全国的な大寒波に襲われる中、東北シクロクロスシリーズ第3戦蔵王ステージが宮城県蔵王町総合運動公園で開催。パウダースノーに覆われたコンディションの中、世界選手権に出場する小坂光と今井美穂が勝ち星を挙げた。



小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)に続く加藤健悟(臼杵レーシング)と、斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)に続く加藤健悟(臼杵レーシング)と、斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) 先頭を独走する小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)先頭を独走する小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) 粘った加藤健悟(臼杵レーシング)はこの後メカトラでリタイアに粘った加藤健悟(臼杵レーシング)はこの後メカトラでリタイアに 3位に入った山田大介(PAXPROJECT)3位に入った山田大介(PAXPROJECT) 同日開催予定の東海シクロクロス第5戦はすでに雪の為中止とのアナウンスも聞こえる中、福島県以北は朝から吹雪。東北道の閉鎖も考えられる状況で、雪に不慣れな当日移動の関東方面からの選手/クルーにとっては移動からすでに競技が始まっているかのようだった。

コースは競技場と周辺地形や通路を使用したもので、レイアウトも先シーズンとは全く違うもの。僅かながら距離が伸ばされ、河川敷と堤防には幾つものキャンバーやドロップインが設定された。最高気温は氷点下2℃以下だった当日の蔵王町。日差しも見えたがそれも一瞬で、時折強く降る粉雪や地吹雪が巻き起こるコンディション。いわゆるパウダースノーで路面が覆われ、キャンバー以外は乗車率も高かった。

CM1レースの時間帯にはルクセンブルグで行われるシクロクロス世界選手権派遣候補選手として、小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)、武田和佳(Liv)、今井美穂3選手の支援募金チャリティサイン会も開催。蔵王町のゆるキャラ「ざおうさま」や「真田幸村」に扮した武将姿のプレゼンテーターが登場し、更にフォトセッションにはこの雪の中を出動してきたRed Bull Girlsも。会場内テントでは蔵王町商工会議所のご協力によるモツ煮、つくね串、暖かい甘酒などの提供も行われた。

29名が出走したC1レースになっても気温は上がるどころか時折吹雪の様子を呈する。世界選手権に出場する小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)のダッシュで60分間レースが始まった。

小坂に続いたのはU23の加藤健悟(臼杵レーシング)と、斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT)の二人。それを山田大介と宮津旭のPAXPROJECTコンビ、藤田拓海(SNEL CYCLOCROSSTEAM)、合田正之(Cycle club 3UP)、中里仁、佐復真人(茨城シクロクロスチーム)が追った。

先頭の3名グループからは2週めに小坂が飛び出し、2人を突き放した後は安定したラップタイムを刻んでフィニッシュ。遅れた加藤は山田誉史輝(PAX PROJECT)らと2位争いを繰り広げたものの、リアメカを破損してC1初表彰台の望みも消え惜しくもリタイア。アンダー3名の中で圧倒的な適応性と速度を見せつつ、勝負に勝ち試合に負ける。2位には大雪の中長野から長距離遠征してきた山田誉史輝、3位は同じくPAXPROJECTの山田大介が入った。

C1表彰台C1表彰台
優勝した小坂はインタビューに対して「雪のレースは得意な方なので全体として上手くまとめられたと思います。勝てたので、これで来週からの大事なレースに弾みがつきました。世界戦では同一周回完走できたことがなく、そこを目標に置きつつこれまで以上に気持ちを込めて走り切って来たいと思います」とコメント。

C2の4位相当でレースを終えた今井美穂C2の4位相当でレースを終えた今井美穂 細かなミスでペースを上げることができなかった武田和佳(Liv)細かなミスでペースを上げることができなかった武田和佳(Liv) 後続を大きく引き離してフィニッシュする積田連(Team GARNEAU CHAINRING)後続を大きく引き離してフィニッシュする積田連(Team GARNEAU CHAINRING) またCL1はC2との混走となり、世界選手権に派遣される武田和佳(Liv)と今井美穂の勝負に。C2で勝利を重ねているジュニアカテゴリーの積田連(Team GARNEAU CHAINRING)らと同時にスタートを切った。

レースは積田が飛び出し、それをやはり今井美穂が追う展開に。本来であれば今井とパックとなる武田和佳は雪の経験差かミスが累積し今井からは遅れてしまう。C2の上位選手よりも高い乗車率を見せる今井は積田を追撃するが、それがオーバーペースとなったようで中盤徐々に順位を落とし最終的にC2の4位相当でレースを終えた。

