膝の故障によってジロ・デ・イタリア欠場を発表したファビオ・アル(アスタナ)に向けてライバルのヴィンチェンツォ・ニーバリ(バーレーン・メリダ)がエールを送った。ガゼッタ紙に掲載されたニーバリのメッセージをお届けします。



ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:TDWsport


チームは変われど仲良しぶりを見せるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)とファビオ・アル(イタリア、アスタナ)チームは変われど仲良しぶりを見せるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)とファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji / TDWsportスペインでの高地トレーニング中に落車し、膝蓋骨滑液包炎を負ったアル。ジロ開幕が3週間後に迫った重要な準備期間に、アルは10日間の完全な休養を余儀なくされた。所属するアスタナはアルのジロ欠場と、2011年総合優勝者(繰り上げ)である37歳ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)をエースに据えることを発表している。

地元サルデーニャ島で開幕するジロ100回記念大会を欠場することになったアルに対し、元チームメイトで、マリアローザ争いのライバルであるニーバリがオープンレターを公開した。ガゼッタ紙に掲載されたメッセージは以下の通り。



「ファビオへ。希望を失うにはまだ早い。例え困難であっても、不可能と思える状況でも、5月5日にジロ・デ・イタリアのスタートに立つ可能性が少しでもあるはずだ。君と僕はイタリアの期待を背負うグランツールレーサーであり、誰もが君の欠場を嘆くことになる」

「医師の診断通り、今後10日間の休養で状況が改善することを心から願っている。起こってしまったこと(落車)は非常に残念だ。地元で開幕する特別なジロ・デ・イタリア。目標に向かってトレーニングに打ち込んできた何ヶ月もの努力が無駄になる苦しさを僕は知っている。特に同じく島出身(シチリア島)の僕にはその苦しさが痛いほど分かる。地元の島で開幕するジロなんて何度もあるわけじゃない。順調に調整できていれば、間違いなくマリアローザの有力候補になっていたのに」

「僕は医者じゃないけど、プロ選手が一般的な予想よりも早く回復することだってある。この数日間で状況が好転していることを願う。ファビオ、全てが失われたような気持ちになっていると思うけど、諦めないでほしい。奇跡は起こるし、ジロ100会大会のスタートラインに立つ君の姿を見たい。だから考え直してほしい」

「落車で負傷したことはみんな知っている。誰も100%の状態で挑めとは言わない。出場して、もしレース続行が不可能であるならリタイアすればいい。それに、ジロはツール・ド・フランスに向けての準備レースになるだけでなく、将来に向けての重要なレースにもなるはずだから」



アスタナのアレクサンドル・ヴィノクロフGMアスタナのアレクサンドル・ヴィノクロフGM photo:Kei Tsuji元チームメイトの熱いメッセージに対し、アスタナのアレクサンドル・ヴィノクロフGMはアルの復帰時期について慎重な姿勢を崩さない。

ヴィノクロフGMは「現在ファビオは治療に100%専念すべきであり、復帰の時期は回復具合による。そして復帰戦の結果を見て今後のスケジュールを決めることになる。ツール・ド・フランスでは当初の予定通りヤコブ・フルサングがエースを担う」とコメントしている。

text:Kei Tsuji

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