を伺った。始氏はJ SPORTS等の実況解説でも知られるサイクルジャーナリストであるとともに、史之と別府家の次男・匠(愛三工業レーシング選手)のマネージメントやコンサルタント業などを行う有限会社ブルーフォートの代表だ。

1月7日付けの電話取材の結論から言えば、別府史之のチーム契約については1月7日の段階でもまだ決まっておらず、いまだ調整中ということだ。ただし解決に向けて動いていることは確かなようだ。

そしてひとつの事実として、1月7日現在、UCI(国際自転車競技連合)に登録された2010年のプロコンチネンタルチーム登録選手リストにおいて、スキル・シマノが登録したメンバーのなかには別府の名は無い。そして、プロツアーチームカテゴリーのレディオシャックが登録したメンバーリストはまだ空白の状態だ。

最後に別府始氏からのメッセージをお伝えする。

「今の時点では"調整中"としか言えません。ただし、我々は選手とともに常に最良のパフォーマンスを発揮するための環境を作ることを目指しています。今は事態が混乱しないように進めることが大切ですので、ファンの皆さんはどうか事態の解決を静かに見守って頂いて、発表の日を待ってくださるようにお願いします」。



text:綾野 真(Makoto AYANO)

最新ニュース(全ジャンル)