最終日を迎えたヴォルタ・アン・アルガルヴェ(UCI2.HC)。アルト・ド・マルハオへの山頂フィニッシュで、コンチネンタルチーム勢が下剋上を成功させ、マヌエル・アンタネス(ポルトガル、W52-FC ポルトポルトカナル)がステージ優勝。総合争いはプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)が制している。



最終日を迎えたヴォルタ・アン・アルガルヴェ最終日を迎えたヴォルタ・アン・アルガルヴェ (c)voltaaoalgarve.com


70km地点で21名の逃げが形成された70km地点で21名の逃げが形成された (c)voltaaoalgarve.comいくつもの登りが選手を苦しめたいくつもの登りが選手を苦しめた (c)voltaaoalgarve.comアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が逃げを率いるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が逃げを率いる (c)voltaaoalgarve.com声援を受けてフィニッシュを目指すマヌエル・アンタネス(ポルトガル、W52-FC ポルトポルトカナル) 声援を受けてフィニッシュを目指すマヌエル・アンタネス(ポルトガル、W52-FC ポルトポルトカナル)  (c)voltaaoalgarve.comフィナーレを迎えた第43回ヴォルタ・アン・アルガルヴェ。最後の勝負を決める第5ステージは、2級山岳アルト・ド・マルハオを2回登り、山頂フィニッシュする今大会の最難関コースとなった。総合トップにつけるプリモシュ・ログリッチェと、22秒差につけるミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)との熱い戦いが予想された。

ここまでの4日間、すんなりと決まり続けてきた逃げは、この日はなかなか決まらず。前半の平坦区間は高速で進んでいき、逃げが形成されたのは70kmを消化した後となった。

強い横風が吹く区間で決まった逃げはアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)やアルノー・デマール(フランス、エフデジ)らスプリンターらが多く含まれる21名。総合成績で最も高い位置にいるのが、4分57秒遅れのマウリス・ラメルティンク(オランダ、カチューシャ・アルペシン)ということもあり、メイン集団はタイムギャップを3分以内にコントロールする。

一回目のアルト・ド・マルハオの登りはまとまってこなした逃げ集団だが、次に控える3級山岳、ヴェルメーリョスで幾人かの選手が遅れはじめる。ラストのアルト・ド・マルハオに差し掛かるころには、メイン集団は50秒後に迫ることに。

しかし、クウィアトコウスキーの逆転を狙うチームスカイが、猛烈なペースを刻んだことにより逃げ集団はあえなく吸収される。逃げ集団最後の一人となったラメルティンクが吸収される瞬間に、切れ味鋭い加速で飛び出したのはマヌエル・アンタネス(ポルトガル、W52-FC ポルトポルトカナル)。

勇敢なアタックに地元のファンが湧く中、素晴らしいペースで登り切ったアンタネス。何度も後ろを振り返りながら、喜びを爆発させてフィニッシュアーチをくぐり抜けた。

キャリアの中でも初の大きな勝利を掴んだ26歳の若手ライダーは「この登りはいつものトレーニングコースなんだ。最初は少し躊躇したけれど、アタックして正解だった。ホームコースでつかんだ勝利は、これまで何度も夢に描いてきたもの。とても感動的で、この瞬間を忘れることは無いだろう」と語った。



大金星を挙げたマヌエル・アンタネス(ポルトガル、W52-FC ポルトポルトカナル) 大金星を挙げたマヌエル・アンタネス(ポルトガル、W52-FC ポルトポルトカナル)  (c)CorVos


総合優勝を果たしたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)総合優勝を果たしたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) (c)CorVos一方、逆転を狙うクウィアトコウスキーだが、ログリッチェを振り切ることは叶わず。第2ステージでつけたタイム差を守り切り、ログリッチェが総合優勝を果たした。

「最後の登り区間では、クウィアトコウスキーを徹底的にマークしていた。本当に大変だったけれど、こうしてリーダージャージを最後の瞬間まで着ていることが出来るのは幸運なことだ。これからはヒルクライムとタイムトライアル、両方を伸ばして、より強くなっていきたいね。レースを始めたとき、こんな瞬間が来るなんて思っていなかった。」とログリッチェは語った。



ヴォルタ・アン・アルガルヴェ2017第5ステージ結果
1位 マヌエル・アンタネス(ポルトガル、W52-FC ポルトポルトカナル)           4h29’28”
2位 ビセンテ・ガルシア(スペイン、ローレタノ・ホスピタルドローレ)             +12”
3位 ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・スーダル)
4位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)               +15”
5位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、スポーティングキューブ・ド・ポルトガル)
7位 ジェイム・ロソン(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)
8位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
9位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・スーダル)
10位 ダヴィデ・フエンテ(スペイン、ローレタノ・ホスピタルドローレ)

個人総合成績
1位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)            19h04’03”
2位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)               +22”
3位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・スーダル)                   +55”
4位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)                   +59”
5位 マヌエル・アンタネス(ポルトガル、W52-FC ポルトポルトカナル)          +1’29”
6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)         +1’36”
7位 ホナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)                 +1’40”
8位 ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・スーダル)                +1’42”
9位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、スポーティングキューブ・ド・ポルトガル)  +1’56”
10位 エドガー・ピント(ポルトガル、ラ・アルミニオス・マタルーサ)           +2’19”

ポイント賞
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)                  53pts
2位 マヌエル・アンタネス(ポルトガル、W52-FC ポルトポルトカナル)          38pts
3位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)              30pts

山岳賞
1位 フィリップ・オソリオ(コロンビア、マンサナ・ポルトボン)              17pts
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)         10pts
3位 マヌエル・アンタネス(ポルトガル、W52-FC ポルトポルトカナル)          10pts

新人賞
1位 ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・スーダル)              19h05’45”
2位 タルギス・アンソニー(フランス、コフィディス)                  +2’29”
3位 シルヴィオ・ヘルクロッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)           +3’51”

text:Naoki.Yasuoka
photo:CorVos、voltaaoalgarve.com

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