シーズン後半から更に追い込むトレーニングも加え、フィジカルやスタミナ強化を図る今井は「いずれC2の男子とも互角に戦えるめどが出てきた」と言い、それが世界に挑む彼女にとっての準備ともなったよう。武田は乾いた柔らかい雪に今一歩慣れなかったようで今井から3分差の2位になった。

C2は積田自らが作った5周回のレースを制し2位を2分以上引き離してフィニッシュラインを越えるが、ジュニアの積田がC1に昇格するにはあと2シーズン待たなければならない。

「コーナーの立ち上がりなど、一つ一つ丁寧な処理を心がけて走りました」とはCL1で優勝した今井。「初めての世界選手権ですが、同一周回でゴールに帰って来られるように、またこれをきっかけに今後に繋げていけるよう頑張っていきたいと思います。今日多くの皆さんからご支援を戴いたことで世界戦に行って来ることができます」と加えた。

同じく世界選手権へと挑む武田は「日の丸を背負うということで、自分のベストの走りができるようしっかりやって来ようと思います。世界のレベルは高いと思いますが、自分のものに吸収できるよう走ってきたいと思います」と抱負を語った。

世界選手権に出場する3名を囲んで記念撮影世界選手権に出場する3名を囲んで記念撮影
大会オーガナイザー、菅田純也氏のコメント

蔵王町総合運動公園での開催は昨年に続き2回目となりましたが、今シーズンはJCXシリーズにもなり、コースも昨年よりもバージョンアップさせました。普段蔵王町は雪が少ない地域ですが、10cmほどの積雪の中での開催となってしまいましたが、乗車率も高く絶好のスノークロス日和でした。参加者の方々からも面白かったとのお声を沢山頂き、悪天候の中でも無事開催できたことは非常に良かったと思います。蔵王町は毎年ヒルクライムレースなども行なっており、自転車に対して非常に協力的で、今回も蔵王産のいちごやお米、こんにゃくなど多くのご協賛や蔵王町PRキャラクター「ざおうさま」、真田幸村公など大会を盛り上げるためにご尽力頂きました。蔵王町からも毎年恒例の大会にして欲しいとの要望もございますので、来シーズンもJCXシリーズでの開催を目標に将来的にはUCIレースまで持っていきたいと思っております。



JCX第11戦 TOHOKU CX Project2016-2017第3戦結果
C1

1位 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)8周回 1:03:57.298
2位 山田誉史輝(PAXPROJECT)   +1:54.624
3位 山田大介(PAXPROJECT)    +2:05.782
4位 斎藤朋寛(RIDELIFE GIANT) +2:26.030
5位 中里仁    +3:11.407
6位 鈴木禄徳(PAXPROJECT)   +3:19.686

CL1
1位 今井美穂 5周回 0:44:05.187
2位 武田和佳(Liv) +3:24.153
3位 高橋織江(PEDAL NATION)+5:54.468
4位 須藤むつみ(Ready Go JAPAN)+9:12.570
5位 宮崎優花(Team GARNEAU CHAINRING)+ 11:24.192
6位 吉岡梨紗(Ready Go JAPAN)+00:19.423 0:44:55.610(4周回)

C2
1位 積田連(Team GARNEAU CHAINRING)5周回 0:40:57.141
2位 霜山誠一(PAXPROJECT) +2:13.358
3位 山田幸広(ベルエキップSIBIRETAI)+2:44.822

C3
1位 鶴岡聖隆(Crunk Gorilla Cycling Team)3周回 0:27:56.371
2位 森山栄幸(チームJUN) +0:06.416
3位 秋元昌夫(Honda栃木) +0:57.847

CM1
1位 須藤大輔(VOLCAオードビーBOMA・UVEX)3周回 0:28:24.689
2位 小岩浩(Celeste 幸寿司 水沢) +0:36.816
3位 坂田智徳(あぶくまサイクリング) +0:55.807

CL2
1位 新川明子(ブラウブリッツェン) 3周回 0:29:21.461
2位 新井真希 +6:17.659
3位 森知多(SNEL) +7:17.379

Kids1
1位 成田光志
2位 菊地慶次郎(TEAM AIBE)
3位 渡辺悠真(Ride_or_die)

Kids2
1位 沼田素直(team NUMATA)
2位 高橋壮(SAGAMI RACING)
3位 菊地英(TEAM AIBE)

text&photo:Masakazu.Abe
edit:So.Isobe


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