島根県益田市で行われた全日本選手権ロードはジュニアで日野泰静と日野凌羽(松山城南高校)がインターハイに続いてワンツーフィニッシュ、男子U17+U15は津田悠義(EQADS)、WJ+WU17は中川由理(川越工業高校)がそれぞれ優勝した。



MJ 日野泰静と日野凌羽(松山城南高校)がインターハイに続いてワンツーフィニッシュ達成MJ 日野泰静と日野凌羽(松山城南高校)がインターハイに続いてワンツーフィニッシュ達成 photo:Hideaki TAKAGI
島根県益田(ますだ)市で8月6日(日)にジュニアを中心とした全日本選手権ロードが行われた。今年の全日本選手権ロードは、既にエリートとU23、TTが6月に青森県八戸市で行われたが、ジュニアなどのクラスはTTのみだった。ここ益田では益田チャレンジャーズステージとして若い世代のロードレースが2014年から開催されており、第4回目の今年はジュニアとU17・U15全日本選手権ロードとして2回目の大会となる。

益田市で2回目となる全日本選手権ジュニアは高温との戦い

益田市での過去3回の大会と同様に今回も主催はJCFと「益田市・町おこしの会」だ。「サイクリストの町 益田市」を掲げており「益田INAKAライド」など自転車を通した町おこしに熱心な地域だ。シームレスタイヤなどを製造するソーヨータイヤの工場がコースから500mほどのところにあることも縁がある。交通も石見(いわみ)空港が益田市西部にあり、高速道の浜田道路そして9号バイパスなどの建設が進み便利が良い。

気候も安定しており2020年東京オリンピックの合宿候補地として名乗りを上げている。コースはエキップアサダ浅田顕氏監修のもので、昨年とは逆回りで反時計回りの1周14.2km。前半は長く勾配の変化のある上り、急な下りを経て後半はごく緩い下りという配分だ。前年よりも上りがつらくきつく、下りがテクニカルになった。

MJ 1週間前のインターハイ勝者の日野泰静(松山城南高校)らシード選手MJ 1週間前のインターハイ勝者の日野泰静(松山城南高校)らシード選手 photo:Hideaki TAKAGIMJ 128名が5周71kmのレースに挑むMJ 128名が5周71kmのレースに挑む photo:Hideaki TAKAGI

気温は朝のMU17+MU15こそ30度でいくぶん過ごしやすかったが、ジュニアがスタートする10時には34度に達し暑さとの戦いともなった。このため男子ジュニアは6周のところを5周に短縮して行われ、かつ遅れた選手を早めに足切りとした。レースを終えた12時には34.6度だったが、その後フェーン現象により13時半には全国一番の39.3度を記録し、主催者側の距離短縮策は功を奏した。

男子ジュニア 

128名が出走した男子ジュニアは1周短縮されて5周71.0kmのレース。昨年大会では、今夏インターハイ3kmで日本記録を樹立した松田祥位(岐阜第一高校)が、1km弱の逃げ切りで制している。レースは序盤からアタックがかかるが決定的なものにはならない。日野泰静と篠田幸希(日本体育大学)が逃げるが吸収。日野凌羽と馬場慎也(南大隅高校)が逃げるがこれも吸収される。

MJ 1周目上り、日野泰静(松山城南高校)と篠田幸希(日本体育大学)が抜け出すMJ 1周目上り、日野泰静(松山城南高校)と篠田幸希(日本体育大学)が抜け出す photo:Hideaki TAKAGIMJ 2周目後半、4人が逃げるMJ 2周目後半、4人が逃げる photo:Hideaki TAKAGI

日野泰静と松田祥位を中心に進むレース

3周目には日野凌羽、平井光介(TEAM YOU CAN)、加藤拓斗(東北高校)、前原直幸(ナカガワAS.K'デザイン)の4人がメイン集団に30秒差をつけるがこれも吸収される。4周目には松田や日野泰静らがペースを上げ日野泰静が半周逃げると集団が絞られる。さらに最終周回に入って岩瀬照(吉田高校)が前に出るとこれを追う動きで日野泰静と松田、佐藤健(九州学院高校)らがペースを上げ先頭集団は15人に。

上りのピーク地点にあるラスト7km牧場付近のアップダウン区間で松田がアタックしこれに日野凌羽が反応、佐藤、日野泰静が追う。日野は下りを利用して単独抜け出しラスト6kmから始まる平坦区間へ。ここで松田は日野泰静を追うが日野凌羽がこれをマークする。さらに後続から佐藤そして松崎広太(取手第一高校)が抜け出して合流し先頭は5人に。この後続は10秒差で追うため5人は協力して差を広げていき5人の逃げが決定的になる。

