翌日に超級山岳の山頂フィニッシュを控えたこの日、12名の先頭グループが逃げ切り。思い出の地ナランコ峠で金星を飾ったデラクルスや、比較的平穏にアストゥリアスの山岳を乗り切った総合上位の選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝を飾った総合首位に立ったダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)

ステージ優勝を飾ったダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)ステージ優勝を飾ったダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
今日はタイム差が8分程度まで広がると思っていたけど、モビスターが慎重にタイム差を調整したので総合リードを奪うのは難しいと思った。最後の登り一つでメイン集団から2分は失うと思ったので目標をステージ優勝にスイッチ。だからこのマイヨロホはボーナスだ。

前回このナランコ峠が登場した時は(同じカタルーニャ州出身の)ロドリゲスが勝利している。スペインを代表する選手で、カタルーニャが生んだ最高のライダーである彼と比較するのは身の程知らずだけど、同じ道を歩んでいることを嬉しく思う。

マイヨロホにキスをするダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)マイヨロホにキスをするダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ) photo:TDWsport/Kei Tsujiマイヨロホ1日目をこなすナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)マイヨロホ1日目をこなすナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji最後は2012年の(同じフィニッシュが設定されたブエルタ・アストゥリアスの)経験が生きたよ。当時、総合表彰台に上った経験がキャリアのステップアップにつながったので、ここは自分にとって特別な場所だ。

このリーダージャージがキャリアを大きく変えるかと言われると、決してそうは思わない。今まで通り努力して成長を続けてチームのために走りたい。ただ、ツイッターのフォロワー数は増えることになると思う。

総合リードキープは決して簡単ではないと思うけど、明日は全力で挑みたい。簡単な平坦ステージなら気楽に挑めるのに明日は超級山岳の山頂フィニッシュ。諦めずにリーダージャージキープに向けて走るよ。

総合首位を明け渡したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

リーダージャージを他の選手に渡したことはまったく問題視していない。総合では変わらず良いポジションをキープしており、チームの状態はとても良い。考え方によっては総合リードを明け渡したことでチームの力をセーブできる。明日はとても重要なラゴス・デ・コバドンガの山頂フィニッシュだ。

積極的に山岳ポイントを稼いだトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)積極的に山岳ポイントを稼いだトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:TDWsport/Kei Tsuji逃げて山岳賞トップに立ったトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)

逃げを楽しんだよ。今日は逃げ切りが決まる確率が高かったので、チームの中で必ず1人は逃げに選手を送り込む作戦だった。レース序盤は激しいアタック合戦が繰り広げられた。デラクルスとフランクが逃げに乗っていたので、メイン集団のスピードはなかなか落ちなかった。

逃げグループは強者ぞろいで、特に登りに強い選手が揃っていた。自分よりも登坂力のある選手が大勢いたのでステージ優勝を諦めて山岳賞ジャージを狙うことにした。山岳で飛び出して一時的に独走状態になったものの、向かい風が強かったので後続を待つことに。逃げの結果として山岳賞ジャージに手が届いてよかったよ。でも明日は超級山岳が登場するのでジャージキープは難しいと思う。

これからも継続的にステージ優勝を狙って動きたい。逃げ切りにチャンスがある山岳ステージがまだ多く残されている。

終盤に集団からアタックしたピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)終盤に集団からアタックしたピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ) (c)bettini総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) (c)bettini安全に中級山岳ステージを終えたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)、後ろにはフィニッシュ手前でアタックしたサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)安全に中級山岳ステージを終えたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)、後ろにはフィニッシュ手前でアタックしたサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング) (c)bettini終盤に集団からアタックしたピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)

レース序盤は体調がイマイチだったものの、走っているうちに回復した。最後の登りでは身体が軽く感じたので、総合で30秒ほど挽回できると思ってアタックした。もちろんモビスターは許してくれなかった。

