11月22日(日)、国内唯一のUCIレースである関西シクロクロス第3戦が、滋賀県野洲市のビワコマイアミランドで開催された。C1は日本チャンピオンジャージを着る辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)が圧勝。女子は森田正美(チームブリヂストン・アンカー)が優勝を飾った。

琵琶湖マイアミ名物のビーチセクション琵琶湖マイアミ名物のビーチセクション photo:Kei Tsuji琵琶湖の東岸、滋賀県野洲市のマイアミランドで開催される関西シクロクロス第3戦は、国内で唯一のUCI(国際自転車競技連合)登録レース。世界選手権代表セレクションレースの一戦でもあり、全国各地からシクロクロスの強豪が集まった。

コースは琵琶湖に面したビーチとテクニカルな松林セクションを組み合わせたもの。フラットなレイアウトで、細かい砂に覆われた全長200mほどのビーチが名物となっている。この長い「砂地獄」を乗車でクリア出来るかどうかがラップタイムに大きく影響した。

C1 最前列でスタートダッシュする竹之内、小坂、辻浦、丸山C1 最前列でスタートダッシュする竹之内、小坂、辻浦、丸山 photo:Kei Tsuji各選手、砂対策として34mmほどの太めのタイヤを使用し、空気圧は概ね2気圧以下。特にチューブラータイヤを使用した選手の多くは、空気圧を1.5気圧ほどまで落としていた。

C1には55名がエントリー。ロード選手としては畑中勇介(シマノレーシング)や藤岡徹也(NIPPOコルナゴ)、小森亮平(Trek-Live STRONG U-23 Team)らが出場した。

スタート直後から飛び出したのは、赤と白の日本チャンピオンジャージを着る辻浦圭一だ。ビーチセクションをバイク乗車で乗り切った辻浦は、2番手の丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)を20秒近く引き離して1周回を完了した。

丸山の後方には、小坂正則(スワコレーシングチーム)、竹之内悠(TREK)、小坂光(宇都宮ブリッツェン)らが続く展開。先頭の辻浦は後続の追随を許さないハイペースで周回を重ねた。

C1 シケインをクリアする辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)C1 シケインをクリアする辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) photo:Kei TsujiC1 竹之内悠(TREK)の背後に小坂が迫るC1 竹之内悠(TREK)の背後に小坂が迫る photo:Kei TsujiC1 丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)C1 丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS) photo:Kei Tsuji

序盤は竹之内が2番手を走行していたが、3周目には46歳のベテラン小坂が竹之内をキャッチ。抜いては抜き返す攻防を繰り広げた結果、小坂が先行した。表彰台圏内の選手の中で唯一関西出身者である竹之内は、7周目に丸山に抜かれて4位に後退してしまう。

C1 力強い走りを見せる小坂正則(スワコレーシングチーム)C1 力強い走りを見せる小坂正則(スワコレーシングチーム) photo:Kei Tsuji長野から参戦した3名(辻浦、小坂、丸山)が安定したペースを刻み、そのままの順位でゴール。辻浦は常に7分を切るラップタイムを刻み、最終的に後続を1分35秒引き離して優勝した。

2週間前のアジア選MTBでは、先頭グループで(山本)幸平がアタックしたところで足が攣ってしまい残念だった。ダメージを残さないように走ろうと思ったけれど、先週の霧ケ峰で同じところが攣りかけたので心配していた」。辻浦は今シーズンの関西シクロクロス初勝利だ。

C1 両手を挙げてゴールに向かう辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)C1 両手を挙げてゴールに向かう辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー) photo:Kei Tsujiそして、注目が集まっているのは、12月13日に石川県金沢市キゴ山で開催されるシクロクロス全日本選手権。「全日本はいつもどおり走りたい。選手と戦い、コースと戦い、そして自分とも戦う1時間の集中したレース。本当に何があるかわからないので、最後まで集中して走れるくらいにトレーニングして自信を付けていきたい。辻浦は現在全日本7連覇中だ。

また、2010年1月31日にチェコのターボルで開催されるシクロクロス世界選手権に関しては、「世界戦は25番くらいを目標にしたい。毎年気負いすぎて体調不良だったりなので、いつもどおりのモチベーションで挑みたい」と語った。

CL1(女子)はスタート直後から日本チャンピオンの豊岡英子(パナソニックレディース)と森田正美(チームブリヂストン・アンカー)の二強が飛び出す展開。森田に食らいついた豊岡だったが、レース中盤に差し掛かるとその差はジワリと広がり始める。

