NIPPOヴィーニファンティーニの日本人2選手も出場した第72回ノケレ・コールス(UCI1.HC)でナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)が勝利。3日後に迫ったミラノ〜サンレモに向けて勢いづいた。



UCIワールドチームを先頭にデインセの街をスタートしていくUCIワールドチームを先頭にデインセの街をスタートしていく photo: TDWsport / KT


ノケレベルグをこなすナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)ノケレベルグをこなすナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) photo: TDWsport / KT1944年に初開催されたノケレ・コールスはベルギーのウェスト=フランデレン州を舞台にしたクラシック。2016年からUCIカテゴリーがHC(超級)にランクアップしている。

石畳の上りスプリントで勝利したナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)石畳の上りスプリントで勝利したナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) photo: TDWsport / KT後半にかけてノケレを中心にした13.2km周回コースを7周。石畳が敷かれた「ノケレベルグ(平均5.7%/長さ350m)」を計8回こなし、その頂上にフィニッシュラインが引かれている。上りを含みながらもスプリンターにチャンスがあるクラシックレースとして知られている。

ノケレ・コールス初優勝を飾ったナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)ノケレ・コールス初優勝を飾ったナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) photo: TDWsport / KTNIPPOヴィーニファンティーニの小石祐馬と小林海も出場した今大会は、UCIプロコンチネンタル&UCIコンチネンタルチーム所属の7名が約60km地点から逃げ、UCIワールドチームがメイン集団を率いて追う展開に。小石と小林も集団牽引に加わった。

逃げグループが残り2周(残り23km地点)で吸収されるとそこからカウンターアタックが続発したが、U23世界チャンピオンのクリストファー・ハルヴォルセン(ノルウェー)擁するノルウェーのチームジョーカーが集団をまとめる。

ポジション争いが激しさを増す集団内で1km毎に落車が発生するような緊迫ムードの中、スプリントに持ち込みたくないBMCレーシングは突破口を開こうとアタックを連発。フローリス・ヘルツ(ベルギー)やシルヴァン・ディリエ(スイス)がそれぞれ単独先頭で踏み続けたが、WBベランクラシック・アクアプロテクトやシベル・セボンの牽引によって吸収された。

下りをスピードを上げ、70km/h前後のハイスピードで「ノケレベルグ」に突入した大集団。残り400mから上り勾配が始まるとブアニが早めにスプリントを開始した。

「今日は後手に回って前を塞がれたくなかったので、最後の石畳の坂が始まると同時にスプリントしようと思っていた」というブアニが上りを先頭で駆け上がり、最終コーナーを曲がってフィニッシュラインまで踏み抜く。イギリスチャンピオンのアダム・ブライス(イギリス、アクアブルースポート)らが迫ったものの、時間をかけて何度もガッツポーズするほどブアニのリードは大きかった。

パリ〜ニースでは勝負に絡むことなく第2ステージでリタイアしたブアニ。「今シーズンは2位や3位ばかりが続いたので、ようやくシーズン初勝利に手が届いたことを嬉しく思う。今日は残り300mからスプリント開始した。最終コーナーを曲がった時点で後続と距離が開いていたので、その時点で今日はもらったと思った」と26歳のファイターは語る。ブアニはジュニア時代からボクシングをたしなみ、現在でもオフシーズンのトレーニングにボクシングを取り入れている。3年前にレキップ紙が行ったインタビューによると、ブアニは32歳でプロロード選手のキャリアにピリオドを打ち、プロボクサーを目指す予定だという。

「ミラノ〜サンレモに向けて準備は整った」と、3日後に迫った大一番に向けてブアニは意気込む。なお、ミラノ〜サンレモでブアニは2015年に6位、2016年に4位と、年々順位を上げている。

集団牽引に尽くした小石と小林はともにDNF。小石は「引いてる時もいい感触で走れたので良かったです!」とコメントしている。両者は2日後に同じくベルギーで開催されるハンザーメクラシックにも出場予定(中根英登も出場)だ。



ノケレ・コールス2017結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)          4h07'31"
2位 アダム・ブライス(イギリス、アクアブルースポート)
3位 ジョエリ・スタラールト(ベルギー、シベル・セボン)
4位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
5位 ベアト・ヴァンレルベルフ(ベルギー、スポートフラーンデレン)
6位 コエン・フェルメルトフォルト(オランダ、ルームポット)
7位 リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
8位 アンドレ・ローイ(オランダ、ルームポット)
9位 アラン・バナシェク(ポーランド、CCCスプランディ)
10位 マティアス・デウィット(ベルギー、シベル・セボン)
DNF 小石祐馬(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
DNF 小林海(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)

text:Kei Tsuji
photo:TDWsport