2017/01/28(土) - 18:20
1月28日にオーストラリア・ジーロングで開催されたカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース・ウィメンズ(UCI1.2)で、ウィグル・ハイファイブのエースを託された萩原麻由子が5名によるスプリントで3位に入った。
ジーロングの街をスタートする選手たち photo:Kei Tsuji
スタート前にリラックスした表情を見せる萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) photo:Kei Tsuji
前半の横風区間でメイン集団が粉砕される photo:Kei Tsuji
風が弱まると遅れていた選手たちが合流 photo:Kei Tsuji日曜日のエリート男子レースに先立って開催されたカデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレースの女子レース。前週のサントス・ツアー・ダウンアンダー併催のサントス・ウィメンズツアーに出場した多くの女子チームがほぼそのまま南オーストラリア州からヴィクトリア州に移動し、2017年のUCI女子レース2戦目に挑んだ。
青い海を背にQOM(クイーンオブマウンテン)を目指す photo:Kei Tsujiコースは2010年にUCIロード世界選手権を迎えたジーロングの街を発着する113km。「グレートオーシャンロードレース」を名乗るだけに美しいオーシャンロードが組み込まれており、内陸部のアップダウンをこなしてジーロングに戻る。特に終盤にかけて勾配のある登りが連続して登場するのが特徴だ。
登りでポジションを上げる萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) photo:Kei Tsujiレースは開始直後から風との戦いとなる。オリカ・スコット、キャニオン・スラム、アレ・チポッリーニといったビッグチームが風向きの入れ替わるタイミングで先頭に立ち、集団をぶちぶちに粉砕する。風が弱まったところで集団は一つに戻ったが、集団内は常にナーバスな状態が続いた。
中盤にかけて登りを利用して10名弱の逃げグループが先行するシーンも見られたが、本格的な勝負が始まったのは残り20kmを切ってから。オリカ・スコットやユナイテッドヘルスケア勢がアタックを仕掛け、断続的なアップダウンで集団の人数を絞り込んでいく。
残り7kmを切った急勾配(最大20%)の登りで仕掛けたのは元タイムトライアル世界チャンピオンのエマ・プーリー(イギリス、ホールデンウィメンズ)。ロードレースの一線を退き、現在はトライアスロンやデュアスロンに打ち込んでいるプーリーが単独で飛び出す形となり、4名の追走グループの中に萩原が入った。
グレートオーシャンロードを走る選手たち photo:Kei Tsuji
並んで走る牧瀬翼(マースランドスター・ヴェリスCCN)と萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) photo:Kei Tsuji
登りで飛び出したアンネミーク・ファンフレウテン(オランダ、オリカ・スコット)とルース・ウィンダー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) photo:Kei Tsujiフィニッシュに至る下り基調の直線路は追走グループに分があり、残り3kmで萩原らが先頭プーリーをキャッチ。そのまま5名でのスプリントに持ち込まれることに。残り1kmからの萩原のスパートは決まらず、じりじりした牽制を経て真っ先にスプリントを開始したアンネミーク・ファンフレウテン(オランダ、オリカ・スコット)が先着した。
選手と並走しながらコメンテートするロビー・マキュアン photo:Kei Tsuji地元オーストラリアのオリカ・スコットが大会連覇を達成。勝利したファンフレウテンは「3月の本格シーズンに向けて乗り込んでいる段階なので、この勝利は大きな驚き。カトリン・ガーフットとアマンダ・スプラット(前年度覇者)がチームリーダーだったものの、終盤の登りで気付けば自分だけになっていた。前週のダウンアンダーでは登りで苦しんでいたのに、今日は登りが苦じゃなかった。スプリントで他の選手にスピード負けするとは思えなかったけど、プレッシャーは大きかった」と語る。
