ロンバルディアまで続く秋のイタリアンクラシックシーズンが到来。その開幕2連戦でワンティ・グループグベルトが活躍し、中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)が170kmに渡るエスケープを打った。



世界選手権を境に、イタリアでは「落ち葉のクラシック」と言われる10月7日のモニュメント最終戦、イル・ロンバルディア(UCIワールドツアー)まで続く秋のクラシックシーズンが訪れた。その皮切りとなるのが9月26・27日に開催されたジロ・デラ・トスカーナ(UCI2.1)と28日に行われたコッパ・サバティーニ(UCI1.1)の2連戦だ。

シーズン最終盤かつUCI.1クラスではあるものの、調整を兼ねて強豪ワンデーレーサー達が集結することが習わしで、ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)は連戦、サバティーニにはディエゴ・ローザ(イタリア)やエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)を主軸にするチームスカイが名を連ねる。NIPPOヴィーニファンティーニ(日本人選手は中根英登と小林海)も連戦に臨んだ。

ジロ・デラ・トスカーナ第1ステージ スティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)が逃げ集団のスプリントで勝利ジロ・デラ・トスカーナ第1ステージ スティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)が逃げ集団のスプリントで勝利 photo:CorVos
ジロ・デラ・トスカーナは、自転車競技が盛んなトスカーナを舞台に、起伏に富む周回コースを駆け巡る2日間のステージレース。初日はスプリントが見込まれる平坦基調のコースが用意され、2日目はフィニッシュまでの8kmで約400mを駆け上がる。

序盤の逃げはゴールまで距離を残して吸収され、アタック合戦からニーバリやスティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ)、エーガン・ベルナール(コロンビア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)、そしてフレデリック・バッカールト(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)という強力な4名が抜け出した。

メイン集団ではUAEチームエミレーツがフルメンバーで回収に当たったが、全速力で逃げる4名の背中は近づいてこない。最終盤に牽引に加わったフォルトゥネオ・オスカロやガスプロム・ルスヴェロの協力虚しく逃げ切りが決まり、横一線のスプリントでカミングスが勝利。12秒届かなかった集団の先頭はソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が獲った。

ジロ・デラ・トスカーナ第2ステージ ゴール前の登坂で抜け出したギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループグベルト)ジロ・デラ・トスカーナ第2ステージ ゴール前の登坂で抜け出したギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループグベルト) photo:CorVos
翌第2ステージは、後半になってフェデリコ・ズルロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)らの逃げにメイン集団から抜け出した有力勢が追いつき、緩斜面の登坂上でジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ)がアタック。独走となったヴィスコンティだったが3名の合流を許し、その中から残り1.7kmでギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループグベルト)がアタック。追走やメイン集団の勢いはマルティンに届かず、ペッチオーリ市街地へ続く石畳登坂を駆け上がった24歳が総合優勝を射止める独走勝利を飾った。

さらにその翌日、ペッチオーリ出身の故ジュゼッペ・サバティーニにちなんで名付けられたコッパ・サバティーニでもワンティ・グループグベルトの勢いが止まらなかった。

中根が加わった7名のエスケープグループはおよそ170kmという距離を逃げ続け、最終周回に入る直前の登りで分裂。チームスカイやワンティ・グループグベルト、バーレーン・メリダらスプリンターを抱えるチームが争いながら残る逃げメンバーを飲み込み、最後の緩斜面に突入した。

コッパ・サバティーニ 登りスプリントを制したアンドレア・パスカロン(イタリア、ワンティ・グループグベルト)コッパ・サバティーニ 登りスプリントを制したアンドレア・パスカロン(イタリア、ワンティ・グループグベルト) photo:CorVos
ヴィスコンティの2日連続アタックは不発に終わり、吸収と同時に登りで生き残ったスプリンターたちが発進する。残り200mでアンドレア・パスカロン(イタリア、ワンティ・グループグベルト)とソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が同時に仕掛けたが、左コーナーのイン側を獲ったパスカロンが先着。チームに2日連続となる勝利を届けた。

170kmを逃げた中根は自身のブログに「序盤はかなりきつかったが、監督の指示のもと、無理をしないように心掛けたおかげで大周回を終える頃にはキツさが抜けて脚はいつも通りに。調子が悪ければメイン集団に捕まる前に逃げから千切れていたかもしれない。今日も調子は良い感じでした」とコメントしており、連日トップ10入りしたマルコ・カノラ(イタリア)と共に、出場を予定しているジャパンカップに向けても好感触を掴んでいるようだ。
9月26日(火) ジロ・デラ・トスカーナ メモリアル アルフレド・マルティーニ2017第1ステージ
1位 スティーヴン・カミングス(イギリス、ディメンションデータ) 4h24’39”
2位 エーガン・ベルナール(コロンビア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
3位 フレデリック・バッカールト(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
4位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
5位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +12”
6位 アンドレア・パスカロン(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
7位 マルコ・クンプ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
8位 アルマンド・フォンセカ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)
9位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
10位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
9月27日(水) ジロ・デラ・トスカーナ メモリアル アルフレド・マルティーニ2017第2ステージ
1位 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループグベルト) 4h03’10”
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ) +10”
3位 マッティナ・カッタネオ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +13”
4位 ファブリシオ・フェラーリ(アルゼンチン、カハルーラル・セグロスRGA) +15”
5位 アントニー・ドゥラプラス(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ) +18”
6位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +26”
7位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
8位 エーガン・ベルナール(コロンビア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +28”
9位 マキシム・ブエ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)
10位 ニコラ・ガッフリーニ(イタリア、サンジェミニ・MGクヴィス)
ジロ・デラ・トスカーナ メモリアル アルフレド・マルティーニ2017個人総合成績
1位 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループグベルト) 8h25’01”
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ) +10”
3位 マッティナ・カッタネオ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +13”
4位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +14”
5位 エーガン・ベルナール(コロンビア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +14”
6位 アントニー・ドゥラプラス(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ) +16”
7位 フレデリック・バッカールト(ベルギー、ワンティ・グループグベルト) +18”
8位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +21”
9位 マキシム・ブエ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ) +26”
10位 エドゥアルド・プラデス(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA) +28”
9月28日(木) コッパ・サバティーニ グランピエモ チッタ ディ ペッチオーリ2017結果
1位 アンドレア・パスカロン(イタリア、ワンティ・グループグベルト) 4h44’04”
2位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
3位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)
4位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
5位 エドゥアルド・プラデス(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)
6位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
7位 ギヨーム・マルティン(フランス、ワンティ・グループグベルト)
8位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
9位 ニコラ・ガッフリーニ(イタリア、サンジェミニ・MGクヴィス)
10位 マッティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)