Jプロツアー第3戦となる「第51回JBCF東日本ロードクラシック群馬大会」が開催され、スプリント勝負となったP1クラスタは中島康晴(キナンサイクリングチーム)が優勝。女子は唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が終盤を単独で逃げ切って優勝した。



P1クラスタ 吉田隼人をおさえて中島康晴がスプリントで勝利

コース沿いには雪が残るところもコース沿いには雪が残るところも photo:Satoru.KatoP1スタートP1スタート photo:Satoru.Kato


3月に宇都宮で開幕したJプロツアー。約1ヶ月のインターバルを挟んでの開催となる第3戦と4戦は、群馬サイクルスポーツセンター(以下群馬CSC)での「東日本ロードクラシック」だ。

関東南部では桜はすでに散って葉桜となっているところもが多いものの、群馬県のみなかみ町周辺ではちょうど今が満開を迎えていた。しかし山中に位置する群馬CSCでは、まだつぼみのまま。所々に雪も残り、晴れていても風が冷たく感じるDay-1となった。

P1は陽が傾き始めた午後2時過ぎにスタート。6㎞サーキットを2周、計120㎞で争われた。

スタート直後、安原大貴(マトリックスパワータグ)、湊諒(シマノレーシング)、岸崇仁(那須ブラーゼン)の3人が飛び出し、一時20秒から30秒の差をつける。この逃げは3周目までに吸収されるが、その後も新城銀二(那須ブラーゼン)や、馬渡伸弥(宇都宮ブリッツェン)らが単独で飛び出すも、すぐに吸収される。

7周目、安原大貴(マトリックスパワータグ)と西村大輝(シマノレーシング)が抜け出す7周目、安原大貴(マトリックスパワータグ)と西村大輝(シマノレーシング)が抜け出す photo:Satoru.Kato宮澤崇史(LEMO Bellmare Racing team)を先頭に逃げを追う集団宮澤崇史(LEMO Bellmare Racing team)を先頭に逃げを追う集団 photo:Satoru.Kato

9周目、単独で逃げを追うジュリアン・アマドリ(インタープロ・サイクリングアカデミー)9周目、単独で逃げを追うジュリアン・アマドリ(インタープロ・サイクリングアカデミー) photo:Satoru.Kato10周目、3人になった逃げ集団 10周目、3人になった逃げ集団  photo:Satoru.Kato


7周目、安原と西村大輝(シマノレーシング)の2人が、20秒ほどの差をつけて先行。メイン集団の追走の意思がまとまりきらない中、8周目にジュリエン・アマドリ(インタープロ・サイクリングアカデミー)が単独で飛び出して追走。9周目に先行する2人と合流して、逃げ集団は3人になる。

さらにメイン集団からは、田窪賢次(マトリックスパワータグ)、中田拓也(インタープロサイクリングアカデミー)、阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム)、設楽彗斗(VC Fukuokaサイクルフリーダム)の4人が抜け出して追走集団を形成したことで、逃げ集団、追走集団、メイン集団という3つの集団が2分以内の差で進行していった。

レースが後半に入る11周目になると、宇都宮ブリッツェンと那須ブラーゼンが集団前方に集まってコントロールを開始。12周目に追走集団を吸収すると、キナンサイクリングチームもコントロールに加わる。逃げ集団との差は一時2分以上になるが、15周目になるとメイン集団がペースアップして差を詰め始める。そして16周目に入ると差は一気に縮まり、残り3周を前にして逃げは全て吸収される。

阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム)を先頭に行く追走集団阿曽圭佑(キナンサイクリングチーム)を先頭に行く追走集団 photo:Satoru.Kato阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)を先頭に、逃げる3人を追うメイン集団阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)を先頭に、逃げる3人を追うメイン集団 photo:Satoru.Kato

ラスト4km、アタックした野中竜馬(キナンサイクリングチーム)ラスト4km、アタックした野中竜馬(キナンサイクリングチーム) photo:Hideaki.Takagiラスト1km、土井雪広(マトリックスパワータグ)先頭でフィニッシュへ向かうラスト1km、土井雪広(マトリックスパワータグ)先頭でフィニッシュへ向かう photo:Hideaki.Takagi


その後はレース終盤に向けてのアタック合戦が始まるが、勝負を決定づけるアタックは決まらない。集団は人数を減らし、最終周回に残ったのは20名ほど。マトリックスパワータグが吉田隼人を勝たせるための列車を組んで残り1kmを過ぎ、勝負はスプリントに持ち込まれた。

マトリックス列車から発車した吉田が先頭で残り50m。ゴール手前の登り斜度が一段きつくなるあたりで、吉田の背後から出てきたのは中島康晴(キナンサイクリングチーム)。吉田を一気にまくると、両腕を突き上げてゴールした。

残り50m、吉田隼人(マトリックスパワータグ)の背後から出る中島康晴(キナンサイクリングチーム)残り50m、吉田隼人(マトリックスパワータグ)の背後から出る中島康晴(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Katoガッツポーズを繰り返す中島康晴(キナンサイクリングチーム)ガッツポーズを繰り返す中島康晴(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato

P1クラスタ 表彰式 P1クラスタ 表彰式  photo:Satoru.Kato
「まさか自分が勝てるとは思っていなかった。」と言う中島。「スプリントになったら雨乞(竜己)で勝負する予定でした。でも登りできつそうだったので、自分がもがきました。レース終盤にチームが動きまくって他チームを消耗させた事もあって、最後はみんな脚が残っていないようでした。だから自分でも勝てたと思います。チームのおかげです。」と、勝因を語る。「明日はまた別の作戦を試せるでしょうから、今度は自分がチームに貢献したい。キナンはどんな形でも勝てるところを見せたいですね。」と、2日連続優勝への意慾を見せた。