CL1 豊岡英子(パナソニックレディース)や森田正美(チームブリヂストン・アンカー)を先頭にスタートCL1 豊岡英子(パナソニックレディース)や森田正美(チームブリヂストン・アンカー)を先頭にスタート photo:Kei Tsuji最終的に森田は豊岡を28秒引き離してゴールを駆け抜けた。「勝ててよかったです。昨日試走して砂の感触は掴んでおきました。マウンテンをやっていたので砂地は好き。シクロクロス参戦は成績以外にもロードに生きる乗り方を習得したい意味もあり、それで結果が出せることは嬉しいです」と喜びを語る。

関西シクロクロスは開幕戦に次ぐ2勝目。11月15日に長野県霧ヶ峰で開催された世界戦セレクションシリーズのシクロクロスミーティング第2戦でも優勝している。

CL1 先頭で競り合う森田正美(チームブリヂストン・アンカー)と豊岡英子(パナソニックレディース)CL1 先頭で競り合う森田正美(チームブリヂストン・アンカー)と豊岡英子(パナソニックレディース) photo:Kei Tsuji全日本選手権で4連覇中の豊岡を森田は2戦連続で下したことになるが、森田は「先週の霧ケ峰は先行した豊岡さんを2周目で逆転したけれど、豊岡さんが調子良ければ先行したままゴールまで行く可能性もありました。それを見ているので勝てたと言う気はあまりしないです」と慎重な態度を崩さない。

「全日本で一番のライバルと思っているのは豊岡さん。連覇している豊岡さんにとってもそれは大きなもので気合十分で来ると思います。自分は2連勝だけど、それは1戦1戦の結果であって、全日本も1戦として常に挑戦する気持ちでいます。全日本は出るからにはもちろん勝ちに行きます。そのときの最高の状態で臨めるようにしたいと思います。そして、もしできるならば世界戦へ行きたいです。ロードの雰囲気も感じられるし、世界の走りなどいろいろなものを吸収したい」。

今年ロードレースでJフェミニン年間リーダーに輝いた森田だが、2度(2003年と2004年)のシクロクロス全日本チャンピオンでもある。現在と当時の違いについては「雰囲気が変わってきています。年齢層が広くて増えているし楽しそう。人口が増えているのはいいことですね」と語ってくれた。

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関西シクロクロス2009第3戦琵琶湖マイアミ結果
C1(9周回)
1位 辻浦圭一(チームブリヂストン・アンカー)   1h01'07"
2位 小坂正則(スワコレーシングチーム)       +1'35"
3位 丸山厚(MASSA-FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)  +1'50"
4位 竹之内悠(TREK)                +2'01"
5位 小坂光(宇都宮ブリッツェン)          +4'10"
6位 山本聖吾(スワコレーシングチーム)     +4'48"
7位 合田正之(サイクルクラブ3UP・MURACA)     +5'22"
8位 中間森太郎(TEAM埼玉県人)           +5'34"
9位 池本真也(和光機器タムラクラブ)        +6'21"
10位 松井正史(シマノドリンキング)         +6'25"

CL1(5周回)
1位 森田正美(チームブリヂストン・アンカー)    41'41"
2位 豊岡英子(パナソニックレディース)        +28"
3位 志村みち子(ラヴニールあづみの)        +1'40"
4位 宮内佐季子(CLUB Viento)           +2'46"
5位 福本千佳(Ready Go Japan)          +5'29"

CM1(5周回)
1位 大河内二郎(シルクロード)           43'43"
2位 岩本雅秀(チーム泥んこプロレス)         +36"
3位 伊藤美智也(ベルハン泥んこプロレス)       +45"
4位 佐野光宏(ストラーダレーシング)         +58"
5位 元井和彦(シャカリキ自転車部)         +1'14"

C2(5周回)
1位 沢田時(ENDRESS/ProRide)         39'09"
2位 大西健一郎(岩井商会レーシング)       +1'40"
3位 谷口和徳(ストラーダレーシング)       +1'51"
4位 赤塚剛司(Mt・Hase321)           +2'04"
5位 後呂有哉(サイクルアシストオオバ)      +2'14"

C3A(3周回)
1位 浅野卓(京大桂)              21'37"
2位 千貫伸行(W.P.KYOTO)            +12"
3位 腰山和喜(シマノドリンキング)        +44"

C3B(3周回)
1位 廣田佐知夫(FUKADAまじりんぐ)      29'57"
2位 竹之内脩兵                  +05"
3位 松本祐典(アキジュニアファクトリー)     +34"

text:Kei Tsuji, Hideaki Takagi
photo:Kei Tsuji, Hideaki Takagi

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