スペシャライズドがピュアCXレーサー「CruX」とグラベルロードバイク「DIVERGE」のフルモデルチェンジを発表。両モデル共にそれぞれの目的に特化させ、かつスペシャライズドの最新フィーチャーを落とし込んだ意欲作となっている。



CruX(クラックス):ピュアシクロクロスレーサー

スペシャライズド CruX Elite X1スペシャライズド CruX Elite X1 photo:So.Isobe
4月のシーオッタークラシックで使用され注目を集めていた新型CruX(クラックス)がいよいよ発表された。スペシャライズドによれば、そのキーワードは「ピュアシクロクロスレーサー」。昨今増えているツーリングやグラベルライドにも使える汎用CXバイクを否定し、軽さや機敏な運動性能など、加減速の多さや担ぎも含まれるシクロクロスレース用に特化させた一台だ。

フレームはオールラウンドロードレーサーであるTarmac(ターマック)の設計思想を受け継いでおり、ルックスもそれに似通ったもの。カーボン積層やジオメトリーの調整によって各フレームサイズ毎に最適な性能を突き詰める「ライダーファーストエンジニアリング」をCruXとして初めて搭載し、重量は56サイズで900gと先代比較で400gもの軽量化に成功しているという。

リアバックからはシートステーブリッジが消えた。各所のクリアランスにも注目リアバックからはシートステーブリッジが消えた。各所のクリアランスにも注目 シートポストは丸型。しなり量を大きくするためにクランプ位置を20mm下げているシートポストは丸型。しなり量を大きくするためにクランプ位置を20mm下げている 大きなタイヤクリアランスを有したストレート形状のフォーク大きなタイヤクリアランスを有したストレート形状のフォーク


衝撃吸収性能の向上という面においては、シートクランプが内蔵式となった部分が大きい。従来よりもクランプ位置を20mm下げることでシートポストのしなりをより積極的に生かす方式で、従来採用されてきたCG-R(コブルゴブラー)シートポストは軽量化のために姿を消している。また、軽さを重視するべくフューチャーショック搭載は見送られた。

ジオメトリーも若干変化した。クイックなハンドリングを実現するフロントフォークや低いBB位置を持つ「クロスジオメトリー」が投入され、かつ泥詰まりが起こりにくいよう、UCI規定の33mm幅タイヤを装着した際に両側8mmのクリアランスを持つように設計されている。従来モデルにあったシートステーブリッジが廃されていることも泥詰まり対策と軽量化に対して意味を持つ上、S-WORKSグレードでは泥が付着しにくいペイントが施されているという。

Tarmacに似通ったフレーム形状を持つTarmacに似通ったフレーム形状を持つ 当然12mmスルーアクスル+フラットマウントを採用当然12mmスルーアクスル+フラットマウントを採用

チェーンによる傷つきを防ぐ、ゴムを用いた柔らかいチェーンステーガードが備えられているチェーンによる傷つきを防ぐ、ゴムを用いた柔らかいチェーンステーガードが備えられている 力強いボトムブラケット周り。BBハイトを下げることで安定感を強めている力強いボトムブラケット周り。BBハイトを下げることで安定感を強めている


もちろん前後12mmスルーアクスルや142mm幅リアエンド、フラットマウントのディスクブレーキなど、最新スペックを投入済み。国内展開モデルはタイダイ柄を各所に散りばめたS-WORKSグレード2種(R9120系デュラエース完成車とフレームセット)と、Eliteグレード1種(撮影を行ったRIVAL完成車)の3種類。Elite X1は388,800円(税抜)と比較的リーズナブルなプライスも魅力的だ。

スペシャライズド S-WORKS CruXフレームセットスペシャライズド S-WORKS CruXフレームセット (c)スペシャライズド・ジャパンスペシャライズド S-WORKS CruX完成車スペシャライズド S-WORKS CruX完成車 (c)スペシャライズド・ジャパン


スペシャライズド CruX
サイズ:46、49、52、54、56、58
販売パッケージ、価格
S-WORKS シマノR9120系デュラエース完成車:800,000円(税抜)
S-WORKS フレームセット:360,000円(税抜)
Elite X1(スラム RIVAL完成車)360,000円(税抜)



DIVERGE:フューチャーショックを投入したグラベルロードの意欲作

CruXが競技志向ならば、第2世代となるDIVERGE(ディバージュ)はグラベルライドを中心とした遊び/冒険色がより濃くなった。どこまでも続くグラベルをより速く快適に、かつMTBの守備範疇であるシングルトラックにも切り込んでいけるよう趣向を凝らした意欲作だ。

DIVERGEでグラベルを攻めるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)DIVERGEでグラベルを攻めるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)スペシャライズド・ジャパン
スペシャライズド DIVERGE EXPERT X1スペシャライズド DIVERGE EXPERT X1 (c)スペシャライズド・ジャパンスペシャライズド DIVERGE E5 COMPスペシャライズド DIVERGE E5 COMP (c)スペシャライズド・ジャパン


「ドロップハンドルの限界を広げるバイク」と銘打った新型DIVERGE。フォークアングルの調整や従来モデルよりもBBハイトを10mm下げたこと、より長いチェーンステーなどの工夫によって安定感を高めているほか、Roubaixで話題を呼んだ20mmトラベルのフューチャーショックを投入したことも大きな特徴だ。S-WORKSグレードには35mmストロークのドロッパーシートポストが搭載されている点もユニーク。ホイール&タイヤは700×38mmが標準でアセンブルされるものの、700×42mmまで対応するほか、より荒れた路面に対応するべく650bx47mmもセットできる。

グラベルエンデュランスレースを見据え、ストレージ容量もボトルケージ3箇所+工具やチューブを含むSWATシステムを搭載するなど拡大されている。画像は最上級モデルのS-WORKSグレードだが、国内展開モデルはフロントシングルコンポーネントを搭載したEXPERTグレード完成車と、アルミフレームの完成車という2種類だ。


スペシャライズド DIVERGE
サイズ:48、52、54、56
販売パッケージ、価格
EXPERT X1完成車:390,000円(税抜)
E5 COMP完成車:180,000円(税抜)
E5完成車:110,000円(税抜)