P1結果
1位 中島康晴(KINAN Cycling Team) 3時間1分14秒
2位 中里仁(群馬グリフィン)         +0秒
3位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
4位 水谷翔(シマノレーシング)
5位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
6位 原田裕成(愛三工業レーシングチーム)
7位 大前翔(東京ヴェントス)
8位 吉岡直哉(那須ブラーゼン)
9位 渡邊翔太郎(愛三工業レーシングチーム)
10位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)

ルビーレッドジャージ 吉田隼人(マトリックスパワータグ)
ピュアホワイトジャージ 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)



Fクラスタ(女子) 唐見実世子が残り2周を逃げ切って優勝

女子のFクラスタは5周30㎞。1周目から、シスターローズジャージを着る唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)、福田咲枝(フィッツ)、樫木祥子(AVENTURA AIKO VICTORIA RACING)、福本千佳(Live GARDEN BICI STELLE)の4人が抜け出す。2周目に福本、3周目に樫木が遅れると、4周目に入ったところで唐見は福田を振り切りにかかる。2人の差は一気に30秒ほどまで開き、福田も粘ったものの、唐見が逃げ切り勝ちして見せた。

女子 1周目、4人が先頭集団を形成女子 1周目、4人が先頭集団を形成 photo:Satoru.KatoF 4周目入って唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が福田咲絵(フィッツ)を振り切るF 4周目入って唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が福田咲絵(フィッツ)を振り切る photo:Hideaki.Takagi

F 最終周回、独走する唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)F 最終周回、独走する唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Hideaki.Takagi
女子 残り2周を逃げ切った唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝女子 残り2周を逃げ切った唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が優勝 photo:Satoru.Kato女子 表彰式女子 表彰式 photo:Satoru.Kato


圧勝してみせた唐見だが、「若手がどんどん来るので、ちゃんと考えて走らないといけないと感じてました。今日は運よく1人ずつ遅れてくれたけれど、2人いっぺんに遅れたら協力して追いかけられたかもしれない。一歩間違えれば勝てなかったかもしれませんね。みんなの息遣いと、コースのどこならアタックが決めやすいかを考えながら走っていました。」と、慎重にレース運びをしたと話す。「明日はまた違う展開になるだろうから、まずは今日の疲労を抜いて(明日に)備えます。」と、コメントを締めくくった。

F(女子)結果
1位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) 51分32秒
2位 福田咲枝(フィッツ) +37秒
3位 樫木祥子(AVENTURA AIKO VICTORIA RACING) +1分46秒
4位 大堀博美(YOKOSUKA UNO RACING) +3分26秒
5位 棟近陽子(EURO-WORKS Racing) +3分29秒
6位 福本千佳(Live GARDEN BICI STELLE) 

その他結果

E1 嶌田義明(TEAM YOU CAN)が優勝E1 嶌田義明(TEAM YOU CAN)が優勝 photo:Satoru.Kato
E1 表彰式E1 表彰式 photo:Satoru.KatoE1 ネクストイエロージャージは福田圭晃(横浜高校自転車競技部)E1 ネクストイエロージャージは福田圭晃(横浜高校自転車競技部) photo:Satoru.Kato

E2 高橋利尚(チームウォークライド)が優勝E2 高橋利尚(チームウォークライド)が優勝 photo:Satoru.KatoE2 表彰式E2 表彰式 photo:Satoru.Kato

E3・1組 阿部賢明(チームフィンズ)が優勝E3・1組 阿部賢明(チームフィンズ)が優勝 photo:Satoru.KatoE3・2組 天春雄也(MAX SPEED 97)が優勝E3・2組 天春雄也(MAX SPEED 97)が優勝 photo:Satoru.Kato


E1(42㎞)
1位 嶌田義明(TEAM YOU CAN) 1時間3分41秒
2位 寺崎武郎(バルバレーシングクラブ)
3位 半澤雄高(Link TOHOKU)
4位 池田和貴(チームフィンズ)
5位 小野寺慶(ブラウブリッツェン) +1秒
6位 中川直樹(SPADE・ACE)

E2(30㎞)
1位 高橋利尚(チームウォークライド) 46分46秒
2位 清水大樹(横浜高校自転車競技部) +7秒
3位 當原隼人(日本体育大学)
4位 雨澤弘機(ブラウブリッツェン)
5位 平賀康一(Team CUORE)
6位 山科竜一郎(VC AVANZARE)

E3 1組(24㎞)
1位 阿部賢明(チームフィンズ) 38分13秒
2位 永富一騎(VENTOS FRECCIA) +0秒
3位 竹内 成(ボンシャンス)
4位 赤荻秀弥(弱虫ペダルサイクリングチーム)
5位 白崎 剛(バルバレーシングクラブ)
6位 中川真也(ケッヘルブイシースプートニク)

E3 2組(24㎞)
1位 天春雄也(MAX SPEED 97) 37分26秒
2位 高橋滉太郎(Blanche Racing Team) +11秒
3位 橋本優樹(横浜高校自転車競技部)
4位 鳥倉必勝(チーム・ウォークライド)
5位 海野晋作(VENTOS FRECCIA)
6位 羽上田明彦(アーティーファクトレーシングチーム)

text:Satoru.Kato
photo:Satoru.Kato,Hideaki.Takagi