MJ 5周目序盤、日陰を走る日野泰静(松山城南高校)MJ 5周目序盤、日陰を走る日野泰静(松山城南高校) photo:Hideaki TAKAGIMJ 5周目前半、日野泰静(松山城南高校)が集団を揺さぶるMJ 5周目前半、日野泰静(松山城南高校)が集団を揺さぶる photo:Hideaki TAKAGI

5人のスプリントを日野泰静が制する

5人でのスプリント勝負は松田が先行、これに佐藤、日野泰静、日野凌羽の順に並ぶ。ラスト150mからしかけたのは日野泰静。日野凌羽を連れてこの2人が松田をかわし、1週間前のインターハイに続いてのワンツーフィニッシュを決めた。インターハイでは、終盤に逃げた松田に日野泰静が単独ブリッジし下りで松田を突き放した日野泰静が独走優勝、メイン集団のスプリント勝負を日野凌羽が制していた。

レース前から、インターハイでの戦いぶりから日野泰静と松田の実力は抜きんでており、この2人を中心としたレース展開になることが予想されていた。実際にその展開となり、日野凌羽はいとこの日野泰静のアシストをこなしつつも2位に、そしてツール・ド・ラビティビでステージ3位の佐藤、インターハイ3位の松崎らが実力通りの走りを見せた。

MJ 5周目前半、日野泰静(松山城南高校)と松田祥位(岐阜第一高校)を中心にレースは進むMJ 5周目前半、日野泰静(松山城南高校)と松田祥位(岐阜第一高校)を中心にレースは進む photo:Hideaki TAKAGIMJ 5周目後半、下りを経て単独抜け出した日野泰静(松山城南高校)MJ 5周目後半、下りを経て単独抜け出した日野泰静(松山城南高校) photo:Hideaki TAKAGI
MJ 5周目後半、松田祥位(岐阜第一高校)を中心とした追走集団MJ 5周目後半、松田祥位(岐阜第一高校)を中心とした追走集団 photo:Hideaki TAKAGIMJ 5周目後半、先頭の5人がまとまってフィニッシュへ向かうMJ 5周目後半、先頭の5人がまとまってフィニッシュへ向かう photo:Hideaki TAKAGI

シクロクロスに続いてロードでも全日本チャンピオンになった日野泰静(松山城南高校)

今日は最初から動き過ぎて自分の脚も削れてしまいきつかったですが、そのときはチームメイト(日野凌羽)が前で展開してくれていたのでうまく休めました。最終周回の牧場からの下りで自分が飛ばして前に出て、その後まとまった5人で高速ローテーションを回しながらスプリントになると思っていました。自信あったので最終コーナーで自分の後ろにチームメイトをつけてワン・ツーを狙っていました。マークは厳しかったですが上りでペースを上げてみて今日は行けるなと思いました。結果が出せて本当に嬉しいです。この調子で地元の愛媛国体も優勝します。

MJ 日野泰静と日野凌羽(松山城南高校)の抜群のチームワークが功を奏したMJ 日野泰静と日野凌羽(松山城南高校)の抜群のチームワークが功を奏した photo:Hideaki TAKAGIMJ この日のレースの中心だった1位の日野泰静(松山城南高校)と3位の松田祥位(岐阜第一高校)MJ この日のレースの中心だった1位の日野泰静(松山城南高校)と3位の松田祥位(岐阜第一高校) photo:Hideaki TAKAGI

3位の松田祥位(岐阜第一高校)のコメント

「今日の走りは満足です。自分から逃げも作れましたし、前に行く意思があった人たちだけが先頭集団に残ったので」と振り返るのは昨年大会覇者の松田。上りを強化し、インターハイ3kmで3分22秒の驚異的なジュニア日本記録を樹立していたが、この全日本直前に体調を崩していた。

女子ジュニア+女子U17 中川由理(川越工業高校)が優勝

女子ジュニア+女子U17は男子から1分差の同時スタートで13人3周42.6kmのレース。1周目後半から選抜ロード覇者の石上夢乃(横浜創学館高校)が独走するが熱中症気味になり、3周目入ってすぐに後続集団に吸収される。ここからの上りで中川由理(川越工業高校)と長石悠里(倉吉西高校)が抜け出して後続に差をつけ逃げ続ける。ピーク地点過ぎてからのタイトな下りで中川が数秒先行すると、その差を広げるべく中川がペースアップ。長石は追うがその差が詰められず中川が7kmを逃げ切って優勝した。

WJ+WU17 3周目前半、中川由理(川越工業高校)と長石悠里(倉吉西高校)が逃げるWJ+WU17 3周目前半、中川由理(川越工業高校)と長石悠里(倉吉西高校)が逃げる photo:Hideaki TAKAGIWJ+WU17 3周目前半、逃げる2人を追う集団WJ+WU17 3周目前半、逃げる2人を追う集団 photo:Hideaki TAKAGI
WJ+WU17 3周目後半、下りで抜け出した中川由理(川越工業高校)が独走するWJ+WU17 3周目後半、下りで抜け出した中川由理(川越工業高校)が独走する photo:Hideaki TAKAGIWJ+WU17 中川由理(川越工業高校)が7kmを逃げ切って優勝WJ+WU17 中川由理(川越工業高校)が7kmを逃げ切って優勝 photo:Hideaki TAKAGI