チームスカイとしては明日のステージでタイムを失わないことが最重要課題。明日を乗り切れば休息日で、その先には1週目よりも厳しい1週間が待っている。調子が良ければモビスター勢に力を使わせるようなシチュエーションを作り出したい。疲労は感じているものの、ハードなステージが続いているのでそれは当然のこと。今日のような調子の良さが明日も継続してほしい。ここまでレースは順調に進んでいる。

総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

小さいタイム差で総合首位を他チームに明け渡すというシチュエーションはまさに望んでいた展開であり、パーフェクトだ。ここまで厳しいステージが続いているのでどの選手も疲れているように見えるし、明日は落ち着いてレースを進めたい。コンタドールは他のライバルたちと同様に良い状態にあると思う。

安全に中級山岳ステージを終えたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

レースは前半からハイスピードな展開だったものの、集団内は落ち着いたものだった。登りでは苦しんだものの結果は良好。トラブルなく走り終えてホッとしている。明日は今日よりも回復できていると思う。引き続き集中して総合争いに挑み、チャンスがあれば攻撃したい。でも現在最も優先すべきは身体のリカバリー。焦らずじっくり治すことが必要だ。

フィニッシュ手前でアタックしたサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)

総合で2分差のデラクルスが逃げに乗っていたものの、メイン集団は最後まで逃げを追わなかった。今日のコースはアップダウンの繰り返し。最後に何か仕掛けたいと思っていた。少しでもタイム差をつけたいと願ったけど、集団を振りきれずにフィニッシュした。生まれ故郷オビエドの街を走るのは素敵な気分だったよ。

明日の神聖なるコバドンガでは集団内でレースを展開したい。現状、世界のトップオールラウンダーに混ざって総合上位をキープできている。

別府史之(トレック・セガフレード)

スタート前に車談義する別府史之(トレック・セガフレード)と新城幸也(ランプレ・メリダ)スタート前に車談義する別府史之(トレック・セガフレード)と新城幸也(ランプレ・メリダ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
チームとしては今日こそは誰か送り出そうとチームミーティングで話し合った。最後の登りゴールもあるのでファビオ、スベルディア、ゾイドが逃げに乗るようにオーダーがあったが乗れず、12人の逃げをすぐさまディメンションと一緒に追走を開始したが、引いた頭数も揃わずタイム差はずっと縮まらず、2級の山が始まったところで追走は終了した。

その後は、モビスターが今日こそは逃げ切りは許さんとばかりに引き続けた。フィードゾーンも猛スピードで通過。今日は追いつくだろうと思っていたが、タイム差が全然縮まらないどころか逆に開いていっていて、取り返しのつかないことになっていた。道は追走しやすいそうな道だったけど、起伏が激しく、コーナーも多かったのが原因かもしれない。

スタートから全開で追い込んだ割には終盤パワーも残っていたけど、最後の山の麓まで集団に残っても力の無駄使いなので、追い込まず腹8分目で今日も流してゴールした。それにしてもあと少しのことでうまくいかない。自分的には全然余裕もあるし、疲れてる感じもないから行くなら明日だな。

今夜はチームのシェフが巻き寿司を作ってくれた。日本人がいるのに寿司を作るなんてなかなか勇気がいることだけれど(笑。カリフォルニアロール風だったけど、とても美味しかった。ひとつ許せないのが米までパスタよろしくちょっとアルデンテ!! これは炊きあがってないってことなのだけど(笑 。でも、異国の地で自分のソウルフードが食べれるのは幸せなことです。

新城幸也(ランプレ・メリダ)

愛犬の小輪(コリン)に挨拶してスタートに向かう新城幸也(ランプレ・メリダ)愛犬の小輪(コリン)に挨拶してスタートに向かう新城幸也(ランプレ・メリダ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
毎日逃げを狙って前半からアタック合戦に加わっているが、うまく逃げグループを形成することも、加わることもできず、逃げきられてしまうことが続いている。調子が悪いわけではないので第10ステージも逃げにチャレンジする。

text:Kei Tsuji in Oviedo, Spain