ベルンの石畳区間を含む登りを耐えしのいだスプリンターたちによるバトル。抜群のリードアウトを受けたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がサガンとデゲンコルブを下すとともにリーダージャージまで手に入れた。


スイス北部に広がる緑の丘を越えていくスイス北部に広がる緑の丘を越えていく photo:TDWsport
ツール・ド・スイス2017第3ステージツール・ド・スイス2017第3ステージ image:Tour de Suisseスイス国内4番目の街で、ドイツ語圏のベルンにツール・ド・スイス第3ステージはフィニッシュ。159.3kmコースには3つの3級山岳が設定されている他、残り1.5kmを切ってから石畳区間を含む高低差60mの登りが登場する。フィニッシュのレイアウトはペテル・サガン(スロバキア、当時ティンコフ)が勝利した2016年のツール・ド・フランス第16ステージと似通ったものだ。

この日の逃げは、青い山岳賞ジャージを着るラーセ・ノーマンハンセン(デンマーク、アクアブルースポート)とエルマー・レインダース(オランダ、ルームポット)の2人。リーダージャージ擁するBMCレーシングとその他のスプリンターチームがメイン集団を率い、最大9分まで広がったタイム差を詰める展開となる。トレック・セガフレード(デゲンコルブ)、ボーラ・ハンスグローエ(サガン)、サンウェブ(マシューズ)の3チームがBMCレーシングに力を添えた。

先頭2名のリードは残り25km地点で3分を割り込み、この日最後のスプリントポイント通過後にレインダースがギブアップしたため先頭はノーマンハンセン単独に。シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)は2つのスプリントポイントをいずれも3番手通過してボーナスタイムを合計2秒獲得。総合2位マシューズとのタイム差を3秒まで拡大することに成功した。

逃げるラーセ・ノーマンハンセン(デンマーク、アクアブルースポート)とエルマー・レインダース(オランダ、ルームポット)逃げるラーセ・ノーマンハンセン(デンマーク、アクアブルースポート)とエルマー・レインダース(オランダ、ルームポット) photo:TDWsport
メイン集団をコントロールするBMCレーシングメイン集団をコントロールするBMCレーシング photo:TDWsport
BMCレーシングを先頭にベルン旧市街の大通りを通過BMCレーシングを先頭にベルン旧市街の大通りを通過 photo:TDWsport
最後の3級山岳を先頭通過し、山岳賞リードを広げるミッションをコンプリートしたノーマンハンセンは残り13km地点で吸収。そこからトレック・セガフレードとボーラ・ハンスグローエ、そしてBMCレーシングをがメイン集団の主導権を握り、ベルン旧市街の大通りを高速で駆け抜ける。そして、残り1.5km地点から高低差60mの登りが始まると、クーン・デコルト(オランダ、トレック・セガフレード)がジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)のために先頭に立った。

残り1kmアーチ通過後にデコルトがリードアウトを終えたためメイン集団は一旦緩み、その隙を突いてドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)やヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)が加速したがスプリンターたちは遅れない。サガンがライバルたちの様子を伺いながらポジションを選択する中、残り500mから平坦区間が始まるとサンウェブが先頭に立った。

ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)にリードアウトされる形でマシューズが好位置をキープし、その後ろにサガンやデゲンコルブが位置。残り150mでマシューズが腰を上げたのと同時に、サガンとデゲンコルブが一斉にスプリントを開始する。マシューズはサガンとデゲンコルブに横に並ばせることなく、先頭のポジションを守ったままフィニッシュした。

残り1.5kmからの登りでペースを作るクーン・デコルト(オランダ、トレック・セガフレード)残り1.5kmからの登りでペースを作るクーン・デコルト(オランダ、トレック・セガフレード) photo:TDWsport
サガンとデゲンコルブを下したマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)サガンとデゲンコルブを下したマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:TDWsport
「今日は登りの感触が良くなかったけど、最後の登りは問題なかった。フィニッシュまでずっとニキアス(アルント)らが常に周りにいてくれたことがモチベーションになったよ。最終ストレートでニキアスが強力なリードアウトを見せてくれると確信していたし、実際にそのおかげで勝利を手にすることができた」。他チームのスプリンターたちが単独勝負になった一方で、最後までリードアウトマンにアシストされたマシューズはチームに感謝した。

2つのスプリントポイントでボーナスタイムのための動きを見せたキュングだったが、残り9km地点で発生した落車の影響で出遅れ、一度は集団に復帰したものの登りで番手を下げて19秒遅れフィニッシュ。総合12位まで順位を下げたキュングに代わって、ステージ優勝者マシューズが総合首位に立った。チームメイトのトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)が10秒差の総合2位に続いている。

今大会まだ勝利のないサガンは「今日は気温も高く、混沌としたフィナーレだった。チームは作戦通りの動きでサポートしてくれ、自分の調子も良かったものの、最後のスプリントで伸びが足りなかった。結果は僅差のステージ2位。明日からのステージでも勝利を狙い続けたい」とコメントしている。

イエロージャージを手にしたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)イエロージャージを手にしたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:TDWsport
H3
ツール・ド・スイス2017第3ステージ
ステージ成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) 3:49:48
2位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)
4位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)
5位 ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)
6位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、キャノンデール・ドラパック)
7位 アルテュール・ヴィショ(フランス、エフデジ)
8位 マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)
9位 ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール)
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) 8:18:47
2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 0:00:10
3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 0:00:11
4位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) 0:00:19
5位 ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット) 0:00:20
6位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、キャノンデール・ドラパック) 0:00:22
7位 マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) 0:00:23
8位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード) 0:00:24
9位 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 0:00:25
10位 マルク・ソレル(スペイン、モビスター)
ポイント賞
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) 14pts
2位 ニコラス・ドゥーガル(南アフリカ、ディメンションデータ) 12pts
3位 エルマー・レインダース(オランダ、ルームポット) 12pts
山岳賞
1位 ラーセ・ノーマンハンセン(デンマーク、アクアブルースポート) 33pts
2位 ニック・ファンデルライク(オランダ、ルームポット) 20pts
3位 アントワーヌ・デュシェーヌ(カナダ、ディレクトエネルジー) 9pts
チーム総合成績
1位 サンウェブ 24:57:04
2位 BMCレーシング 0:00:01
3位 ボーラ・ハンスグローエ 0:00:08