春を感じさせない冬の雨と、平野を吹き抜ける強い風。2日連続で集団が割れたサバイバルレースでスプリント勝負に残ったのは70名。ロングスプリントに持ち込んだソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が勝利した。


スタート直後に集団が割れ、エシュロンを形成しながら進むスタート直後に集団が割れ、エシュロンを形成しながら進む photo: TDWsport / KT

パリ〜ニース2017第2ステージパリ〜ニース2017第2ステージ image: A.S.O.パリ近郊のロシュフォール=アン=イヴリーヌから起伏の少ない平野をアミリィまで南下する195kmで開催されたパリ〜ニース第2ステージ。天候は好転せず、この日もスタートから雨が選手たちを濡らした。

レース序盤からエシュロンが形成されるレース序盤からエシュロンが形成される photo: TDWsport / KT選手たちを悩ましたのは雨だけではなく、最高気温1〜2度という極めて低温なコンディションと、平野を吹き抜ける風。選手たちの言葉を借りるならば「ミゼラブル(惨め)」で「ケオティック(混沌)」なレースが序盤から展開される。スタートが切られてすぐ、強風によって早速集団が割れた。

ヤングライダー賞ジャージのジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が集団牽引ヤングライダー賞ジャージのジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)が集団牽引 photo: TDWsport / KTエシュロン(斜め隊列)を形成しながら分裂する集団。40kmを過ぎたところで第1集団が形成され、総合1位アルノー・デマール(フランス、エフデジ)の他、総合2位ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)やセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)がここに入った。

またもやアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)やリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)、サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)らはこの第1集団に残ることができず、追走集団を形成して第1集団を追うことになる。

約20名の第1集団に対し、コンタドールやイェーツを含む約60名の第2集団は2分遅れ。ポートを含む第3集団はさらにその1分後方でもがき続けた。長時間の追走の末に第2集団は残り60km地点で第1集団に合流したが、ポートを含む第3集団は足並みがそろわず。中継にも映らないほどの遅れを被ったポートは結局この日だけで14分以上遅れ、3度目の総合優勝の野望は大会2日目にして途絶えた。

第2集団の合流によって先頭が約70名に人数を増やしたところで新たな動きが生まれる。総合4位フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)と総合5位トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)を含む6名が逃げグループを形成して1分先行。ジルベールはスプリントポイントでボーナスタイム3秒を稼ぐことに成功する。

悪天候によりナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)やニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)がバイクを降りる中、前日に引き続き安定したチーム力を見せるエフデジが集団牽引を担当。すると、タイム差が30秒まで縮まったところで、フィニッシュまで20kmを残してジルベールがアタックを仕掛ける。一人だけ指切りグローブで気合の入ったベルギーチャンピオンが抵抗を続けた。

地元出身のトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)が逃げを率いる地元出身のトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)が逃げを率いる photo: TDWsport / KT

エフデジやトレック・セガフレード、クイックステップフロアーズが集団牽引エフデジやトレック・セガフレード、クイックステップフロアーズが集団牽引 photo: TDWsport / KT単独でタイム差を50秒差まで広げたジルベールだったが、残り8kmでギブアップ。クリスティアン・コレン(スロベニア、キャノンデール・ドラパック)らのカウンターアタックは封じ込められ、カチューシャやエフデジ、ロットNLユンボを先頭にフラムルージュを駆け抜ける。

終盤に独走するフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)終盤に独走するフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) photo: TDWsport / KT寒さの影響でどこかペースが上がりきらない集団からロングスパートに持ち込んだミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)も捕らえられ、連勝を狙うデマールが好位置に付けた状態で最終ストレートに入る。レインジャケットを着込んだまま始まったスプリント。真っ先に仕掛けたのはコルブレッリだった。

冷雨の集団スプリントを制したソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)冷雨の集団スプリントを制したソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo: TDWsport / KT何度もフィニッシュラインを目視で確認しながら下ハンドルを握ってスプリントを続けるコルブレッリを、デマールとジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)が追い上げる展開。徐々に加速感を失うコルブレッリにデマールとデゲンコルブが並んだが、いずれも差し切れない。先頭を守り抜いたコルブレッリが驚きに満ちた表情で両手を広げた。

フィニッシュ後、地面に倒れこんで顔を覆ったコルブレッリ。「UCIワールドツアーレース初勝利。間違いなくキャリア最大の勝利であり、特別な1日だ」と勝利を喜ぶ。

コルブレッリは今季バルディアーニCSFからバーレーン・メリダに移籍した26歳。2016年に9位に入ったミラノ〜サンレモでの勝利を夢見ている。「今日は序盤から大雨が降り続け、エシュロンが連続して生まれるハードな展開だった。このパリ〜ニースにはミラノ〜サンレモの準備レースとして出場している。まだ自分向きのステージが残っているので、単なる準備レースとしてではなく、勝利を狙い続けたい」。

スプリントで3位に入り、総合首位をキープしたデマールは「今日は昨日よりもハードなステージだった。風はそこまで強くなかったけど、寒さが身にしみた。最後は手の感覚がなくなるほどで、スプリントが始まった時点で消耗してしまっていたのが敗因。ジルベールやガロパンの攻撃を封じ込め、リーダージャージを守ったことには満足すべきだと思う」とコメント。デマールは「明日もスプリンター向きのステージ。明日は天気が回復してほしい」と望むが、一帯には引き続き降雨の予報が出ている。「太陽へのレース」は序盤からサバイバルの様相を呈している。

総合リードを守ったアルノー・デマール(フランス、エフデジ)総合リードを守ったアルノー・デマール(フランス、エフデジ) photo: TDWsport / KT

パリ〜ニース2017第2ステージ結果
1位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)       4h20’59”
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)
3位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ)
4位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)
5位 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)
6位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、アスタナ)
7位 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)
8位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
9位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)
10位 エヴァルダス・シスケヴィシウス(リトアニア、デルコ・マルセイユプロヴァンス)
103位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)       +14’16”
144位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック)    +21’07”

個人総合成績
1位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ)             7h43’28”
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)  +06”
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)    +17”
4位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)  +19”
5位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
6位 ロマン・アルディ(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)   +21”
7位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)   +23”
8位 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)
9位 ルディ・モラール(フランス、エフデジ)
10位 クリスティアン・コレン(スロベニア、キャノンデール・ドラパック)  +31”

ポイント賞
1位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ)              24pts
2位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)        15pts
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)       15pts

山岳賞
1位 ロマン・アルディ(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)  12pts
2位 ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)               2pts
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)     2pts

ヤングライダー賞
2位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)7h43’34”
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)    +1’12”
3位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)

チーム総合成績
1位 クイックステップフロアーズ                    23h11’24”
2位 エフデジ                               +37”
3位 カチューシャ・アルペシン                       +47”

text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
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