ツール・ド・ランカウイ最終日の集団スプリントで、トラヴィス・マケイブ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)が2勝目。スプリントで4位に入ったライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)が総合優勝し、中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)がアジア人最高位を守り抜いた。



最終日を迎えた伊藤雅和と小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ)最終日を迎えた伊藤雅和と小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:SonokoTANAKA5名でランカウイ最終日に臨む愛三工業レーシング5名でランカウイ最終日に臨む愛三工業レーシング photo:SonokoTANAKA

これまで7日間を走り通したツール・ド・ランカウイにとって最後のスタートこれまで7日間を走り通したツール・ド・ランカウイにとって最後のスタート photo:SonokoTANAKA


集団内に位置取る黒枝士揮(愛三工業レーシング)集団内に位置取る黒枝士揮(愛三工業レーシング) photo:SonokoTANAKAボトルを受け取る伊藤雅和(NIPPOヴィーニファンティーニ)ボトルを受け取る伊藤雅和(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:SonokoTANAKA最終スプリントを制したトラヴィス・マケイブ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)最終スプリントを制したトラヴィス・マケイブ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) photo:CorVosゴール後にコーラを飲み干す中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)ゴール後にコーラを飲み干す中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:SonokoTANAKAここまで休息日無しで7日間を走り通したツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)もいよいよ最終日。1222.2kmに渡る旅路を締めくくるのは例年通りのマラッカではなく、マレーシアの行政新首都として開発中の連邦直轄領、プトラジャヤ周辺を巡るコース。

121kmという比較的短いコース中盤までには2つの山岳ポイントが設けられているものの、その後はフラットなスプリントステージだったが、2つ目の山岳で集団が大きく動いた。

「なるべく厳しい展開に持ち込み、重量級スプリンターをふるい落としたかった」というユナイテッドヘルスケアが登りでペースアップを行ったことで集団が3つに割れ、狙い通り3勝目を狙っていたヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)を千切ることに成功する。

前2つのグループが合流したことで人数が増え、総合リーダーのライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)を含むほぼ全ての総合上位勢が揃ったため、これを好機と捉えたNIPPOヴィーニファンティーニやディメンションデータが猛然とペースアップし、遅れたグループを引き離していった。

後方ではウィリエール・トリエスティーナが牽いたものの、先頭とのタイム差は広がるばかり。プトラジャヤの周回コースに入り全6周回中2周経過時点でレースから除外されてしまうことに。結局13分48秒遅れでの完走扱いとはなったものの、ここに含まれたアジアンライダー2位の早川朋宏(愛三工業レーシング)はアジア総合7位、個人総合も18位から33位まで落としてしまった。

一方、41名の先頭集団はそのままフィニッシュラインへと辿り着き、リッカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)やアンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)を下したトラヴィス・マケイブ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)が大会2回目となるガッツポーズを披露。総合リーダーのギボンズもスプリントに絡み、4位に入るとともに総合優勝を確定させた。

「マレーシアに来るまでは自分が今こうして総合リーダーになっているなんて考えてもいなかった」とギボンズ。「最後の登りではアイソウェイが攻撃し15名ほどが抜け出したが、ジャック(ヤンセファンレンズバーグ)のおかげで落ち着いていられたんだ。すぐに吸収して安心したが、落車やメカトラがあるのが自転車競技。息を抜くことはできなかった」



アジアリーダーを確定させた中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)が笑顔を見せるアジアリーダーを確定させた中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)が笑顔を見せる photo:SonokoTANAKA
ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)を中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)らが囲むライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)を中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)らが囲む photo:SonokoTANAKA


アジアリーダーの表彰を受ける中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)アジアリーダーの表彰を受ける中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:SonokoTANAKA中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)と福島晋一監督中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)と福島晋一監督 photo:SonokoTANAKAまた、ギボンズはスプリントに絡んだことでポイント賞リーダーにも輝いた。南アフリカ出身選手で見えば、ランカウイでのポイント賞獲得は15年前のロバート・ハンター以来だ。

「南アフリカの選手に多大な影響を与えている彼と同じ実績を一つでも持てたことは光栄。小さい山をこなし、TTでも強く、強力なスプリントを武器にした彼と僕は似通っている部分があるけれど、僕は彼の半分でも成功できれば幸せと言えると思う。とにかく今回の勝利はすごく自信に繋がった」と喜びをコメントしている。

また、中根も危なげなく先頭集団でフィニッシュし、アジアンライダー総合首位を獲得。「ジャージを守ることができてホッとしました。その一言に尽きます。今日のステージでは、2番目の登りが厳しく、集団が二つに割れてしまいましたが、危なげなく、前に残って行けたので良かったと思っています。自分の力というよりも、チームのみんなに支えられて、毎日いい位置で走れたから、ジャージを獲得するチャンスが巡ってきました。そのチャンスを最後まで生かすことができて良かったと思います。途中で棄権したアジア人最高位につけていた選手については、今大会の本当のアジアンリーダーは彼だと思っています。スプリントも登りも強く、尊敬できる選手でした。今回はこのような形でジャージを獲得しましたが、次回はちゃんと自分の力で勝負して、彼に勝っていきたいと思います」と8日間を締めくくっている。



ツール・ド・ランカウイ2017第8ステージ結果
1位 トラヴィス・マケイブ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)            2h39’00”
2位 アンソニー・ジャコッポ(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)
3位 リッカルド・スタッキオッティ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
4位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
5位 シャールイ・マットアミン(マレーシア、トレンガヌサイクリング)
6位 アンドレア・パリーニ(イタリア、アンドローニ・ジョカトリ)
7位 マルコ・マロネーゼ(イタリア、バルディアーニCSF)
8位 エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF)
9位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)
10位 マクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ) 

個人総合成績
1位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)            26h26’06”
2位 キャメロン・バイリー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス) +33”
3位 アルベルト・チェッキン(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)       +35”
4位 ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)          +37”  
5位 マクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ)            +41”
6位 クリス・ハーパー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)   +43”
7位 アーレイ・ベルナール(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
8位 ティモシー・ロー(オーストラリア、アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス)
9位 ベン・オコーナー(オーストラリア、ディメンションデータ)
10位 フェルナンド・オルジュエラ(コロンビア、マンサナ・ポルトボン)        +50”

ポイント賞
1位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)            75pts
2位 トラヴィス・マケイブ(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)           62pts
3位 ヤコブ・マレツコ(イタリア、ウィリエール・トリエスティーナ)         54pts

山岳賞
1位 ジョン・エブセン(デンマーク、インフィニットAISサイクリングチーム)      36pts
2位 ジャヒール・ペレツ(コロンビア、チームサプラサイクリング)          30pts
3位 マクセブ・ドゥバサイ(エリトリア、ディメンションデータ)           26pts

チーム総合成績
1位 アイソウェイスポーツ・スイスウェルネス
2位 ディメンションデータ
3位 マンザナ・ポストボン

text:So.Isobe
photo:SonokoTANAKA,Le Tour de Langkawi 2017