前日に引き続いて積極果敢な走りを見せたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)だったがステージ優勝には繋がらず。フィニッシュ手前でコンタドールを追い抜いたティボー・ピノ(フランス、エフデジ)が1級山岳を先頭で登りきった。



オリーブ畑が広がるアンダルシア地方の内陸部を走るオリーブ畑が広がるアンダルシア地方の内陸部を走る photo:Kei Tsuji / TDWsport


ブエルタ・ア・アンダルシア2017第2ステージブエルタ・ア・アンダルシア2017第2ステージ photo: www.vueltaandalucia.esアンダルシア州のハエン近郊に広がる山岳地帯を走るブエルタ・ア・アンダルシア「ルタ・デル・ソル」第2ステージ。獲得標高差が3,600mに達する本格的な山岳ステージで、序盤から1級山岳プエルト・ビエホ(8.3km/5%)、2級山岳プエルト・デ・シエテピリリャス(6.8km/6%)、3級山岳プエルト・デ・トレス(2.9km/6%)をこなした後に1級山岳ペニャ・デル・アギラ(5.3km/9%)を駆け上がる。

チームメイトとともにメイン集団を牽引する新城幸也(バーレーン・メリダ)チームメイトとともにメイン集団を牽引する新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Miwa Iijima1級山岳の山頂フィニッシュが設定された大会最難関のクイーンステージは序盤からゲオルク・プライドラー(オーストリア、サンウェブ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)を含む5名が8分先行する展開。しかしモビスター、トレック・セガフレード、チームスカイが逃げ切りを許さない。2016年ジロ・デ・イタリアで独走逃げ切り勝利を飾ったウェレンスが単独で逃げ続けたが、最後の1級山岳を前に吸収された。

メンバー全員がディスクブレーキ搭載バイクに乗るキャノンデール・ドラパックメンバー全員がディスクブレーキ搭載バイクに乗るキャノンデール・ドラパック photo:www.vueltaandalucia.es登りが始まってすぐ、残り5kmでワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)が加速して周りの反応をうかがったものの、チームスカイやトレック・セガフレードは集団のペースメイクを継続。バルギルが引き戻されると今度はミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)が飛び出して15秒リードする。

ハードな展開に持ち込むトレック・セガフレードとチームスカイハードな展開に持ち込むトレック・セガフレードとチームスカイ photo:www.vueltaandalucia.es最も多くの人数を揃えるチームスカイがカードを切る中、残り3kmでトレック・セガフレードが集団の先頭に立って加速。ファビオ・フェリーネ(イタリア)に発射される形で踏み始めたコンタドールがランダを軽々とパスして先頭に立った。

コンタドールを引き連れて先頭に出るファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)コンタドールを引き連れて先頭に出るファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:www.vueltaandalucia.esダンシングを織り交ぜながらハイペースを刻んだコンタドールが、チームスカイの3名(プールス、ランダ、ローザ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、ホン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)を突き放す。単独追走したピノはコンタドールを視界にとらえながら登坂を続ける。

コンタドールを追撃するティボー・ピノ(フランス、エフデジ)コンタドールを追撃するティボー・ピノ(フランス、エフデジ) photo:Kei Tsuji / TDWsport独走のまま残り1kmを切ったコンタドールだったが、2番手ピノとのタイム差は縮小傾向。チームスカイの3名がポジションを落とす中、バルベルデとイサギレは粘り強い走りで迫る。

コンタドールを抜いて先頭フィニッシュするティボー・ピノ(フランス、エフデジ)コンタドールを抜いて先頭フィニッシュするティボー・ピノ(フランス、エフデジ) photo:Kei Tsuji / TDWsport先頭で走り続けたコンタドールには残り500mでついにピノが追いつき、力強いスプリントで先頭を奪ったピノがフィニッシュに飛び込む。STRAVAログによると、ピノは勾配2%の最終ストレートで最高速47.9km/hのスプリントを繰り出している。

「昨日の第1ステージではトップライダーに食らい付けなかったけど、今日はとても脚の感触が良かった。焦らずに勝負に持ち込んで、終盤に追い上げたんだ。すると前にコンタドールが見えてきた。目視でタイム差を読んで、彼が徐々にタレていることに気づいたんだ」と、今シーズン初勝利を飾ったピノは語る。

「自分のようなクライマーにとってコンタドールに勝つことは特別。彼のスタイルは多くの選手に影響を与えている。明日の個人タイムトライアルでは僅差の総合争いが繰り広げられるはず。今日と同じ感触で走れば良い結果をつかむことができると思う(レキップ紙)」。

ステージ優勝は逃したものの、連日のアグレッシブな走りが功を奏して総合首位に浮上したコンタドールは「アタックしてしばらくは調子よく踏めていたものの、すぐに心拍がレッドゾーンまで上がった。200bpmまで上がったんだ。そこからは長い道のりだった。決して悪くない走りだったけど、久しぶりに心臓が口から出そうだった。確かにもう少し待ってからアタックしても良かったけど、ライバルたちに逃がしてもらえないような昨日の二の舞はごめんだった。それに、ハードな展開に持ち込むことでライバルたちを疲弊させたかったんだ」とコメント。アタックによって早々に脱落したバルベルデは最終的に7秒差でフィニッシュしており、コンタドールは大きな総合リードを築くことはできなかった。

ピノに対して3秒、バルベルデとイサギレに対して5秒のリードでコンタドールは翌日の11.9km個人タイムトライアルに挑むことになった。「数秒差に多くの選手がひしめいているので総合争いは混沌としている。とくにイサギレは良いタイムトライアリスト。コースが自分向きであることを願っている(トレック・セガフレード公式サイト)」



リーダージャージを手にしたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)リーダージャージを手にしたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji / TDWsport


ブエルタ・ア・アンダルシア2017第2ステージ結果
1位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)              4h44’03”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)    +02”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)          +07”
4位 ホン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
5位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)              +09”
6位 ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ)
7位 ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)             +13”
8位 セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、エフデジ)        +28”
9位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット)          +46”
10位 フローリス・デティエ(ベルギー、ロットNLユンボ)

個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)  8h46’33”
2位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)                +03”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)          +05”
4位 ホン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
5位 ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ)             +07”
6位 ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)             +11”
7位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)              +12”
8位 セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、エフデジ)        +26”
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)    +49”
10位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット)        +1’08”

山岳賞
1位 ゲオルク・プライドラー(オーストリア、サンウェブ)        32pts
2位 ダニエル・テュレク(チェコ、イスラエルサイクリングアカデミー)  18pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)         16pts

中間スプリント賞
1位 ダニエル・テュレク(チェコ、イスラエルサイクリングアカデミー)   3pts
2位 シャンドロ・ムーリセ(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)    3pts
3位 ゲオルク・プライドラー(オーストリア、サンウェブ)         2pts

ポイント賞
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)          41pts
2位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)                34pts
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)    30pts

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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