ウィメンズワールドツアーとして初開催されたリエージュ〜バストーニュ〜リエージュフェミニンで、アンナ・ファンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・サイクリングチーム)が怒涛のアルデンヌクラシック3連勝を達成。與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)は2分50秒遅れの34位にまとめた。



4月23日、アルデンヌ地方がアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)のアルデンヌクラシック2連勝に湧く数時間前に、史上初めてとなる女子レースがスタート。

序盤から活発にアタック合戦が掛かる序盤から活発にアタック合戦が掛かる photo:CorVos積極的に展開したWM3エネルジーとエフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ積極的に展開したWM3エネルジーとエフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ photo:CorVos


バストーニュからアンスまで至るコース距離は男子レースよりも短いものの、フィニッシュ36km手前の「コート・ド・ラ・ルドゥット(平均8.9%)」、「ラ・ロッシュ・オ・フォーコン(平均9.3%)」と「コート・ド・サンニコラ(平均8.6%)」、そしてフィニッシュ地点へと至る「アンスの登り」など、長い登坂の連続は男子レースと全く同様であり、女子レースの中でも際立って難易度は高い。

注目は、ここまでアムステル・ゴールドレースとフレーシュ・ワロンヌで2連勝をしたリオ五輪金メダリストのアンナ・ファンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・サイクリングチーム)がアルデンヌ3連勝を射止めるか否か。與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)、萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)、吉川美穂(ビスカイヤ・ドゥランゴ)の日本人選手3名も引き続き出場を果たした。

この日積極的に展開したのは、WM3エネルジーとエフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ。それぞれ1名ずつ、計2名によるエスケープを打ったものの中盤で捕まり、続いたティファニー・クロムウェル(オーストラリア、キャニオン・スラム)の単独逃げもラ・ルドゥットでキャッチ。ここから本格的なペースアップが始まった。

オリカAISのコントロールで登坂をクリアする集団オリカAISのコントロールで登坂をクリアする集団 photo:CorVos
レース中盤からコントロールを担ったブールス・ドルマンス・サイクリングチームレース中盤からコントロールを担ったブールス・ドルマンス・サイクリングチーム photo:CorVos精鋭グループを率いるカタルジーナ・ニウイアドマ(ポーランド、WM3エネルジー)精鋭グループを率いるカタルジーナ・ニウイアドマ(ポーランド、WM3エネルジー) photo:CorVos


ブールス・ドルマンス・サイクリングチームのペースアップからロクサン・クネートマン(オランダ、エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)がエスケープを試みたものの引き戻され、ラ・ロッシュ・オ・フォーコンでは、ここまで2戦連続3位のカタルジーナ・ニウイアドマ(ポーランド、WM3エネルジー)が加速した。

優勝候補の猛烈なアタックで生き残ったのは、ファンデルブレゲンと、チームメイトでアルデンヌ連続2位のエリザベス・ダイグナン(イギリス)、アシュレー・ムールマン(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ・プロサイクリング)、そしてエリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ)。

ニウイアドマの断続的なペースアップで前戦を体調不良で見送ったロンゴボルギーニが遅れ、勝負は4名に。互いに見合う展開からファンデルブレゲンが加速すると、ニウイアドマとムールマンには為す術がなかった。

独走でフィニッシュに辿り着いたアンナ・ファンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・サイクリングチーム)独走でフィニッシュに辿り着いたアンナ・ファンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・サイクリングチーム) photo:CorVos
2位にはエリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・サイクリングチーム)2位にはエリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・サイクリングチーム) photo:CorVos記者に囲まれるアンナ・ファンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・サイクリングチーム)記者に囲まれるアンナ・ファンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・サイクリングチーム) photo:CorVos


アンスの直登をパワフルに登りきったファンデルブレゲンは、大きな余裕を持ってフィニッシュに到達。第1回リエージュ〜バストーニュ〜リエージュを制すると共に、怒涛のアルデンヌクラシックハットトリックを収めてみせた。

「まさか3勝できるとは思っていなかった。コース終盤は登りか下りだけ。私好みのレイアウトだった」と語るヨーロッパチャンピオン。2位にはニウイアドマをマークして先着したダイグナン、3位にはニウイアドマが入り、アルデンヌ3連戦の表彰台は全て同じメンバーが固めることに。

リエージュフェミニン表彰台 アルデンヌ3連戦の表彰台は全て同じメンバーが固めたリエージュフェミニン表彰台 アルデンヌ3連戦の表彰台は全て同じメンバーが固めた photo:CorVos
「もう一つ前の集団で走れれば良かったけれど、展開の読みも含めて今までのレースでは一番よく走れた」と語る與那嶺は2分50秒遅れの34位でフィニッシュ。吉川と萩原はDNF。2選手のコメントは届き次第追記します。



リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ フェミニン2017
1位 アンナ・ファンデルブレゲン(オランダ、ブールス・ドルマンス・サイクリングチーム)3h42’17”
2位 エリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・サイクリングチーム) +17”
3位 カタルジーナ・ニウイアドマ(ポーランド、WM3エネルジー) +19”
4位 エレン・ファンダイク(オランダ、チームサンウェブ)+31”
5位 アンネミエク・ファンフレウテン(オランダ、オリカ・スコット)
6位 アシュレー・ムールマン(南アフリカ、サーヴェロ・ビグラ・プロサイクリング)
7位 シャーラ・ギロー(オーストラリア、エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)
8位 オルガ・ザブリンスカヤ(ロシア、ビーピンク)
9位 エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ)+34”
10位 ウトラップ・ルドウィグセシリー(デンマーク、サーヴェロ・ビグラ・プロサイクリング)+41”
34位 與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)+2’50”
DNF 吉川美穂(ビスカイヤ・ドゥランゴ)
DNF 萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)

text:So.Isobe
photo:CorVos