ファンフレウテンは2016年8月のリオ五輪ロードレースで落車して脊椎にヒビを負ったが、同年9月のベルギーツアーで復帰するとともに総合優勝。サントス・ウィメンズツアーではチームメイトのスプラットを総合優勝に導き、自身は総合28位で終えていた。
チームリーダーとして走った萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) photo:Kei Tsuji
終盤まで集団内で展開した牧瀬翼(マースランドスター・ヴェリスCCN) photo:Kei Tsuji
終盤のアップダウン区間でアタックが繰り返される photo:Kei Tsuji
ロングスプリントで先行するアンネミーク・ファンフレウテン(オランダ、オリカ・スコット) photo:Kei Tsuji
萩原らを振り切って勝利したアンネミーク・ファンフレウテン(オランダ、オリカ・スコット) photo:Kei Tsujiファンフレウテンを追撃する形でスプリントフィニッシュした萩原はルース・ウィンダー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)に次いで3位に。ウィグル・ハイファイブのエースとして挑んだレースで表彰台に上った。
地面に倒れこみ、勝利を喜ぶアンネミーク・ファンフレウテン(オランダ、オリカ・スコット) photo:Kei Tsuji「他に登れるチームメイトがいなかったので、自然と自分がエースという形になりました。(風で集団が分裂した時は)何回も乗り遅れたものの、いつもチームメイトに集団に戻してもらった。前半の感じだと今日はダメだと思いましたが、みんなのアシストを受けているので千切れるわけにはいかなかった」と萩原は語り、レース後にチームメイトたちに感謝する。
ロビー・マキュアンからインタビューを受けるルース・ウィンダー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)と萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) photo:Kei Tsuji前週のサントス・ウィメンズツアーでは「はっきり言って乗れていない」と表情を曇らせていたが、1週間で調子を上げての表彰台。萩原は「ジーロング入りしてから、地元に住む日本の方の自宅にお世話になったので、とてもリフレッシュできました。監督がこの地域出身で、しっかりコースも試走して、念入りに準備できたことが良かったと思います」と、身体的にも精神的にも準備ができていたと語る。
表彰台で花束を受け取った萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ) photo:Kei Tsuji「最後もうちょっとトライしたかったけど躊躇してしまった。スローモーションのようなスプリントでしたけど3位に入ることができて良かったです。サントス・ウィメンズツアーでは酷い走りだったものの、最低条件の表彰台に登れたので、正直ホッとしています。チームにとっても良いシーズンスタートになったと思います。これが始まりなので、良いチームを作って良いシーズンにしたいです」と、表彰台から降壇した萩原は語った。
萩原と同様にサントス・ウィメンズツアーから連戦出場した牧瀬翼(マースランドスター・ヴェリスCCN)は65位。終盤まで集団内で展開していたが、残り15km地点で派手に落車して戦線を離脱した。
「今日はスタート直前にパンクしたり、後半に落車したりとハプニングDAYでした」。落車はニュース番組のハイライトで取り上げられるほど衝撃的なものだったが、幸い大きな怪我を負うことなく5分41秒遅れでフィニッシュしている。
牧瀬にとってサントス・ウィメンズツアーとカデルエヴァンスレースは初のビッグレース。「世界トップクラスの選手と走ってみて、やっぱりまだまだ力不足だと改めて感じました。もっともっとパワーが必要だと今日も感じた」と牧瀬は語る。
牧瀬はレース後すぐに日本に帰国。2月下旬にオランダに渡り、ヨーロッパでのレース活動をスタートさせる。「このオーストラリアに滞在したこの2週間ちょっとで新しいチームにも慣れてきました。オランダでチームメイトたちとまたレースをするのが楽しみ。オランダではレベルの高いレースが続くのでトレーニングに励みます」と牧瀬は語っている。
優勝トロフィーを受け取ったアンネミーク・ファンフレウテン(オランダ、オリカ・スコット) photo:Kei Tsuji
カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース2017女子結果
