フィニッシュに向かう9%の登りでベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)がタイミングよくアタック。アップダウンコースを制したヘルマンスがツアー・オブ・オマーンの首位に立った。



オマーンの街中を走るプロトンオマーンの街中を走るプロトン photo:Kei Tsuji / TDWsport


リーダージャージを着て走るアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)リーダージャージを着て走るアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Kei Tsuji / TDWsport山がちな地形を利用したツアー・オブ・オマーン(UCI2.HC)第2ステージの142kmコース。ファンジャ(1.2km/8%)、ブシェール・アルアメラット(3.6km/10%)、ハムリヤー(3.1km/4%)、アルジサー(2.5km/8%)という4つのKOM(キング・オブ・マウンテン)が散りばめられている。

オマーンの山岳を進む集団を撮影オマーンの山岳を進む集団を撮影 photo:Kei Tsuji / TDWsportいずれのKOMも急勾配区間を含むのが特徴で、フィニッシュラインはアルジサーの頂上に引かれている。実質的に総合争いが始動するこの日、レースは最初の1時間の平均スピードが50.8km/hという猛烈な速さでスタートした。

逃げるマーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)とプレベン・ヴァンヘッケ(ベルギー、スポートフラーンデレン)逃げるマーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)とプレベン・ヴァンヘッケ(ベルギー、スポートフラーンデレン) photo:Kei Tsuji / TDWsportハイスピードな展開から抜け出したマーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)とプレベン・ヴァンヘッケ(ベルギー、スポートフラーンデレン)の2名が先行し、一時的に7分を超えるリードを築くことに成功。メイン集団をコントロールしたのはリーダージャージ擁するカチューシャ・アルペシンではなくアージェードゥーゼールとUAEアブダビ、アスタナといった総合系チーム。

下りを走る内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ)下りを走る内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji / TDWsportメイン集団は残り20km地点で逃げを早くも吸収し、カウンターアタックで飛び出したダニエル・イートン(ユナイテッドヘルスケア)とラーセ・ノーマンハンセン(デンマーク、アクアブルースポート)も最後のアルジサーを前に飲み込む。残り3kmを切って始まった登りで集団はバラけ、先頭は約14名に絞られた状態で残り1kmを切った。

オマーンの山岳地帯を進むプロトンオマーンの山岳地帯を進むプロトン photo:Kei Tsuji / TDWsport勾配約9%の登りが続く長いストレートで最初に仕掛けたのはグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)。残りおよそ800mから飛び出したリオ五輪金メダリストを追う形でメルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)も加速する。

最後の登りでペースを上げるダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)最後の登りでペースを上げるダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji / TDWsportヴァンアーヴェルマートもクドゥスもやがては失速し、続いて腰を上げたのはヘルマンス。BMCレーシングのチームリーダーがルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ)とヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)を振り切り、ステージ4位以下にタイム差をつける登坂力で勝利した。

「チームの作戦通り、テンポで登っているタイミングでまずグレッグ(ヴァンアーヴェルマート)がアタック。続くクドゥスのカウンターアタックは強力で、グレッグが失速した頃合いを見て自分が残り300mでロングスプリントのようなアタックを仕掛けた。この登りは2015年にも経験していて、当時はティージェイ(ヴァンガーデレン)とグレッグのアシストとして麓からアタックした。完璧に自分向きだと思っていたけど、ステージ優勝は予想していなかった」と、ステージ優勝とリーダージャージを同時に手にしたヘルマンスは語る。

ヘルマンスは2015年大会で総合8位に入り、2016年ブエルタ・ア・エスパーニャで総合14位に入っているオールラウンダーだが、この先のステージでの厳しい戦いを予想する。「これから3日間は厳しい山岳ステージが続くので、間違いなくライバルチームは攻撃を仕掛けてくるだろうし、レースを完全にコントロールするのは難しいと思う。まだ総合優勝のチャンスがある選手が10〜15名いる。第5ステージのグリーンマウンテン山頂フィニッシュで答えが出ると思う」。

第2ステージを終えてファビオ・アル(イタリア、アスタナ)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)は総合で17秒遅れだ。



山頂フィニッシュを制したベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)山頂フィニッシュを制したベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsport
リーダージャージを獲得したベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)リーダージャージを獲得したベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsport


ツアー・オブ・オマーン2017第2ステージ結果
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)            3h20’49”
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ)
3位 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)
4位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)        +04”
5位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)        +07”
6位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)
7位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
8位 ハニエル・アセベド(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)
9位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
10位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)

個人総合成績
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)            7h07’08”
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ)                +04”
3位 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)               +06”
4位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)        +14”
5位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)        +17”
6位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)
7位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
8位 ハニエル・アセベド(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)
9位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
10位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)

ポイント賞
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)  17pts
2位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)             15pts
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ)               12pts

ヤングライダー賞
1位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)      7h07’22”
2位 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)      +03”
3位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)       +08”

チーム総合成績
1位 ディメンションデータ                        21h22’17”
2位 アスタナ                                +03”
3位 BMCレーシング                             +17”

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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