優勝した中川由理(川越工業高校)のコメント

最終周回の下り部分では気づいたら後ろが離れていたので。1回待ったのですが縮まらなかったのでそのまま行きました。ゴールまでが長かったですが、だいたい平坦なので何とかなると思っていました。優勝はまだ実感ないです。埼玉は凄く暑いので、暑さには慣れていました。

男子U17+U15 中学3年の津田悠義(EQADS)が独走優勝

MU17+MU15 津田悠義(EQADS)が序盤から逃げきって優勝MU17+MU15 津田悠義(EQADS)が序盤から逃げきって優勝 photo:Hideaki TAKAGI
72名で出走の男子U17+U15は2周28.4kmのレース。序盤からアタックがかかり寺田吉騎(磐田北高校)と大河内将泰(南大隅高校)が逃げる。3km地点で津田悠義(EQADS)がこれに追いつき3人となり上りピークを越えるがその後の平坦区間で大河内が離れ先頭は津田と寺田の2人に。2周目の上りで津田がペースを上げ単独となり残り11kmを独走して優勝。メイン集団は逃げから戻った寺田がスプリントを制し2位に。U15では全体4位の篠原輝利(ボンシャンス)が1位となった。

MU17+MU15 72名が2周28.4kmのレースに挑むMU17+MU15 72名が2周28.4kmのレースに挑む photo:Hideaki TAKAGIMU17+MU15 2周目序盤から独走を始めた津田悠義(EQADS)がフィニッシュ地点を目指すMU17+MU15 2周目序盤から独走を始めた津田悠義(EQADS)がフィニッシュ地点を目指す photo:Hideaki TAKAGI
MU17+MU15 U17の2位は寺田吉騎(左端、磐田北高校)、U15の1位は篠原輝利(右端、ボンシャンス)MU17+MU15 U17の2位は寺田吉騎(左端、磐田北高校)、U15の1位は篠原輝利(右端、ボンシャンス) photo:Hideaki TAKAGIMU17+MU15 津田悠義(EQADS)が念願のロード全日本チャンピオンにMU17+MU15 津田悠義(EQADS)が念願のロード全日本チャンピオンに photo:Hideaki TAKAGI

6月のTTに続いてのチャンピオンとなった津田悠義(EQADS)のコメント

一緒に逃げていた寺田さんと平坦区間で協調してかなりスピードを上げられたので差を開くことができました。寺田さんとはスプリントに持ち込みたくなかったので勝負は上りと思い、上りでアタックして独走に持ち込む考えでした。独走の自信となったのがTT(チャンピオン)を取れたことです。今日は自分でレースを組み立てることを意識し、距離が短いので1周目から行こうと考えていました。まだまだこれからだと思います。ジュニア、アンダー、エリートになっても続けて成績を出したいです。

MU17+MU15 表彰MU17+MU15 表彰 photo:Hideaki TAKAGIWJ+WU17 表彰WJ+WU17 表彰 photo:Hideaki TAKAGI
MJ 表彰MJ 表彰 photo:Hideaki TAKAGI男子ジュニア、U17、U15の勝者男子ジュニア、U17、U15の勝者 photo:Hideaki TAKAGI

全日本選手権ロードレース2017ジュニア結果
男子ジュニア 85.2km
1位 日野泰静(松山城南高校) 1時間56分26秒
2位 日野凌羽(松山城南高校)
3位 松田祥位(岐阜第一高校)
4位 佐藤健(九州学院高校)
5位 松崎広太(取手第一高校) +01秒
6位 西原裕太郎(榛生昇陽高校) +21秒
7位 細田悠太(南大隅高校)
8位 岩瀬照(吉田高校) +22秒
9位 松本大志(高松工芸高校) +23秒
10位 池田渓人(千原台高校) +24秒
女子ジュニア+女子U17,42.6km
1位 中川由理(川越工業高校) 1時間24分41秒
2位 長石悠里(倉吉西高校) +06秒
3位 岩元杏奈(都城工業高校) +1分58秒(U17 1位)
4位 太郎田水桜(東京成徳大学高校)
5位 平尾愛菜(岐阜第一高校)
6位 八木沼侑香(GROWING Racing Team) +2分03秒
男子U17+U15,28.4km
1位 津田悠義(EQADS) 44分08秒
2位 寺田吉騎(磐田北高校) +18秒
3位 渡邊諒馬(松山城南高校)
4位 篠原輝利(ボンシャンス)  (U15 1位)
5位 阿部賢明(チームフィンズ)
6位 天野壮悠(千里高校) +19秒
photo&text:高木秀彰

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