1位 アンネミーク・ファンフレウテン(オランダ、オリカ・スコット) 3h04’13”
2位 ルース・ウィンダー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
3位 萩原麻由子(日本、ウィグル・ハイファイブ)
4位 ルーシー・ケネディー(オーストラリア、ハイファイブドリーム)
5位 エマ・プーリー(イギリス、ホールデンウィメンズ)
6位 スザンナ・ゾルツィ(イタリア、ドロップス) +27”
7位 キルステン・ウィルド(オランダ、サイレンスプロ) +33”
8位 クロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)
9位 クロエ・ディガート(アメリカ、ショーエア・トゥウェンティ20)
10位 グレイシー・エルヴィン(オーストラリア、オリカ・スコット)
65位 牧瀬翼(日本、マースランドスター・ヴェリスCCN) +5’41”
text&photo:Kei Tsuji in Geelong, Australia






中盤にかけて登りを利用して10名弱の逃げグループが先行するシーンも見られたが、本格的な勝負が始まったのは残り20kmを切ってから。オリカ・スコットやユナイテッドヘルスケア勢がアタックを仕掛け、断続的なアップダウンで集団の人数を絞り込んでいく。
残り7kmを切った急勾配(最大20%)の登りで仕掛けたのは元タイムトライアル世界チャンピオンのエマ・プーリー(イギリス、ホールデンウィメンズ)。ロードレースの一線を退き、現在はトライアスロンやデュアスロンに打ち込んでいるプーリーが単独で飛び出す形となり、4名の追走グループの中に萩原が入った。




ファンフレウテンは2016年8月のリオ五輪ロードレースで落車して脊椎にヒビを負ったが、同年9月のベルギーツアーで復帰するとともに総合優勝。サントス・ウィメンズツアーではチームメイトのスプラットを総合優勝に導き、自身は総合28位で終えていた。








萩原と同様にサントス・ウィメンズツアーから連戦出場した牧瀬翼(マースランドスター・ヴェリスCCN)は65位。終盤まで集団内で展開していたが、残り15km地点で派手に落車して戦線を離脱した。
「今日はスタート直前にパンクしたり、後半に落車したりとハプニングDAYでした」。落車はニュース番組のハイライトで取り上げられるほど衝撃的なものだったが、幸い大きな怪我を負うことなく5分41秒遅れでフィニッシュしている。
牧瀬にとってサントス・ウィメンズツアーとカデルエヴァンスレースは初のビッグレース。「世界トップクラスの選手と走ってみて、やっぱりまだまだ力不足だと改めて感じました。もっともっとパワーが必要だと今日も感じた」と牧瀬は語る。
牧瀬はレース後すぐに日本に帰国。2月下旬にオランダに渡り、ヨーロッパでのレース活動をスタートさせる。「このオーストラリアに滞在したこの2週間ちょっとで新しいチームにも慣れてきました。オランダでチームメイトたちとまたレースをするのが楽しみ。オランダではレベルの高いレースが続くのでトレーニングに励みます」と牧瀬は語っている。

カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース2017女子結果
1位 アンネミーク・ファンフレウテン(オランダ、オリカ・スコット) 3h04’13”
2位 ルース・ウィンダー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
3位 萩原麻由子(日本、ウィグル・ハイファイブ)
4位 ルーシー・ケネディー(オーストラリア、ハイファイブドリーム)
5位 エマ・プーリー(イギリス、ホールデンウィメンズ)
6位 スザンナ・ゾルツィ(イタリア、ドロップス) +27”
7位 キルステン・ウィルド(オランダ、サイレンスプロ) +33”
8位 クロエ・ホスキング(オーストラリア、アレ・チポッリーニ)
9位 クロエ・ディガート(アメリカ、ショーエア・トゥウェンティ20)
10位 グレイシー・エルヴィン(オーストラリア、オリカ・スコット)
65位 牧瀬翼(日本、マースランドスター・ヴェリスCCN) +5’41”
text&photo:Kei Tsuji in Geelong, Australia
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